星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【 特定秘密保護法、自由主義社会からの脱落への途を歩み出した日本 】〈後篇〉

【 特定秘密保護法、自由主義社会からの脱落への途を歩み出した日本 】〈後篇〉

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 6分

広告
広告

秘密保護法が無かったために日本には情報が入らなかった?そんな事実は無い
パブリック・コメントに寄せられた90,000件の意見のうち、77%がこの法律に反対を表明

AP通信 / ワシントンポスト 11月26日

特定秘密 1
現在日本では、防衛省が定める『防衛機密』も含め、機密保護については各省庁がそれぞれに規則を定めています。
今回の特定機密保護法案はそれらの省庁の規則を補う一方、国家安全保障会議の設立とともに、各指揮系統を首相官邸に一本化し、首相により多くの権限を与えることになります。

カート・トン在日米国大使館臨時代理大使は今回の法案について、アメリカ政府は「より効果的な同盟関係」を築く第一歩と考えていると、つい最近行われたスピーチで語りました。
しかしその一方で、法律の運用過程については透明性を保つこと、そして近隣諸国に運営方針について明らかにすることを、強く要請しました。

首相官邸で安全保障と危機管理を担当した柳沢元官房副長官補は、在任中、特定秘密保護法が存在しなかったために、同盟諸国から必要な重要な情報を入手できなかったというような具体例は一切記憶には無いと語りました。

秘密保護法01
米国または他の同盟関係にある国が情報を日本と情報を共有しないと決めたことはあったが、その理由はそれぞれの国益に関わることが理由としてあったためで、日本に秘密保護法が無かったためでは無かったはずだ、柳沢氏はそうつけ加えました。

問題となっている特定秘密保護法が存在しなかった当時でさえ、今年82歳を迎えたジャーナリストの西山太吉氏は、1972年、沖縄の返還に伴い、日本政府と米国政府との間に存在した密約を暴露させたとして、有罪判決を受けました。
西山氏自身はこの事件について、それまで表に出ることが無かった膨大な秘密に関し、その氷山の一角を公にしただけで、罪に問われることになった、そう語りました。

政府は過去7年の間、70,000件以上を新たに防衛上の機密として分類しました。
一方で約40,000件の情報が破却されました。
これは日本の機密情報の約1割に当たります。

「日本においてはもうすでに、自身の歴史について事実を確認する事が難しくなっているのです。」
西山氏がこう語りました。
「新しい法律は、その状況をいっそう悪いものにするだけです。」

特定秘密 3
野党民主党の長島昭久議員は、今回の特定秘密保護法が日本政府自身が秘密を保護したいがために立案されたものだと語り、その一方で日本ではアメリカの制度と比較すると歴史的記録の保存と国民に対する情報開示が著しくなおざりにされていると語りました。

にもかかわらず今回この法案の成立に伴い、この制度を監視する第三者機関の長に首相を充てる事にしています。
特定秘密保護法には日本人、そして海外のジャーナリスト、作家、研究者、市民活動家などが反対を表明しています。

9月に実施された政府主催のパブリック・コメントでは、寄せられた90,000件の意見のうち、77%がこの法律に反対を表明していました。
そして一般市民の活動が抑圧される事態を懸念しています。

市民の中には、今回の法律が言論の自由、報道の自由が厳しく制限されていた第二次世界大戦以前、そして戦争中の暗い時代に日本を押し戻すのではないかと懸念する人々もいます。
この時代日本では治安維持法の下、約100,000人もの人々が逮捕拘禁されました。

特定秘密 2
市民活動家の徳根和之氏は、原子力発電所の情報にアクセスしようとしている取り組みが、特定秘密保護法を拡大解釈する事によって、違法とされる可能性があると語ります。
「将来私は反原発活動を行ったとして、逮捕されてしまうかもしれません。」
首相官邸前の抗議活動の場で、徳根氏がこう語りました。

「しかし特定秘密保護法が、私を止める事は出来ません。」

〈 完 〉

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-secrecy-law-stirs-fear-of-limits-on-freedoms/2013/11/26/b2447b24-566f-11e3-bdbf-097ab2a3dc2b_story.html
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

安倍首相が秘密保護法の成立によって
「通常の生活が脅かされる事は断じてない」
「国民の知る権利が脅かされる事は無い」
と語ったと、9日夜のニュースが伝えていました。
しかしそのコメントには、冒頭
「時の権力に逆らうような事さえしなければ」
という前置きがあるのではないか?
そう勘ぐりたくなります。

そして次のようには言わなかったようです。
「報道の自由が妨害されるような事は断じてない」

とにかく、
「戦争には反対!」
と口にしただけで『非国民』と罵られ、特高警察に連行するような世の中だけはまっぴらなのです。
そんな当たり前の事を、多くの国民が当たり前に願っているのです。

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報