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【 皇太子の暗号文 】《後篇》

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所要時間 約 8分

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安倍政権の下、極右が勢いづき、ジャーナリストや研究者への脅迫、ヘイトスピーチが日常的になってしまった
日本の自由主義、民主主義の基盤を徐々に破壊しようという闇の力が、安倍首相の下に集まりつつある
安倍政権による歴史の歪曲と対外強硬姿勢は日本の尊厳を傷つけるとともに、日本を国際社会から孤立させる恐れがある

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 2月27日

皇太子CNN
▽ やがて公開される戦争終結70周年首相声明

安倍首相は70周年演説の内容をどうすべきかを検討し、助言を行う委員会を組織しました。
しかし実際のところは、彼らの意見が重要視されることは無いでしょう。
そして委員の中の誰一人として安倍首相の見解を否定し、歴史の歪曲を正そうとはしないでしょうが、それでも著名人による委員会を組織し、その意見を取り入れるそぶりを示したことは政治的には無意味ではありません。

今、日本国内のメディアの視線は安倍首相が8月に発表する予定の、70周年の声明の内容にくぎ付けになっています。
首相自身どうするか決めかねている様子が見てとれますが、声明の内容いかんによっては、隣国との関係が一気に悪化する可能性もあるためです。

日本の戦争責任と後悔の念の表明について姿勢の後退が無いかどうか、中国政府と韓国政府はこの声明文の一語一句を詳細に検証することになるでしょう。

米国政府はすでに、もし声明において日本の戦争責任を認めなければ、安倍首相が日米関係を悪化に向かわせることになるだろうとの見解を明らかにしています。

このように安倍首相に対しては、持論である国家権力主義的歴史観を表に出さないよう国際社会から相当な圧力がかかっていますが、日本の外交姿勢に対する国内意見はさらに複雑です。

大東亜共栄圏03
▽ 国家権力主義の復活

安倍政権の下で近隣各国に対する強硬な外交姿勢が復活を遂げ、日本国内の極右勢力が勢いづく結果になりました。
この人間たちは自由主義の立場に立つ報道機関を攻撃し、ジャーナリストや研究者を脅迫し、日本国内の少数民族である韓国朝鮮人に対するヘイトスピーチに励むことになりました。

この人間たちには、事実上どのような処罰も行なわれてはいません。

安倍首相の支持層の中核をなす反動的なグループ、日本版ティーパーティとも言える日本会議や日本神社協会は安倍内閣を実質的に支配し、歴史認識を変えてしまうことにより過去のしがらみを払しょくし、最終的には安倍首相が戦前と同じ『国体』を取り戻すことを切望しています。

過半数の世論が反対しているにもかかわらず、安倍政権とその与党は米国との軍事同盟・共同軍事行動を強化する防衛政策を支持、日本国憲法が禁じている武力行使をなし崩しに認めさせようとしています。

その行為はこれまで続いてきた日本の自由主義、そして民主主義の基盤を徐々に破壊して行こうというものであり、安倍首相の下に闇の力が集まりつつある今の状況について、日本の友好国、そして同盟各国の間に懸念が強まりつつあります。

ヘイトスピーチ01
▽ モラル・サポート(精神的支援)

こうした状況の中、いわば包囲された日本の自由主義者は今上天皇の明仁天皇、そして皇太子の徳仁親王の精神的な支援を歓迎しています。
しかし皇室からのこのような非難に、現実的な効果はあるのでしょうか?

第二次世界大戦(太平洋戦争)終了から半世紀の節目を迎えた1995年に出された、村山富市首相の心からの謝罪と後悔の念という表現は、以降の首相たちによって忠実に繰り返されてきました。
村山声明は、今年予定される安倍声明のベンチマーク(評価基準)になっています。

村山元首相は自身が89歳の時に、安倍首相が村山声明を引き継ぐと韓国首脳陣に語り、彼らを安堵させました。
しかし党の安倍首相自身には、村山声明を避けて通ろうとする意図が透けて見え、70周年の声明の内容について曖昧な態度を取り続けており、疑いが張れることはありません。
安倍首相は「概ね」村山声明を引き継ぐと表明していますが、「概ね」と言う言葉の中に重要表現の割愛の危険信号が隠されていると見るべきです。

反安倍01
安倍首相は国会で『侵略』と言う言葉の定義は何だと発言し物議をかもしましたが、その他にも従軍慰安婦に対する『強制』の度合いについて問題にしたり、アメリカの歴史教科書に加えられた従軍慰安婦の記述は正確性に欠けると怒りを露わにするなど、いちいちの正確性を問い詰める姿勢を強めています。

こうした行為について、皇室は日本の尊厳を傷つけるとともに、日本を国際社会から孤立させる恐れがあると懸念しています。
第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本の事歴を正しく認識し、伝えていくことの重要性を改めて強調することにより、今上天皇の明仁天皇、そして皇太子の徳仁親王は国際社会との融和、そしてもっと明るい未来へと日本を導こうとされています。

そうすることで両陛下は、対外強硬派の国家権力主義者たちに迎合する事無く、正しい歴史認識に基づく対応を採るよう、安倍首相に求めているのです。

〈 完 〉

http://edition.cnn.com/2015/02/26/opinion/japan-crown-prince-ww2-comments/index.html
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【 市民の権利と女性解放運動 】
組曲[アメリカン・ジャーニー]第5曲 ジョン・ウィリアムズ作曲
An American Journey - V Civil Rights and the Women's Movement by John Williams

前回同様、皇太子のご胸中の思いを『薄めないよう』にするため、各メディアの写真集を見てみましたが、しっくり来るものがありません。
そこでまたジョン・ウィリアムズ氏のミュージック・クリップをご紹介することにします。
この曲はアメリカの建国から現代までをミュージック・オムニバスにした『アメリカン・ジャーニー』の第5曲です。
『市民の権利』や『女性解放運動』などというテーマを感動的な音楽に昇華させた同氏の姿勢に大きな共感を覚えます。

今こそ私たちは、『市民の権利』について改めて問い直すべきかもしれません。
「70年間続いた平和主義は今や日本が誇るべき伝統、時の権力者の勝手な破壊を許していいのか?」(http://kobajun.biz/?p=18993) というガーディアンの記事がありました。
平和主義こそは、私たち日本の市民のけんりではないでしょうか?
尚、前回、今回とご紹介したジョン・ウィリアムズ氏の作品は The Music of America(SONY 88697 70636 2)でまとめてお聴きいただけます。3枚組のこのCD私の愛聴盤のひとつです。

尚、従来の国家主義という言葉を今回、あえて国家権力主義、

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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