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【 フクシマが突きつける厳しい教訓、なぜ本気で学ぼうとしない?! 】

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所要時間 約 16分

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「今回もまた、事故の教訓を軽視するようなことになれば、もう次は無い、という事を肝に銘じよ。原子力発電の暴走による国の滅亡は、絵空事ではない!」

ダニエル・オルドリッチ<特別寄稿> / アメリカCNNニュース 5月25日


エディタのメモ: ダニエルP.オールドリッチは、パーデュー大学の政治学の準教授、2011-2012年の間のUSAIDのアメリカ科学振興協会の特別会員であり、2012年度(2012-2013)東京大学のフルブライト研究員です。
著書にこの8月に出版予定の『Site Fights(施設における戦い)』と『Building Resilience(回復力の構築)』(ともにシカゴ大学出版)があります。

(CNN)3月11日に日本の東北地方を襲った巨大地震と巨大津波は20,000以上の犠牲者を出し、チェルノブイリ以来最悪となる福島第一原発の原子力発電所事故を引き起こし、300,000人以上の人々に避難を強いることになりました。
そして福島第一原発の3基の原子炉で発生したメルトダウンは、電力供給の5割を原子力発電によって賄うという日本のプランを白紙に戻させたのです。

日本にあるすべての原子炉が現在、稼働を止めています。
専門家は強い反原発の国民感情により、しばらくの間は原子炉の再稼働は不可能と見ています。
日本で起きた巨大事故の影響は海外にも飛び火し、ドイツ、イタリア、そしてスイスを原子力発電の完全廃止に踏み切らせました。

福島の事故は、原子力事故が考えられない程多方面に悪影響を及ぼしてしまう事を軽視する傾向にあり、時代遅れの対策しか持ち合わせないアメリカの核監視機関に対し、4つの重要な教訓を与えました。

教訓の第1。
福島第一原発のような多重事故は、あらかじめ設定された避難区域から遠く離れた場所に住んでいる人々であっても、家族ともども「ここなら安心」と思える場所まで自主避難させてしまう、という事です。
これはアメリカのスリーマイル島事故でもあったことですが、ペンシルバニア州では当局が避難を命じた対象が3,500人であったのに対し、実際には200,000人の市民が大挙して逃げ出す結果になりました。
このような『連鎖的な』避難は、あちこちで麻痺状態を生み、様々な遅れにつながり、本当に避難しなければならない人々の邪魔をすることになります。

そして避難者の多くが二度と戻って来ません。
東京は福島第一原発から180マイル(280km)も離れているにもかかわらず、かつてここで暮らしていた外国人の5分の1が、福島第一原発のメルトダウンに伴う脱出以降、二度と戻りませんでした。
放射性物質による汚染への懸念は、福島で暮らしていたたくさんの母親たちに一時避難ではなく、子供と一緒に恒久的にこの地を去ることを決心させました。中には福島県内に仕事を持つ父親、夫を残したまま去って行った家族もいました。
原子力発電所事故の避難計画を作成する政策担当者などは、このような現実があることを念頭に置いておく必要があります。

教訓の第2。
福島第一原発の事故は、第一線でこの事故対応を行わなければならない人々に、極めてつらい選択を迫りました。
3.11の災害の状況が明らかになるに従い、東京電力の作業員が被害を免れるため家族を連れ、福島第一原発を去っていくようになりました。
かつてハリケーン・カトリーナが襲ったニューオーリンズでも、似たような現象が起きたことがありました。被害の拡大とともに同地の警察官が家族を連れ避難して行きました。

もちろん、多くの第一線で災害と闘う人々が自らの良心に従って自らの利害を顧みず、地域を守るため職責を全うしようとしました。
福島県の市長の一人は妻が行方不明になってしまったにもかかわらず市役所に留まり、住民の避難の指示を行っていました。後に彼の妻は、津波によって行方不明になっていたことが確認されました。
災害計画の立案者は、第一線で働かなければならない人々が緊急事態の際、家族の安全などについて心を煩わせなくとも済むよう、配慮した避難計画などを作成する必要があります。


教訓の第3。
福島第一原発の事故は、東京電力などが用意していた『正式な』避難計画が形式的で、現実の役には立たない物であったことを明らかにしました。
ラトガーズ大学のリー・クラークは、潜在的に危険をはらむ原子力発電所などの施設運営者は、あらゆる危険について検証し、『未知の危険』を残したままにしてはならない、とずいぶん前に指摘しました。
こうした避難計画は、地元自治体も一度や二度目を通すだけで、電力会社などの施設運営側が法律で定められているから用意している、それ以上のものではありません。

ニューヨークの中心マンハッタンから35マイル(56km)の地点にあるインディアン・ポイント原子力発電所は、事故の際の避難エリアを半径10マイル(16km)としています。
しかしいったん原子力発電が事故を起こせば、放射性物質が降り注ぐ範囲が半径16kmに納まることなどありえません。

かつてチェルノブイリが1986年に事故を起こした際、テレビに出演したフランスの原子力発電所の規制当局者が、事故の影響を軽視した発言を行い、視聴者からの厳しい批判にさらされました。
彼は放射能汚染があたかも国境でとどまるような見解を示し、ビザを持たない限り放射性物質であっても、国境を越え無断で侵入することが無いかのように話をしたのです。

今回の事故で放射性物質による汚染は日本政府が設定した20マイル(30km)をはるかに超えて隣県の宮城を通り越し、岩手県にまで及びました。100前後ある市町村からは7,000に上る人々が自主避難を行いました。

専門家が、原子力発電所事故が発生した場合の影響はどこまで及ぶのか、その範囲の大きさを検討し続けています。
アメリカ原子力規制委員会は、アメリカ合衆国で原子力発電所事故が発生した場合、その周囲50マイル(80km)の緊急避難地帯を設定する案について基本的に合意しました。
これは、福島第一原発の事故が発生した際、当のNRCが日本国内にいたアメリカ市民に対して、避難を勧奨した際の目安となったものです。

かつて行われた調査により、アメリカ国民の半分が、いずれかの原子力発電所の50マイル以内に住んでいることがわかりました。
原子力発電所事故が発生すれば、原子力発電所から50マイル以内に暮らす人すべて – おそらくは数百万人が避難しなければらないと知ったら、多くのアメリカ国民が反原発の側に回ることは間違いないでしょう。

教訓の第4。
スリーマイル島の事故とチェルノブイリの事故後もなおも言われ続けてきた「100%安全神話」に、福島第一原発の事故がとうとう大穴を開けました。
これから原子力発電に関わる人間は、懐疑的になっている一般市民に対して原子力発電の危険性について語るとき、この地球に『生かされている』一人の人間として自らの人間性に問いかけ、恥ずかしくないと確信できる答えをしなければなりません。
エール大学のチャールズ・ペローが認めたように、原子力発電所は規模が大きければ大きい程、多機能であればある程、事故は起こりやすいのだ、と。

さらにもう一つ。
原子力業界の安全で、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギー・原子力発電という約束事は、一度事故を起こせば、そして深刻さが増す一方の核廃棄物の問題の前に、そのすべてが吹き飛んでしまいます。

そして最後に。
これまで事故に対する対策については真剣に取り組んでこなかった原子力産業界において、福島第一原発の事故は3回目のものです。

今回もまた、事故の教訓を軽視するようなことになれば、もう次は無い、という事を肝に銘ずる必要があります。
原子力発電の暴走による国の滅亡は、絵空事ではないのです。

http://edition.cnn.com/2012/05/24/opinion/aldrich-fukushima-lessons/index.html?hpt=hp_c4
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「原子力発電の暴走による人類の滅亡は、絵空事ではない」
というところ、

「原子力発電の暴走による日本の滅亡は、絵空事ではない」

という思いが、恐怖とともに胸を締めつけます。

「自らの責任で」と語る日本の首相ですが、日本国民はそんな付託をしていないことは現実を見れば明らかです。

そして昨日掲載した『汚染されたクロマグロ』の問題にしても、今日下にご紹介した『汚染されたがれき』の問題にしても、事故後・震災後1年以上過ぎてから深刻化し始めています。

そして福島第一原発4号機核燃料プールの極めて危険な状況、そして核廃棄物問題。
かつて
「核廃棄物を敷地内に一時貯蔵するしか無くなって来た原子力発電所。しかし、原発は核廃棄物を『安全に』保管できるよう設計されてはいない」【 核廃棄物 – もうこれ以上貯蔵する余裕は無い 】〈後編〉ニューヨークタイムズ - http://kobajun.biz/?p=1697
という記事を掲載しましたが、大飯原発を再稼働して、その核廃棄物はどうなるのでしょう?
当初計画していた青森県六ケ所村の核廃棄物処理施設の稼働が遅れている現在、これまでの分も、これからの分も、『原発は核廃棄物を安全に保管できるよう設計されてはいない』にもかかわらず、大飯原発敷地内にあるのではありませんか?

そこをもし、福島第一原発と同じような災害が襲えば、原子炉以前の問題として
「原子力発電の暴走による日本の滅亡は、絵空事では」無くなってしまうはずです。

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【 東日本大震災の『有害物質含有』がれきの大量漂着 】

アメリカ・アラスカ

アメリカCBSニュース 5月29日

≪スマートフォンの方はこちら≫
http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57443283/toxic-japanese-debris-piles-up-on-alaskas-shore/?tag=cbsContent;cbsCarousel

アラスカ州モンタギュー島
激烈な地震と津波が日本に恐ろしい被害をもたらしてから1年以上が経ちました。
町ごとそっくり流されてしまった市町村は一、二にとどまらず、確認されただけで16,000人以上が亡くなりました。
船舶類、自動車、そして家までが海面を覆い尽くすほど大量に漂流し、とうとうアメリカの西海岸にやって来ました。
そして今、アラスカ州モンタギュー島の海岸にそのがれきが積み上がり始めています。

プリンス・ウィリアム湾口にはびん類、燃料容器類、スプレー缶、漁具、そして毒性を持つ恐れのある化学物質が流れ込んできます。
「幸いに予算が認められたので、これらの回収処分が可能になりましたが、作業を終えるまでには4年から5年、いや6~7年かかるかもしれません。」
付近一帯から何とかこのがれきを一掃しようと奮闘する、アラスカ湾岸警備警備部門の責任者であるクリス・パリスターがこう語りました。
バリスターはこうした日本から漂着したがれきが積み上がっている場所が、アラスカの西側海岸のいたるところにある、と話しました。
「つまり、私たちは何度も何度も何度も、こうしたがれきを海岸線に沿って回収し、運び出さなけばならない、という事です。」
2013年までに150万トンに上る東日本大震災のがれきが、アラスカからカリフォルニアに渡る北米大陸の西海岸一帯に押し寄せる可能性があります。

現在、プリンス・ウィリアム湾をふさぐ形で存在するモンタギュー島が、太平洋を越えてこの場所に流れ着くがれきの多くを引き受ける形になっています。
がれきのうち軽いものは風によって海面を流されてきます。
そしてもっと多くのものは海流によって運ばれてくるのです。

「こんながれきはそこらじゅうにあるよ。ずっと遠くの方まで。どこまで行っても、どっちを向いても、あたり一面に散乱してるんだ。」
アラスカ湾内でこうしたがれきの除去作業に当たっている、漁師のティム・カバナはこう語りました。

たった一つ喜ぶべき知らせは、これらのがれきが津波によって巨大事故を起こした、福島第一原発が放出した放射性物質には汚染されてはいない、という事でしょう。
「福島第一原発が爆発事故を起こしたのは、これらのがれきが海洋中に流れ出した後でした。
そして専門家の意見では、仮に放射性物質が付着したとしても、放射性ヨウ素とセシウム134 については、その崩壊により、現在は検出されないだろう、という事です。」
アメリカ海洋大気局、がれき処理担当のナンシー・ウォーレスはこう語ります。

しかし前出のパリスターは、発泡スチロールとプラスチック類は永久にその場所に残り続けるため、野生生物や魚類がそれを食べれば、命を落とすことになりかねません。
「今日航空機でここにやって来たのですが、発泡スチロール、特に満潮線一帯沿って大量に散乱している発泡スチロールを見たときには泣きたくなりました。この悪影響は計り知れません。」

この場所での被害は、東日本大震災で日本が受けた被害に比べれば、さほどには大きくないように感じます。
しかし今見てきた被害は、日本ほど遠い場所の話ではありませんし、がれきは自然の産物ではありません。
この素晴らしい自然の中で暮らす人々は、今この問題に取り組もうと立ち上がり始めています。

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【流血が続くシリア】
アメリカNBCニュース 5月30日

[腕を撃ち抜かれた息子を抱く女性]
戦火を逃れようとシリアから川を渡ってレバノンに逃れる際、彼女の息子はシリア国境警備隊により腕を撃ち抜かれた。

[レバノン赤新月社の手当てを受けるシリア人男性]
この男性も同じく、戦火を逃れようとシリアから川を渡ってレバノンに逃れる際、脚を撃たれ、レバノン赤新月社の男性(写真左)の手当てを受けている。

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