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【 福島第一原発の放射能汚染水漏れ、沿岸漁民の生活をさらなる窮地へ 】《前篇》

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所要時間 約 8分

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事故発生から2年以上、事故収束どころか汚染水の漏出すら止められない東京電力に怒りの声
今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思える

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)

福島漁師01
63歳という年齢にも関わらず、新妻和夫さんはこれから先も漁師としての長い人生を歩んでいくつもりです。
代々の漁師としての血がそうさせるのだと彼が語りました。
80歳になる彼の父親は12歳で初めての漁に出て以来55年を漁師として生き、つい3年前に引退したばかりです。

しかしたとえ体力が許すとしても、新妻さんは太平洋に出てシタビラメ、ヒラメ、アイナメそしてシラスなどを漁獲する機会がこの先二度と無いかもしれないという事を覚悟しています。

東京の北約200キロの場所にある小さな漁師町、久之浜で漁業を営む彼やその仲間の生活を窮地に追い込んでいるもの、それは海岸をもう少し北に行った場所にあります。
そう、福島第一原子力発電所です。

日本政府はつい最近、2011年3月に津波がきっかけとなって巨大事故を引き起こした福島第一原発から、毎日300トンの放射能に汚染された地下水が地中に設置した防護壁を乗り越え、太平洋に流れ込んでいることを明らかにしました。
政府関係者はこの汚染水の流出は、原子炉のメルトダウンという過酷事故直後から続いていた可能性があると語っています。

政府によって公表され、福島第一原発を運営する東京電力も追認した汚染水漏出の事実は、久之浜漁港の40隻の漁船を、港につながれたままにしてしまうことになりそうです。

汚染水調査 1
汚染水の処理に関する怠慢と失策、そして汚染水漏れの事実をまたも隠蔽しようとした東京電力に対する告発は、18ヵ月前に最早安全な状態を取り戻したとして日本政府が『冷温停止宣言』を行った、福島第一原発の事故収束作業が全く『安定』などしていないことを暴露する結果となりました。

「私は津波発生来、一度も漁に出ていないのです。」
新妻さんは地震と津波により基礎が1メートル沈んでしまった、骨組みだけになった久之浜漁港本館ビルの中に立ってこう語りました。
「消費者の皆さんは食べても安心な魚を購入したいと考えていますが、私たちは今のところ、その願いには応えることが出来ないのです。」

この辺りで獲れた魚に含まれる放射性物質、セシウム134と137の検出値が政府が定めた1キログラム当たり100ベクレルの安全基準値に近いところまで下がって来たという事実も、ほとんど気休めにもならない、新妻さんはそう語ります。
「今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思えます。そのことについて日本政府と東京電力は、きっちり責任を取る必要があるはずです。」

広瀬直己東京電力社長に宛てた日本漁業協同組合の書簡は、厳しい調子に貫かれ、汚染水の漏出は『日本全国の漁業関係者と日本社会の市民に対する裏切り』であると批判しました。

浪江12
日本政府は東北太平洋岸で18,000人の犠牲者を生み、日本史上最悪の原子力発電所事故を引き起こした東日本大震災発生以来、福島県沖での漁業を禁止しています。

以来新妻さんの全長15メートルの漁船末吉丸は、一度も使われたことがありません。
放射性物質で汚染されてしまった海からは一匹の魚も釣り上げることが出来ず、この町の70人の漁師たちは沿岸部のがれき清掃作業によってかろうじて生計を立てています。

彼らは魚を獲ることがありますがそれは市場向けでは無く、臨時に設けられた研究所に持ち込まれ、20キロほど北にある福島第一原発から放出された放射性物質の残留値を検査されます。

東京電力は1日当たり約400トンの水を汚染がひどい原子炉建屋の地下から汲み上げていますが、その量はオリンピックプールをいっぱいにするのに充分な量です。
原子炉建屋の地下では原子炉内部、その奥の方に溶け落ちているとみられる核燃料を冷却し続けるために使われた高濃度の汚染水と地下水が交じり合っていると考えられます。

東京電力は汚染が最もひどい地区について、ケイ酸ナトリウムを土壌に注入して硬化させた壁で取り囲んでおり、回収できなかった汚染水はそこに留まり続けているとして、いかなる汚染水漏れも一貫して否定してきました。

海側全景
米国原子力規制委員会と他の専門家は、仮に汚染水が直接福島沖の海に流れ込んでいるとしても、それが太平洋を越えてアメリカにまで影響することはないだろうと語っています。
「たとえ毎日300トンの汚染水が海に流れ込んでいるとしても、広大な太平洋の存在により、アメリカ沿岸では検出不能ということになるでしょう。」
アメリカ原子力規制委員会の広報官、スコット・バーネルがこうコメントしました。

東京電力はもはや汚染水の問題が制御不能になっていることを認めた上で、汚染水の汲み上げ作業と防護壁の強化を徹底して行うと約束しました。

これ以上汚染水が増え続け、それが漏出しないよう、東京電力は2015年7月までに土中に冷却剤を注入し、1~4号機の周囲長さ1.4キロに渡る防護壁を作りあげる予定です。

初期段階の見積もりでは、この作業を完成させるための費用は400億円に上ります。
日本政府は東京電力が行う原発事故被災者への補償費用、そして廃炉費用などのため、すでに1兆円を超える金額を貸しつけていますが、汚染水漏れの対策のため、再び多額の税金が投入されることになります。

〈後篇に続く〉
http://www.theguardian.com/environment/2013/aug/08/japan-pm-fukushima-leaks?INTCMP=SRCH
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なぜ、たかが発電手段が、地域の生活そのものを根こそぎ破壊していいのか?!
『エネルギー安全保障のため、原子力発電は必要』と言い切る人間に尋ねてみたいと思っています。

宮城県にある東北電力女川原発は止まったままですが、同じ宮城県にある国内最大の自動車メーカーの工場は震災後、再生可能エネルギーによる自家発電体制に切り替わりました。
原発を止めたドイツでも、フォルクスワーゲンの工場が、再生可能エネルギーによる自家発電体制に切り替わります( http://kobajun.biz/?p=7132 )。
原発が止まっても、『基幹産業』は打撃など受けていません、その実例です。

ニューヨークでは、主要な公共の建物は自家発電をメインに据えたスマートグリッド・システムを導入し、大災害に備える。
その取り組みが実際に始まっています( http://kobajun.biz/?p=9445 )。

切り替えられないのではなく、切り替える気がない。
つまりは福島の事故について、反省などしていない( http://kobajun.biz/?p=845 )。
それが現政権のエネルギー政策だと思います。

そして下段。
二日続けてエジプトの流血に関する写真報道をご紹介しています。
私個人の感想ですが、イラクにおける民主化運動に対する弾圧があったことを考えると、イスラム原理主義の伸長が世界平和に貢献するとは考えにくいのではないでしょうか。
しかし、クーデターによる政権転覆と民衆に対する武力弾圧はそれ以上に許されません。

時間がかかっても、回り道でも、すべては議論によって進めるべきです。
そう思います。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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