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【 海外の専門家からも厳しい批判が噴出 : 東京電力の汚染水流出隠ぺい 】

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東京電力が隠ぺいを行っているという批判は当たらない、むしろ無能と言うべきである
果たして東京電力には、住民と環境を守るという意思、そして計画はあるのか
福島の事故収束・廃炉作業には、第二次世界大戦を戦い抜くのと同じほどの困難さが伴う

田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 7月26日

4号機01
7月26日海外から日本に来た原子力発電の専門家は、破壊された福島第一原発の施設内から放射能汚染水が漏れ出していた事実について、発電所を運営する東京電力が意図的にその事実の公表を遅らせていたことを厳しく批判しました。
東京電力はこれまで何週にもわたり、汚染水が太平洋に流れ込んでいる可能性を否定し続けてきましたが、7月22日月曜日なって一転、その事実を確認したことを発表しました。

2011年に3基の原子炉がメルトダウンを起こした福島第一原発が、周辺に及ぼす危険性について東京電力は、繰り返し過少に報告をしてきました。
そこに加えてのその隠ぺい体質を物語る今回の事例は、東京電力に対する怒りの冷めやらぬ市民に対し、あらためてその無責任ぶりを印象づけることになりました。

「東京電力きわめてお粗末な広報態勢からは、効果的意思決定プロセスが存在しないという印象を受けます。日本国民に対し必要な情報はすべて提供する、そうした能力の欠如が明らかです。その上、果たして東京電力には住民と環境を守るためのきちんとした計画はあるのか、そんな疑問すら湧いてくる状況です。」
東京電力の社内体質の改革に取り組む委員会の責任者に登用された、原子力発電の専門家であるデール・クライン氏がこう語りました。

廃炉現場 4
今回の批判は原子炉3号機付近から再び高い放射能を帯びた水蒸気が立ち上っているのを確認したにもかかわらず、その原因は未だ不明であると公表したことを受けてのものです。
先週、東京電力は水蒸気の噴煙があがっているのを確認したと発表した直後、水蒸気の噴出は止まったと発表しました。

原子力発電の専門家は、最悪の事態である原子炉内の燃料が再臨界に到ったとは考えにくいとの見解を明らかにしました。

しかし放射性物質の漏出は今も続いているものと見られ、新たに深刻な事態に至る懸念は払しょくされてはいません。
これについて東京電力は、素性気に含まれる放射性物質の量はそれほど高くは無いとしています。

クライン氏は厳しく非難する一方、東京電力が事故収束・廃炉作業について最大限の努力を続けているとも語りました。
さらにクライン氏は、報道関係者が福島第一原発の敷地内の汚染水の問題について繰り返し情報提供を迫ったことに触れ、東京電力が故意にすべてを隠ぺいしようとした事実は無いと語りました。

「これまで見てきた限りでは、東京電力が隠ぺいを行っているという言い方は正確ではありません。むしろ無能である、ということなのです。」
クライン氏は東電役員と会談を行った後、東京での定例記者会見でこのように語りました。

クライン氏は米国原子力規制委員会の元委員長です。

東電委員会
同じく東京電力の委員会に参加している、英国原子力公社の前議長であるバーバラ判事夫人は、より率直に語りました。
「私はこれまで日本の人々と個人的にいろいろ議論をし、東京電力が原子力発電所を運営するのにふさわしい企業として生まれ変わる途上にあると理解していました。」
「しかし、汚染水問題に関する広報活動が滞り、遅れが重なっていくことが常態化した点は論外であると言わなければなりません。」

福島第一原発の敷地内にある観察用の井戸で採取された水が高濃度の放射性トリチウム、ストロンチウム、セシウムを含んでいたにもかかわらず、東京電力側は数週間に渡り、この汚染水が近くの海脅威を与えることは無いと強調し続けてきました。

先週原子力規制委員会の委員長が、福島第一原発は事故直後から2年以上汚染水を海洋中に漏出し続けてきた可能性があるとの指摘を行いましたが、東京電力側は頑としてその立場を変えようとはしませんでした。

そして月曜日、東京電力は漏出の事実があることをようやく明らかにしました。
しかも観察用の井戸水は海の館長満潮に合わせて上下していた事実を明らかにし、観察用の井戸と海が『直結』していた事実も公表しました。

東京電力は各部門が様々な問題についてそれぞれの取り組みを行っていたが、部門間の連携がうまくいっていなかったという趣旨の弁解を行いました。

福島第一原発廃炉
事故発生当時は社長では無かった広瀬直美現社長は、汚染水漏れについては漁業関係者への迅速な情報提供を心掛けていたにもかかわらず、結局は遅れてしまったと語りました。
「きわめて恥ずべき事態です。」
広瀬社長は26日金曜日、このように語りました。
「残念でなりません。手元に情報があったにもかかわらず、それを生かすことが出来ませんでした。」

「関係する皆さんに潜在的な危険性について率先してお知らせすべきであるにもかかわらず、重大な事実を公表することについての恐れ、そしてその影響を懸念するあまり、このような結果になりました。」
「重大事故が与えた教訓を学んでいない、生かしていないと言われれば、その通りですと答えるしかありません。」

このような海外の専門家からの批判加え、2011年3月の巨大地震と巨大津波により発生した福島第一原発の原子力発電所事故について、東京電力が行っている事故収束・廃炉作業に対する懸念も積み上がる一方となっています。

近々数ヵ月の間、福島第一原発では原子炉付近から集めた放射能汚染水が、貯蔵用のタンクと臨時保管設備から漏れだすトラブルが立て続けに発生しました。

またネズミがにわか作りの配電盤のむき出しの電線をかじり、一基の原子炉で重大事故につながりかねない停電トラブルが発生し、間に合わせの現在の設備のもろさが露呈される事態となりました。

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24日水曜日には原子力規制委員会の田中俊一が、専門家が過去に例を見ない福島第一原発の事故収束・廃炉作業について、東京電力に対する援助が必要だと語りました。
「福島第一原発の事故収束・廃炉作業には、第二次世界大戦を戦い抜くのと同じほどの困難さが伴います。」
「東京電力は国内からの、さらなる援助を必要としています。何もかも東京電力任せにすることはできません。それでは問題は解決しないでしょう。」

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