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【 なぜ『自民圧勝』になってしまうのか?そのほんとうの理由を考えよう 】[エコノミスト]

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日本の政治家を選ぶのは後援会と地方の選挙組織、民意が反映されにくいシステムが完成済み
自民党議員の5分の2以上が世襲の議員、小選挙区のその議席は『指定席』、落選の憂き目に遭う可能性は極めて少ない
親戚間での競争に勝てば、あとは有権者に民意を問わなくとも『当選確実』な候補者になれる

エコノミスト 11月29日

民主党政権交代を境とする世襲政治家の増減

民主党政権交代を境とする世襲政治家の増減

日本にこんな格言があるのをご存知でしょうか?

木から落ちても猿は猿だが、選挙を落ちた議員はただの人

小規模な産業界の族議員は別ですが、選挙で落選した議員の末路ほど哀れなものはありません。
このことが今、12月14日に投票が行われる抜き打ち選挙で、自民党内に不安の火花を散らせていますが、一部の議員たちはさして心配もしていません。
それは政界に家族親戚による決して小さくは無い勢力を築いている『ファミリー議員』達であり、その数は日本において増え続けています。

ぼっちゃん政治(世襲制により順を追って地位と選挙地盤を相続していく独特の政治風土)は日本の政界においてごく当たり前に行われています。
自民党議員の5分の2以上は、かつて父親、祖父、おじおば、あるいは姻戚が国会に議席を有していたいわば世襲の議員であり、その議席は『指定席』であり、まず落選の憂き目に遭う事はありません。

2014選挙
世襲議員はかつて民主党が衆院選で大勝し政権交代が行なわれた時にいったんは減少しましたが、その後再び衆参両院において増加を続けています。
彼らは親戚との間で地位を争う必要がありますが、それに勝てばあとは有権者に民意を問わなくとも『当選確実』な候補者になることができます。
現在の安倍内閣の19人の閣僚のうち8人までが、国会議員、あるいは地方議員である親類を持っています。

議員にとってファミリー議員であることのメリットは、実に大きなものがあります。
後援会、あるいは地元の支持者によって構成される強力な選挙マシーンに乗っかるだけで、選挙に勝つことを可能にする圧倒的知名度を獲得することが可能です。
万が一不幸にもその候補者が落選するようなことになっても、選挙区内における一族の圧倒影響力は、次の選挙までどこか地元の企業で糊口をしのぐことを可能にしてくれます。

日本の衆議院選挙は任期満了を迎えることなくほぼ2、3年おきに実施されますが、ファミリー議員は一般有権者に対して支持・支援を求めなくとも落選の危険性はほとんどありません。
これが今、ファミリー議員が少ない野党の民主党が、自民党の世襲議員が立候補している選挙区に有力な対立候補を擁立できない理由のひとつなのです。

民主党が政権にあった2009-12年、国民の多くが政治家という職業が世襲制によって独占されている状態の解消が制度化されることを願っていました。
しかし結局は民主党も何もしませんでした。
ことに民主党初の首相であった鳩山由起夫氏も、不幸なことに世襲政治家の代表的存在であったのです。
今や一般の国民は、日本の政治家の世襲制については改善の見込みは無いと、半ばあきらめてしまったようにも見受けられます。

しかし、政界に改善の動きが途絶えたわけではありません。
自民党内にも自らの力で国会にたどり着かなければならなかった議員たちの中に、改善を求める動きがあります。

小渕優子
一方ではこんな現実もあります。
小渕恵三前総理大臣の娘である小渕優子氏は『王女』と呼ばれ、父親の死によって26歳から国会議員の職にあり、安倍内閣の閣僚に就任しましたが、事務所のメンバーによる政治資金規正法違反が明らかになり、嵐のような批判が巻き起こり辞任せざるを得なくなりました。
しかし今度の選挙で小渕氏が6期目の議席を失うことはまずありえません。

ところでぼっちゃん政治家は日本にとって悪い存在なのでしょうか?

現在の安倍晋三首相は祖父であり、第二次世界大戦直後に首相を務めた岸信介氏の熱意を受け継ぎ、アメリカ占領下に成立した日本国憲法の戦争の放棄に関する解釈を変更しました。
この点が安倍首相の政治的弱点だと見られています。
政治家一族の代々の方針は別だとしても、世襲政治家が彼らを政界に送り込んだ利益団体の利害に反する行為を行う事はまず許されません。

青森県選出の国会議員で現在は引退した津島雄二氏は、現在は長男である津島淳氏が一族の6代目政治家として衆議院議員を務めていますが、1947年に妻の伯父が県知事に就任して以来、農業が主たる産業である青森県の選挙地盤を引き継ぎました。

しかし彼は政治家の世襲制が続くことの欠点を理解しています。
政治家の多くが世襲制によって占められてしまうことは
「決して良いことではありません。」

http://www.economist.com/news/asia/21635073-political-families-are-rise-district-born?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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今度の衆議院議員選挙が自民党の圧勝となってしまうことについて声も出ない程がっかりしていらっしゃる方も多いでしょう。
私もその一人です。

そうなってしまった大きな原因の一つがこの記事に詳説されていますが、もうひとつは大手メディアによる世論支配があると思います。
かつて中曽根政権時代の閣僚名簿を作っていたのは大手全国紙Y新聞のW社主であったという話を聞いたことがありますが、その新聞が『日本の世論』の重要な一角を支配している以上、真の民主主義を築くための取り組みが簡単にいくはずがありません。

そして民主党が国民が望んでいた事をとことん読み違えていたことも、さらなる原因として挙げられるでしょう。
私は民主党政権当時、『小沢外し』という扇の要(おうぎのかなめ)を自分で壊すような行為に及んだときに『何をやってるんだ?!』と思いましたが、以後自壊を重ねていきました。
野田政権時代に原発廃止に及び腰であったことを含め、国民に対し、これまでのことを清算するための謝罪が必要ではないでしょうか?

そして共産党は上記権力側のメディアが作りだした、『共産主義は危険』という悪意のイメージを徹底的に払しょくする活動をしなければならないと思います。
日本史においては幸徳秋水の『大逆事件』などのように、ふたを開ければ事件の実体などほとんど何もなかったのに、あたかも重大な陰謀が存在したかのような権力側のプロパガンダがそのまま史実とされてしまった例もあります。
日本共産党は20世紀前半にあった暴力革命をめざしているのではなく、より大きな資本を持つものが弱者を蹴散らしていく資本主義社会にあって、弱い者の人権を守るための論理・倫理の確立を目指しているのだという認識を、一日も早く確立普及させて欲しいと思います。

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