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【 国連はフクシマ、チェルノブイリの健康被害を過小評価 】《前篇》

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所要時間 約 7分

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チェルノブイリの現地調査もせず、『報告書』を公表したWHO
WHOとIAEAの『密約』の存在

ジョージ・ガオ(国連本部)/ IPSニュース(イタリア) 6月26日

チェルノブイリ04
国連は、原発事故により環境中に放出された放射線が被災地における住民の健康に及ぼす被害について、不正確な報告書を公表したとして、専門の科学者と市民団体から批判を浴びています。

科学者と医師によって構成された代表団が6月の第4週、国連の担当部局と面談し、議論を行いました。
国連側は今回の報告書の作成その他の作業において、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機構(WHO)、放射線の影響に関する国連科学委員会(UN Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation - UNSCEAR)を含む各部局の協力を得ながら作業を進めてきました。

5月の時点でUNSCEARは、2011年に発生した福島第一原発の事故による放射線被ばくが引き起こす健康被害について、「差し迫った危険は無い」との見解を明らかにし、「長期にわたる健康上のリスク」も発生する確率は極めて低いとも述べていました。

「その見解は明らかにまちがっており、合理性を欠いています。」
長年核による健康被害の問題に取り組み、その危険性について啓蒙活動を行ってきたオーストラリア出身の医師である、ヘレン・カルディコット博士が批判しました。

「健康被害は実際に起きているのです。多くの人々に鼻血が止まらない、髪の毛が抜ける、嘔吐や下痢などの急性放射線障害様の症状が現実に起きているのです。」
カルディコット博士がIPSの取材に対し、このように答えました。

放射線測定
UNSCEARの報告は2月に公表されたWHOの報告に続くものですが、WHOは福島第一原発の事故後のガン発症率に目立った変化は無く、健康被害も低いものであると予測する一方、低線量の長期被ばくについては、長期間の調査が必要だとしていました。

WHOの報告は、具体的健康被害よりも住民への心理的状況による被害の方を警告していたのです。

UNSCEARやWHOの報告が妥当性を欠くものだとすれば、なぜ両機関がこのような報告を行ったのか、カルディコット博士に質問しました。
カルディコット博士はWHOが世界の場で原子力発電を推進する立場の国際原子力機関(IAEA)との間に、1959年に交わした協定( http://www.crms-jpn.org/doc/IAEA-WHO1959.pdf 市民放射能研究所 http://www.crms-jpn.org/art/112.html の公開による)の存在に言及しました。

「WHOはまるでIAEAの召使い同然の存在です。」
カルディコット博士がこう語りました。

彼女はガーディアン紙が主宰した討論の場で、ジョージ・モンビオット(英国の原子力発電推進派のコラムニスト)と議論を戦わせたことがあります。
モンビオットは地球温暖化対策上、原子力発電は石炭火力発電に対する最も有効な代替プランだと主張しました。

「1959年の協定は非常に読みにくく理解しにくい文章でつづられていますが、その内容は一般市民にとってはスキャンダルとも言うべき内容のものです。」

チェルノブイリ03
国連総会において、2006年~2016年を「回復と被災地の持続可能な発展の10年」と定義づけた際、国連は旧ソビエト連邦領内で1986年に発生したチェルノブイリ事故によって環境中に放出された放射性物質の被害を受けた地域の「開発アプローチ」として、補償を進めることに専念しました。

国連の具体的な活動内容は、2005年のチェルノブイリ・フォーラムが行った科学的調査に基づくものです。
同フォーラムはベラルーシ、ロシア、ウクライナから参加したメンバーとIAEA、そして世界の中でも開発計画に影響力を持つ組織の中から世界銀行など7つの機関から派遣された専門家によって構成されていました。

チェルノブイリ・フォーラムはチェルノブイリ原子力発電所事故を『低線量事故』と表現しました。

それはこう述べています。
「汚染された地域に住んでいる大多数の人々は、実際のところ、放射線被曝による著しい健康被害を示す傾向には無い。多くの家族はこれまでと変わらない生活を維持することが可能である。」

チェルノブイリ06
カルディコット博士はWHOについて、こう語りました。
「彼らはチェルノブイリについてのいかなる調査も行いませんでした。彼らは『予断』を語ったに過ぎないのです。」
そして博士はニューヨーク科学アカデミーによる2009年の報告書を引用しました。
そこにはWHOの報告書とは異なる現実が報告されていました。

〈 後篇につづく 〉

http://www.ipsnews.net/2013/06/u-n-downplays-health-effects-of-nuclear-radiation/
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

記事の最後に出てくる、ニューヨーク科学アカデミーの報告内容については、実はこのIPSの記事の後編には出てきません。
この報告書をもとに福島とチェルノブイリの現状について、カルディコット博士が告発した記事をニューヨークタイムズが掲載ましたが、【星の金貨】が1年前に翻訳・掲載しましたので([ 原子力発電の偽りだらけのプロパガンダ、そして大事故は「もうたくさん!]http://kobajun.biz/?p=1584 )、よろしければそちらをご参照ください。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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