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【 平和憲法の改変、民主主義プロセスの破壊を続ける安倍政権 】(再掲載)

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憲法第9条により平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいった
軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による集団自殺
軍国主義に縛りつけられていた日本の潜在能力に、躍進する自由を与えた平和憲法

多くの日本人は長く続いた平和な黄金時代に、幕を下ろすことなど一切望んではいない

 

ピーター・ポッパム / インディペンダント  2014年7月17日

安倍&豪州首相
日本の安倍晋三首相は与党が過半数を制する国会の議席数を利用し、日本は集団的自衛権を行使し得るとする憲法の「再解釈」を行いました。
この決定は国民の大きな怒りを買い、その怒りは時間が経っても容易には収まりそうにありません。

日本の現在の憲法は西側の法律家たちによって考案され、敗戦によって自信を喪失していた国に対し施行が課せられ、完全な平和主義の国家の再建設がすすめられることになりました。

 

憲法第9条の条文は次の通りです。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

この憲法の発布以来、日本の国家主義者たちはその規定する内容について「屈辱的な」ものであると憤懣を募らせ続けてきました。
しかし平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいったのです。

日米安保条約に基づくアメリカの軍事力の傘の下にいることも日本人に軍事力の不必要さを感じさせてきましたが、それ以上に多くの国民が日本は平和国家に生まれ変わったのだという認識を持ったことにより、戦前の軍国主義がもたらした様々な恐怖や悲劇からいち早く立ち直ることを可能にしたのです。

大東亜共栄圏03

第二次世界大戦中に日本軍の占領地区における残虐行為などが戦後明らかにされると、当時詳しい事情も知らずに大日本帝国の戦争推進政策に賛同していた一般国民は、驚きと恐怖に打ちのめされました。

『大東亜共栄圏』こそは大日本帝国が創り出した壮大な規模の欺瞞でした。
アジア各国と対等の同盟関係を結ぶ振りをしながら、日本人は各国民に対し人種的に優位に立っているという真意を隠し持ち、天皇を神格化して様々な形で利用しようとしていました。

軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による数多くの若い人々への集団自殺の強制、さらには日本中の都市が壊滅寸前に追い込まれ、多くの民間人が犠牲になったアメリカ軍による空襲、猛爆でした。

 

東南アジア諸国は大日本帝国の侵攻により、西欧の帝国主義国家の植民地からの脱却を果たしたため、当初は恩恵があるように感じた国々もありました。
しかし独立の喜びに浸っていたのもつかの間、間もなく彼らはいやでも日本の醜い真意に気づかざるを得ない状況に追い込まれていきました。
以後彼らは二度と大日本帝国の『恩恵』について、口にすることはなくなったのです。

大東亜共栄圏02
マッカーサー元帥が統治責任者を務める中で公布された平和憲法は、軍国主義に縛りつけられていた日本の並外れた潜在能力を自由にしました。

そのエネルギーは産業の復興に向かい、日本経済を泥沼から引き出しただけでなく、生活水準の改善を著しく改善することになりました。

日本人は別に自画自賛することが大好きな訳ではありませんが、しかし一面では真実です。

1930年代に誇らしげに語られた『大東亜共栄圏』構想は、結局は日本に膨大な数の死と惨めな敗戦をもたらしただけでした。

 

1930年代の軍国主義国家を、1950・60年代の平和主義国家日本と比較してみたらどうなるでしょうか?

『トランジスタ・セールスマン』は、当時の池田勇人首相が推進した高度成長政策について、フランスのド・ゴール大統領が日本人を幾分かの軽蔑を込め揶揄した言葉でした。
しかし日本は近代国家史上2回目となる繁栄を謳歌し、戦時中と異なり日本人が東南アジアで忌み嫌われることはもはや無くなりました。
事実、日本の海外投資のあり方は綿密に調査に基づく緻密なものであり、この点往々にして高圧的であり相手を小ばかにしたような中国のやり方とは対照的なものでした。

憲法第9条01
東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。

それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

 

東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。
それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

それこそが今日本が外交的に危機的状況に追い込まれている本当の理由なのです。

そして安倍首相が憲法第9条の解釈の変更を行うことにより日本という国家の性格と政策を一変させてしまおうとしていることに対し、国内から広範囲な反対が巻き起こっていることの原因です。

 

国内において国民の大きな反発を引き出したものは、安倍首相が行ったそのやり方でした。
巧妙に仕組まれたごまかしというべきかもしれません。
安倍氏はかつて一度、短期間首相の座にいたことがあります。
その時は目立つほどの業績も無く、その後数年間は注目を浴びることもありませんでした。
そして2012年、1980年代半ばから停滞が続いている日本経済を復活させるため、新しい政策を大胆に実行するという公約を掲げて政権の座に返り咲きました。

集団的自衛権01
その政策のシナリオはきわめて複雑なものでしたが、これまで試されたことは無いというメリットを持っていました。
そして今のところ、完全な失敗に終わったということにはなっていません。
しかし東アジア地区において拡大を続ける中国の覇権と争うため、再び日本を強大な軍事力を持つ国家に変貌させる、そのためには日本の国のあり方まで変えてしまうという政策は、本来含まれてはいなかったはずでした。

コンセンサスについての考え以外は、日本の民主主義は完ぺきというには程遠いものなのでしょうか?

 

日本では実業界においても、そして政界においても、民主主義の理念とは相いれないものが奥深く存在するのではないでしょうか?

こうした事情から経済発展の早さと比較して、日本の政治社会の進歩は世界の中でむしろ遅い方だと見られています。 - 多くの場合、日本の企業や政治組織などにあって何か特別な状況が発生した場合には、誰もが同じ方向を向き、上からの命令に喜んで従うという態度を示さなければなりません。
このやり方で安倍首相は日本の平和憲法を踏みにじりました。

日本のニュース解説者などが指摘しているのは、安倍首相の「内閣による解釈の変更」という民主主義とは相いれない手法です。

2007年の第1次安倍内閣の当時、安倍首相は国民投票法を含め思い切った憲法の改変を提案しました。
もし当時の議会の承認が得られれば、成功していたかもしれません。

憲法解釈変更 7
しかしそこに至るまでのあまりに困難な道のりを考え、今回は自分たちにとって簡便な手法を用いることにしたのです。
これによって安倍首相は、本来なら必要とされる国民の合意を取りつけることなく、自らが増強に心血を注いでいる日本の軍事力を海外で行使できるとする解釈を成立させたのでした。

この過程において安倍首相は、民主主義国家において本来許されないはずの行為を繰り返し行いました。
フィナンシャルタイムズの記事にもあった通り、日本の経済を再生するとする安倍首相の取り組みはまだ道半ばです。
その実現のためには、政権をしっかりと支える多くの政治的資本を必要とします。

 

しかしその好戦的、すなわち戦争を挑発して回るような安倍政権の政治姿勢に対する国内外の反感は、本来の目的であったはずの日本の経済再生を失敗に終わらせ、元の木阿弥にしてしまう可能性があります。

なぜ日本はアメリカが主導する軍事行動に、歩調を合わせ続けなければならないのでしょうか?
平和主義は日本にとって、慣れぬ新しい概念ではありません。

16世紀にキリスト教宣教師を追い出した後、日本は世界との交易の扉を閉ざした上で銃器の使用を厳しく制限し、武士が帯びていた刀はやたらと振り回す武器ではなく、名誉の象徴としての位置付けに変わりました。
鎖国と呼ばれるこの政策は、国家間の戦争が多発した時代において、長く平和な時代を日本にもたらしました。

沖縄戦01

戦後の平和主義は経済が停滞していた時期にも、日本人に長い間平穏な生活を保障してきました。

多くの日本人は、必要とされる適切な議論が行われないまま長く続いた平和な黄金時代に幕を下ろすことなど、一切望んではいないのです。

 

原題 : Shinzo Abe’s way of reinterpreting Japan’s pacifist constitution won’t wash
He has bitten off more than he can chew
http://www.independent.co.uk/voices/comment/shinzo-abes-way-of-reinterpreting-japans-pacifist-constitution-wont-wash-9613153.html
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