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【 国際的にも悪名高い高速増殖炉、もんじゅに停止命令 】〈前編〉

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所要時間 約 7分

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度重なるトラブル、度重なる停止、まったく生かされていない福島第一原発の教訓

ワシントンポスト 5月15日

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日本の原子力規制委員会は5月15日、事故が相次いでいるプルトニウムを核燃料とする高速増殖炉もんじゅの安全運行義務違反があったとして、再稼働を強化しない方針であることを明らかにし、原子力発電の継続を企図する現政権の方針に一石を投じました。

今回の原子力規制委員会の決定は、日本の高速増殖炉計画と核燃料リサイクル計画に対する一撃となりました。
日本の安倍信三首相率いる日本政府は、貯まりづける核廃棄物の処分と、貯蔵量が増え続けるプルトニウムの備蓄の減少のため、もんじゅが中心的役割を担う事を期待しています。

さらに同日これとは別に、原子力規制委員会は地質学者の調査に基づき、もんじゅの近くにある敦賀第二原子力発電所の直下に活断層がある事を認定、日本では稀な例ですが原子炉が廃炉になる可能性が出てきました。

もんじゅは燃料として従来のウラン燃料に代わりプルトニウム燃料を使用しますが、稼働すれば再度燃料として使用が可能な核廃棄物を産出します。
西日本の敦賀市にあるこの原子炉は建設からすでに50年が経ち、これまでずっと稼働への取り組みが続いてきましたが、未だに稼働できずにいます。

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原子力規制委員会の5人の委員たちは、もんじゅの管理運営を行う『日本原子力研究開発機構』が、安全を確保するための充分な対策を行っていないと、全員一致で結論付けました。
原子力規制委員会は日本原子力研究開発機構が多数の設備の劣化に関する調査を繰り返し怠り、設備の更新が行われる事無く今日に至っている点について、指摘を行いました。

各国の専門家は、もんじゅについてもはや八方ふさがりの状態であり、日本はその核燃料サイクル計画を早々に断念すべきであると指摘しています。

民主党の前政権は長期的に原子力発電を廃止する方針を示し、もんじゅについてもその計画を廃棄する方向を示しましたが、昨年12月に政権交代を果たした自民党の安倍政権は、いち早くこの原子力発電の廃止路線を覆し、2011年3月地震と津波が原因となって発生した福島第一原発の事故以降、停止したままの日本国内の原子力発電所再稼の方針を推進する姿勢を明らかにしています。

現在日本国内では、稼働可能な50基の原子力発電所と炉の内、2基だけが稼働しています。

もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構はこの判断に対し、異議を申し立てることができますが、原子力規制委員会の関係者は正式な停止命令が5月末にも出される可能性があると語りました。
日本原子力研究開発機構は遅くとも来年1月までに、遅れている安全点検を完了させなければなりません。
しかし、いつ停止命令が解除されることになるのかについては明らかではありません。

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原子力規制委員会の田中俊一委員長は報道関係者に、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構には安全確保を何より大切にするという『安全に対する認識』に欠けるところがあり、そうした企業姿勢は厳しい処置を受けるに値すると語りました。

「日本原子力研究開発機構は原因は究明済みであると語りながら、同じ内容の事故やトラブルを繰り返し発生させてきました。」
「安全遵守についての基本的理解にかけていると、言わざるを得ません。」
田中委員長はさらに続けました。
「福島第一原発の事故より厳しい教訓を突き付けられたにもかかわらず、日本においては尚、安全確保に対する意識が不足しているように私は感じています。」

日本はかつてそのエネルギー需要を自国内ですべて賄うための核燃料サイクル計画の目玉として、『夢の原子炉・もんじゅ』の計画を立ち上げました。

日本はこの使用済み核燃料燃料サイクル計画を完全なものに仕上げるため、北日本に六ヶ所村再処理施設を建設しました。
この場所で、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを抽出し、この2つの核物質から再度複合型の核燃料を加工製造する計画でした。

しかし、もんじゅ、六ヶ所村いずれもが技術的問題を解決することが出来ず、計画は頓挫、国内外で大量のプルトニウムの在庫を抱え込むことになってしまいました。
その上、諸外国からはプルトニウムの備蓄を増やしたことについて、核兵器製造の意図について疑いの目を向けられることになってしまったのです。

もんじゅトラブル
ところでもんじゅによる原子力発電は成功したことがあるのでしようか?混合酸化物燃料、すなわちウラニウムとプルトニウムを使った燃料で?
1995年実験が成功したと報じられたわずか数か月後、もんじゅは冷却剤として使われるナトリウムの大量の漏出事故により火災を起こし、停止に追い込まれました。
さらに2010年には燃料交換機が格納容器内に脱落する事故を起こし、再び停止を余儀なくされたのです。

〈後編に続く〉
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japans-nuke-watchdog-to-stop-troubled-plutonium-burning-test-reactor-over-safety-violations/2013/05/15/9c8b3238-bd2b-11e2-b537-ab47f0325f7c_story.html
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ワシントンポストは「【 恐ろしい勢いで、国民の税金をどぶに捨て続ける『夢の原子炉』 】70年も遅れている実用化「1兆円をかけて生み出されたものは、度重なる事故、そしてたった1時間の発電」ワシントンポスト - 全文翻訳は → http://kobajun.biz/?p=1932」など、これまでも『もんじゅ』の問題を繰り返し取り上げてきました。

もんじゅはまさに日本の原子力の『ズブズブ』の象徴なのかもしれません。
その『ズブズブ』への支持を表明してはばからない政治家は、自らも『ズブズブ』の住人であることを宣言していることになるでしょう。

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