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【 想定外、その本当の意味は… 】

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[ 想定していた事故は、世界でまだ一度も起きた事が無い ]
[ 原発とは人類にとって何なのか、何だったのか?! 〈第2回〉]

マシュー・ウォルド / ニューヨークタイムズ 2011年11月11日

ここ(同日ニューヨークタイムズに掲載されたウォルド氏の記事『 http://www.nytimes.com/2011/11/12/world/asia/report-details-initial-chaos-at-fukushima-daiichi-nuclear-plant-in-japan.html?_r=1 』)でご紹介する福島第一原発に関する新しい記録には、災害について何か新たな衝撃的出来事が書いてあるわけではありません。
しかし冷静に観察することにより、地震と津波がどれ程の被害をもたらすものなのか、まだ知られていない指摘と、アメリカの産業界が教訓とすべき基礎的事柄が含まれているかもしれません。

教訓のひとつ、それは緊急時の現場作業員の被ばくをどう防ぐか、という問題です。
福島では2人の技術者が、体内の血液が化学的性質の変化を引き起こしていることを確認できるほどの状態になり、吐き気・嘔吐の症状を呈するとされる60レム(0.6シーベルト)以上の被ばくをしました。
しかし被ばくの主な原因は放射線利用の高い場所を歩き回ったことによるものではなく、内部的原因、すなわち放射性物質を吸入、あるいは嚥下したことによるものです。
体内に取り込まれた放射性物質は、長期間の被ばくをもたらすことになります。

アメリカの産業交流団体・原子力発電協会の原子力安全担当者であるトニー・ピエトランジェロは、2人の被ばくの原因が発電所内での防毒マスクやその他の防護機器の不適切な使用によるものであろう、と示唆しました。
津波と電源の喪失により福島第一原発内では放射線の測定装置が稼働できなくなり、彼らが浴びてしまっている放射線量を正しく把握していない可能性があります。

アメリカの被ばく制限値は高めに設定されています。
日本政府が設定した緊急時の被ばく制限量は10レム(100ミリシーベルト)です。
比較してみると、アメリカでは原発の作業員の年間被ばく線量は通常2レム(20ミリシーベルト)以下に設定され、上限は5レム(50ミリシーベルト)になっています。
しかし3月末時点で、『約100人の労働者が10レム以上の被ばくをしていた』と福島の報告書には記されています。
ほとんどのアメリカ人が自然界から受ける被ばく線量は、1年間で約0.3レム(3ミリシーベルト)です。
逆説的ではありますが、新しい報告書は日本とアメリカ合衆国との間の放射線に関する考え方の違いについて指摘を行っています。
日本人は事故の際、原子炉格納容器に取り付けられていた緊急時換気装置の作動(ベント)を遅らせました。
もし彼らがもっと早く換気装置を作動させていれば、圧力は上昇せず、冷却水の注入も容易だったでしょう。
また、炉心で生成された水素の排出も可能であったでしょう。

最終的に水素爆発が発生、最悪の展開となりました。
アメリカの記録には日本の冬季用句が周辺住民の避難が完了するまで待ち続け、ベント作業を行う前に、政府は開始の宣言を行いました。
そして日本は換気装置を起動する時点で、技術的問題に遭遇しました。
新たな記録には、このベント作業をもっと早く開始していれば、その成功の確率はもっと高いものであったろう、と記されています。
戦闘目的で核兵器が使用されたただ一つの国である、という理由もあり、日本人は放射線被ばくに関して非常に敏感です。
アメリカの原子力発電所の担当者は、こうした事例ではもっとすみやかにベント作業を行うだろうが、どの方向に風が吹いているかにより、人々がどの方向に避難すべきか指示することが大切だと語りました。

8か月前に発生した(原稿発表は2011年11月)について、産業界自身はまだ明確な結論を出していませんが、福島第一原発における作業員たちが行った作業方法の改良についての例を挙げ、世界中の原子力発電所技術者に対する教訓となる、と語りました。

福島第一原発にも一基あるアメリカで設計された原子炉は、設計時に想定された、つまり設計者自身が最悪のケースとして想定した事故には耐えられるよう設計されています。
この『最悪のケース』とは一般的には発電所内の最大の配管が破裂することであり、分断された2か所でそれぞれに発生した問題の性格が、明確に把握できる状態を指しています。
これは『ダブル・ギロチン配管破壊』と呼ばれる状況ですが、実はこうした事故はアメリカでも日本でも、そして世界のどこでも起きたことはありません。

前述のピエトランジェロ氏によれば、目下の緊急の課題は原子力発電の設計も含め、緊急時のために用意されたさまざまな装置が役に立たない事態、あらかじめ想定され、対応可能と考えられていた『ダブル・ギロチン配管破壊』などよりはるかに悪い事態が福島第一原子力発電所で進行中である、という事なのです。

「我々が誰の手も借りずに処理できると考えていた原子力発電の事故、それはきわめて形骸化したものだけだったのです。」

http://green.blogs.nytimes.com/2011/11/11/an-american-look-at-fukushima-minute-by-minute/?scp=6&sq=radiation&st=cse
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結論から言えば、核反応、そして放射線に関して十分な知識も無いまま、原子力発電というものを実用化してしまったため、原子力発電所事故については「想定などできなかった」という事になるようです。

原子力技術者を養成しているある大学の工学部では、中性子の性格を理解させるためある実験を学生にさせるそうです。
直径数センチの穴を2つ開けたスリットを垂直に固定し、特殊な機械を使い片方の穴に向け中性子を一個発射する。
すると発射された中性子は、なぜか2箇所の穴を同時に通過する。
なぜそうなるのか、それに対する説明は
「まだ解っていない。」
というのだそうです。
これは実験を行った学生から直接聞いた話です。

要するに「半分把握できているのかどうか解らない」のが原子力。
その施設を『地震列島』の上に次々建設していったのが、私たち日本人、という事になります。

ただ、イギリスの環境問題を専門にするライターのジョージ・モンビオット - この人は自分は「原発推進派 - ただしイギリス国内に限っての」と宣言している人ですが、福島第一原発に限っては、口をきわめて避難しています。
「操業していいのか、という程古く劣悪な発電所で、その安全対策もきわめて不適切なものだった」
日本人はそんな発電所の操業を黙認していたのだから......

今回の原稿で「もっと早く換気装置を作動させていれば」爆発は防げたのではないか?と指摘している部分があります。
福島第一原発の緊急用換気装置は過去何度も地震が起きるたび作動し、それをいちいち再セットするのが面倒になった発電所が、溶接して作動しないように「改造」してしまっていました。
最近、明らかになったようです。

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【 ヘディングのやり過ぎにご注意 】

アメリカNBCニュース 11月29日
サッカー選手を家族に持つ家庭にとっては、ちょっと考えさせられるニュースです。
それは脳の損傷にかかわることですが、頻繁にヘディングを行うサッカー選手には、脳しんとうを起こした場合に似た軽度の外因性脳損傷が認められる、ということが明らかになりました。
懸念されるケースでは、年に1,000回以上もヘディングをしたプレーヤーがいました。これは練習の間のヘディングも回数に含まれますが、当然お金に換えられる問題ではありません。
ある医師は、脳内の神経線維が断裂を起こし、脳細胞の機能低下を起こしている、と語ります。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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