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【 北朝鮮は今回の失敗をどう言い訳するつもりか?! 〈前編〉】

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所要時間 約 7分

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[技術的な破たんが政権内部の人間たちの破たんにつながる可能性]

NBC放送宇宙問題解説者ジェームズ・オバーグ / NBCニュース 4月12日 (日本時間13日)

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平壌、北朝鮮 - 北朝鮮の期待を背負ったクワン・ミョンソン3号衛星の待望の打ち上げは、結局のところ失敗に終わったようです。

何が起きたのでしょうか?

すでに打ち上げ前の金曜日の時点で、この失敗は視野の中にありました。
今週北朝鮮国内に入り、彼らの『宇宙計画』をつぶさに観察する機会を得た私は、この国に果たして地球観測衛星を地球の周回軌道に乗せる技術があるのかどうか、疑うようになりました。

今回の打ち上げ失敗は、今後起こり得る数多くのシナリオを生みだすことになりました。
打ち上げ失敗の原因は、それを取り巻く様々な状況に帰することができます。

では失敗の状況はどのようなものだったのでしょうか?
まず最初に考えられるシナリオは、今回の失敗の舞台となった新しいサハエ発射基地そのものの爆発事故です。
これは基地周辺で聞こえた爆発音だけではなく、基地からの発射映像が公表されなかったことにからも、深刻な事態がそこで発生した可能性を示唆しています。
北朝鮮がニュースで「発射は無期限に延期された」と伝えずに「何も報道しない」場合には、そこでは想像もできないような事件が起きている、という事が考えられます。

基 地の北側にはたくさんの村がありましたが、ここの住民たちもそれがロケットの発射と関連があるかどうかは特定できないとしても、爆発音には気がついたはずです。
しかしこの秘密警察国家にあっては、その噂がたちまちのうちに広がっていく、という事にはならないと思います。

上昇が始まって間もなく、ロケットは首都平壌を含むこの国の西部上空を飛行していたはずです。
しかしこの『渾身の取り組み(NASAアメリカ航空宇宙局が出来の悪い発射実験に対して使う婉曲表現)』に関してNASAは、ロケット噴射の光跡も、エンジン音も確認していません。

たくさんの人が発射の瞬間を目撃できたはずですし、外国特派員は写真撮影ですら可能だったはずです。
しかし、発射の瞬間の一分以内に撮影した写真、あるいはビデオが公開されない限りは、本当は何が起きたのかを確認することはできません。

もう一つ考えられる失敗は、ロケットの打ち上げは成功したものの、南方の水平線上に姿を消した後の墜落です。
衛星を地球周回軌道にのせるためには、徐々に傾斜させながら姿勢制御を行う高度な操作が必要です。これを行うための第三段階の点火には成功したものの、北朝鮮の追跡技術をもってしては捕捉不可能な方向にロケットが飛んでいってしまった可能性があります。

衛 星が軌道に乗って周回を始めたとして、11時間後でなければ北朝鮮の無線到達距離内に衛星は入ってこないので、それまでの待機時間は北朝鮮にとっては耐え難い時間となるはずです。
これは、極点を通る技術的に難しい軌道を通過する衛星の追跡を行った、私自身の実際の体験に基づく意見です。

▽宇宙はたやすく何かができる場所ではない

基本的に『宇宙は難しい』場所であり、そのために数々の悲劇が生まれました。
特に経験のないものにとっては、とりわけ難しい空間なのです。
どの国においても、宇宙開発に着手したばかりのころに失敗が集中し、その後徐々に減っていく傾向にあります。

しかし宇宙開発には、単なる不注意や軽率な判断などというものをはるかに超えた難しさがあります。
飛行計画は日常的に行われるエラー検出により見つかった問題を、診断し訂正していくだけで、計画の進行が遅れてしまうことなど日常茶飯事です。

もし技術者が実現不可能なスケジュールを押し付けられたがゆえに細部の点検を怠り、必要な手順を省いたりすれば、要な選択肢が見落とされ、 必要不可欠な訂正が行われなくなる可能性があります。
過去に発生したこうした実例については、一度検証してみる価値が十分にあります。

今回の北朝鮮のスケジュール上のプレッシャーは、この国の歴史によって作られた記念日に何としても間に合わせる必要から生まれました。
このようなプレッシャーが宇宙計画のスケジュールに持ち込まれると、往々にして致命的な失敗につながるということは、宇宙の専門家にとっては常識中の常識なのです。

北朝鮮における状況は今回、欧米のジャーナリストを招待し、「打ち上げフィーバー」を煽ったことにより一層悪化することになりました。
誰もが思う事ですが、この国の指導者を神格化し、宗教的情熱と献身を誓い、現場で働く技術者たちが問題点や疑問点を指摘することを可能にする余地など、ほとんど無かったに違いありません。
疑いが生じたときは、偉大なる国家指導者の著作などから印象的なフレーズを引用し、やみくもに前進して見せるしかなかったのでしょう。

これは気にかかる以上のものと言わざるを得ません – こ れは災害を引き起こすためのレシピとでも言うべきものです。
すべての技術者や労働者は、発言し、是正措置を勧告する勇気を持たなければなりません。
この国の世界的にも悪名高い、重要な問題については盲信を強要し異論をはさむことを許さないこの国特有の体質を、少なくとも技術分野からは一掃できるかどうか。
それこそが今回の訪問によって体験した限りにおいての、この国の最重要課題です。
〈つづく〉

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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