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【 原子力発電と戦い続ける一匹狼、日本の元首相 】《前篇》

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所要時間 約 10分

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日本は原子力発電よりはるかに費用が安い太陽光発電などの再生可能エネルギーへ転換すべき

停止中の43基の原子炉のうち約30基まで再稼働させる、それが安部首相の目標

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2016年12月31日

 

米国海軍の軍曹であったウィリアム・ツェラーは2011年、巨大地震と巨大津波がひきがねとなって福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンした際、日本に対する援助を行うため緊急任務に従事した数百人の海軍将兵のひとりでした。

帰国して間もなく、彼は体調に異変を生じ不調を訴えるようになりました。

 

現在彼には神経障害と骨腫瘍の異常な増大が認められ、その原因について彼はアメリカ軍の航空母艦ロナルド・レーガンの乗員によって実施された人道作戦に従事していた間の放射線への被ばくにあるものとしています。

彼を含むロナルド・レーガンの乗員400名は、彼らがり患した白血病と甲状腺異常などの原因が福島第一原発が放出した放射性物質に原因があるとして東京電力に対する訴訟を起こしていますが、今のところ彼らの担当医も米国政府もその主張を認めようとはしていません。

 

しかし1人の突出した人物が、これらアメリカ海軍の兵士たちを支援しています。

小泉純一郎氏、日本の元首相です。

小泉氏は2016年5月、米国のサンディエゴを訪れてウィリアム・ツェラー軍曹を含む海軍将兵に面会とした後、記者会見の席上で涙を流しながら記者会見に応じました。

帰国後小泉氏は数か月をかけて日本全国を旅し、彼らの医療費の足しにするため募金活動を行ってきました。

 

この通常では考えられないキャンペーンは、日本国内にあって原子力発電に対する最も積極的な反対運動のひとつであり、政界を引退した後にはっきりと態度を翻した小泉氏のまさに最新の象徴的行動でもあります。

首相在任中の2001から2006年、小泉氏は原子力発電の支持者でしたが、今や断固として反対する立場をとり、日本国内にある54基の原子炉すべてを永久に停止するよう求めています。

 

日本国内の原子炉は福島第一原子力発電所の事故後、いったんすべて停止し、現在もそのほとんどが停止したままです。

「私は日本における原子力発電ゼロというゴールを目指し、懸命の努力を続けるつもりです。」

小泉氏は東京都内の会議室で行われたインタビューで、こう語りました。

 

小泉氏の方針転換はそのままかつて自分も所属していた政権与党の自民党、そして現在の安倍首相に対し反旗を翻したことになります。

自民党も安部氏も、かつて日本の全電力の3分の1を賄っていた原子力発電事業の復活を推進する立場をとっています。

 

しかし小泉氏が原子力発電への反対姿勢を明確にしたことは、驚くべき事ではないのかもしれません。

小泉氏は日本の郵政事業の民営化を実現させるため、過去にも自身が所属する自民党と戦った経験を持っており、「ザ・デストロイヤー」と呼ばれていた時期もありました。

 

小泉氏が原子力発電に関する見解を180度転換させる宣言を行なったのは3年前のことです。

彼は日本が太陽光発電などの再生可能エネルギーへと、発電手段を転換すべきだと主張しました。

「これらの発電方法の中で、原子力発電より高額なものは何一つありません。」

 

引退後小泉氏は世間から忘れられたようにして最初の数年間を過ごしました。

しかしここ数か月は、自身の方針転換後の主張をより積極的に展開するようになりました。

そのきっかけとなったのがサンディエゴで面会した海軍将兵たちの心に訴えかけてきた言葉の数々であり、より多くの取り組みを行うべきだと考えるようになったのだと小泉氏が語りました。

 

[写真下 : 2016年3月時点の福島第一原発の北にある福島県浪江町の様子。安倍首相はかつて全電力需要の3割を担っていた日本の原子力発電について、本格的再稼働を行うと宣言しました]

放射線被曝が『トモダチ作戦』に参加した海軍将兵の疾病原因であるかどうかについて、科学者の間では見解が分かれています。

議会の諮問に基づくアメリカ国防総省の報告書は、これらの海軍将兵の病気は福島第一原発が放出した放射線による被曝に原因があるとすることについて、「信じがたい」と結論づけました。

 

多くの政治評論家が見る限り、引退後に小泉氏が行っている取り組みは首相在任中から一貫して続く他にあまり例のない姿勢に裏打ちされています。

率直な言い方で日本の官僚支配に対しては根本的な反対姿勢を明らかにする一方、エルビス・プレスリーを愛していることを情熱的に語るなどし、日本国内はもちろん国際社会の観衆をも魅了してきました。

 

原子力発電の本格的再稼働への決意表明をしている安倍政権が率いる自民党が衆参両議会の過半数の議席を制している現実を前に、小泉氏の反原発キャンペーンがどれだけの人々を惹きつけることが出来るのか疑問視する政治評論家もいます。

 

日本ではすでに2基の原子炉が本格的に稼働していますが、15年以内に全電力の20%を原子力発電によって賄うという安部首相の目標実現のためには、停止している43基の原子炉のうち約30基を再稼働させる必要があります。

尚、11基の原子炉については恒久的廃炉の措置が決定しています。

福島第一原発が事故を起こした1年後、西日本にある大飯原発の再稼働決定に対する怒りを表明するため、数万人の市民が東京都内の首相官邸近くの路上で抗議行動を行いました。

一般市民が路上でこれ程の規模の抗議行動を行う姿は見られなくなりましたが、世論調査の結果は

日本の有権者の約60パーセントが原子力発電を再開することに一貫して反対していることを明らかにしています。

 

「平均的日本人は、エネルギー問題にそれ程興味を持っているわけではありません。」

ノースイースタン大学の政治学のダニエル P.オルドリッチ教授がこう語りました。

「ただし原子力発電には反対です。そのために、原子力発電の再稼働を推進するという姿勢に変わりは無いため、政権の座から追われた民進党には投票する気は無いのです。」

 

〈後篇に続く〉

http://www.nytimes.com「A Maverick Former Japanese Prime Minister Goes Antinuclear」

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【 市民の権利を歴史に刻み続けた生涯:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 】《1》

 

アメリカNBCニュース 2017年1月16日

 

バプティスト派キリスト教の牧師であったマーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、人種的な正義の実現を飽くまで平和的手段にのみ訴え続け、市民権(公民権)運動を前進させました。

しかし彼は1968年、暗殺という最悪の暴力によって生涯を終えることになってしまいました。

1955年満員になったホールト通りのバプティスト教会で演説するキング牧師。(写真上)

 

1956年5月アラバマ州モントゴメリーの自宅でくつろぐキング牧師。(写真下・以下同じ)

1956年2月23日ラルフD.アバーナシー牧師とともに、モンゴメリー市警察の事情聴取を受けるキング牧師。

市民権運動を行っていたキング牧師は、バス・ボイコット運動を指導したかどで大陪審によって告発され逮捕されました。

バス・ボイコット運動◆黒人の地位向上運動の一環として行われたバスのボイコット運動。1955年12月1日、白人客に席を譲らなかったために黒人女性Rosa Parksが逮捕されたことを転機に、Martin Luther King Jr牧師らの呼び掛けで同月5日に実行された。当時、バスは黒人差別行為の温床の一つであった。( アルク http://eow.alc.co.jp/search?q=book より)

1956年3月22日モンゴメリ市の裁判所から出てきたキング牧師にキスする妻のコレッタ。

市バスをボイコットするという『陰謀』を企てたとして陪審員は彼を有罪にしましたが、裁判官はキング牧師を500ドルの罰金に処するという判決の審理を中止にする決定を下しました。

1957年5月17日ワシントンD.C.にある国立モールで、自由を勝ち取るために集まった数万人の群衆に向けて演説をするキング牧師。この日集まった群衆の数は25,000人と推定され、今日に至るまで最大規模の市民権デモンストレーションとして歴史に記録されることになりました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/martin-luther-king-jr-n707546

 

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