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【 フクシマのトリプル・メルトダウン後の世界 : 再び事実の歪曲が始まる 】《3》

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所要時間 約 8分

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放射線はガンという細胞を破壊しているだけ、健康な細胞を復活させているわけではない
福島第一原発の事故から教訓を得るどころか、原子力産業の欺瞞に満ちた広報活動が活発化している
健康な人の体内メカニズムの中で、放射線が何か有益な効果を発揮したという事が科学的に証明されたことなど一度も無い

スー・プレント / フェアウィンズ 11月 17日

核廃棄物01
微量の放射線なら人間の健康に害はないというホルミシス理論を世間一般に流布させることは、原子炉を作っているような原子力産業はもちろん、放射線医学(科学)業界にとっても大いに助かる事なのです。
キャロル・マーカス医学博士たちのアメリカ原子力規制委員会への嘆願書から読み取れるのは、医療診断およびガンの放射線治療において放射線が有益な働きをしていることを根拠に、放射線そのものがあたかも人体にとって有用であるかのような理論を用いているという事実です。
しかしそれは長年に渡るドイツでの研究を始め、多くの研究結果が否定しているはずです。

放射線によるがん治療というものが、人間の免疫機能を活性化させたり病変した細胞を賦活させたりするのではなく、ガン細胞を放射線によって破壊するというきわめて限定的な使われ方をしているのだという点を私たちは再確認し、放射線が人体に良い影響を与えるなどといういい加減な理論にしっかりと反論していく必要があります。
どんなに微量の放射線であっても、それを放射することによって健康な人の体内メカニズムの中で、何か有益な効果を発揮したという事が科学的に証明されたことなど一度も無いのです。

NBC福島02
マーカス医学博士たちのアメリカ原子力規制委員会への嘆願書を公平な目で見直せば、そこには彼女たちの専門分野の作業の邪魔になっている、各種の放射線から人間を守るための各種の基準を骨抜きにしようという記述がなされていることに気づかされます。

放射線被ばくの制限を設定する際、LNT理論を基準として採用することを止めるようアメリカ原子力規制委員会に提出された保健物理学者のマークL.ミラー博士の第2の嘆願書の記述は、その多くがマーカス医学博士の嘆願書の引用です。
この事実は両博士が、協力関係にあることを示唆しています。

第3の嘆願書は、微量の放射線なら人間の健康に害はないというホルミシス理論を最も強く支持しているモーハン・ドス博士が率いるグループによって提出されました。
その嘆願書に名を連ねているのは、原子力産業界に多額の投資を行い、利益を得、そしてさらに獲得する利益の拡大を図っている人々です。
フォックス・チェース癌センターのウェブサイトには、MCCPM(カナダ医科物理大学)のモーハン・ドス博士は
「低線量の放射線を用いたガンの予防と治療、およびガン以外への放射線治療の応用」を含む放射線科学の専門家であると紹介されています。

110621
モーハン・ドス博士は微量の放射線が人体に有益であるという都合の良い理論の論拠として、温泉療法を論拠としています。
ドス博士、ミラー博士、マーカス医学博士の3人は共同でニューヨークタイムズの取材に応え( http://www.nytimes.com/2015/09/22/science/when-radiation-isnt-the-real-risk.html )、福島第一原発の事故による避難生活のストレスによる自殺、あるいは避難期間中の事故による死者の数を挙げ、そもそも避難は必要性が薄く、不必要な避難によってこれらの死がもたらされたのであり、原子力発電そのものが問題なのではないと主張しています。

ニューヨークタイムズの記事は続けて、被ばくした線量あるいは被ばくしている放射線の量が微量なものでしかない、本来非難が不必要な場所まで避難区域に繰り入れてしまったために、不必要な死を量産してしまったと主張しています。
しかしこうした見解は、客観的な科学的検証によってすでに否定されているはずです。

しかし実際には原子炉が存在しそれが一度に3基も事故を引き起こしたことにより、避難を余儀なくされた人々は恐ろしい程のストレスを課されることになったのです。
この、原子炉が事故を起こすという事態は、二度と許されるものではありません。

Fukushima residents
こうした事実を歪曲することによって実際に起きた出来事の性格を変えてしまおうという試みは、裏で協力し合っている疑いのある原子力産業界と規制当局とが、原発事故が『不必要な』避難を周辺住民に強制したという事実を忘れ去られるよう仕向けるための卑劣な手段です。

もしアメリカの原子力規制委員会がこれまでご紹介した3人の科学者たちの意見を容れ、放射線被ばくに関する制限を緩めることになれば、原子力発電所の周辺で生活する人々により一層の放射線被ばくの危険を強いることになります。
そして原子力産業界は必要とされている安全対策や放射能汚染の除去、事故収束などの作業のために必要になる数十億ドル単位の費用を節約することが可能になるでしょう。

原子力産業界が今行っているプロモーションを見れば、彼らは福島第一原発の事故から教訓を得るどころか、欺瞞に満ちた広報活動が活発化していることに気づかされます。

一般市民の健康を脅かす危険は、今非常に大きくなりつつあります。

〈 完 〉
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education/demystifying-nuclear-power-problem-in-a-post-fukushima-triple-meltdown-world-do-the-numbers-work-for-atomic-power
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【 12月16日までの報道写真から 】

アメリカNBCニュース 12月13日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

day 1
12月13日、スイス、ローザンヌ近くのジュネーヴ湖のクルージング。(写真上)

12月13日、バチカンを訪れた子供にキスするローマ法王フランシス1世。法王は17日80歳の誕生日を迎えました。
day 2
ギリシャの首都アテネの南郊の競技場近くで遊ぶ、中東難民の少年。
Day 3
イタリア、ミラノ市内のクリスマスのイルミネーションで飾られた橋を渡る市民。
Day 4
12月13日、アメリカ、ペンシルベニア州、例年ならこの時期氷結しているはずのデラウェア川で釣りを楽しむ人。
Day08
12月17日、ギリシャのレスボス島に近づく難民を乗せたボート。国際移民機関によると、今年1年で920,000人の移民がEU圏内に入りました。そのうち770,000人がギリシャにやって来たため、同国の出入国管理体制は大混乱に陥りました。
Day09
http://www.nbcnews.com/slideshow/wednesday-pictures-december-16-n481446

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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