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【 アメリカ全土に『日本叩き』の火をつけてまわるドナルド・トランプ 】《前篇》

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所要時間 約 10分

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『貿易分野でアメリカの利益を台無しにしている』相手として中国とメキシコに加え、日本を名指しで非難
トランプ氏の主張に引きずられる他の大統領候補者、選挙の進行に合わせ、日本バッシングが過熱加速する恐れ

ジョナサン・ソブル、キース・ブラッドシャー / ニューヨークタイムズ 3月7日

トランプ01
( 写真 : 1987年当時のドナルド・トランプ )

ドナルド・J・トランプは、共和党大統領指名獲得争いにおけるその騒々しいキャンペーンで、しばしばアメリカの貿易相手国に攻撃の矛先を向けてきました。

中国の場合は、貿易によってアメリカから雇用機会を『むしり取っている』と非難しています。
そしてメキシコの場合は、国境の向こう側で不法移民の流入と麻薬の氾濫を『見て見ぬふりをしている』相手です。

しかしもし時代錯誤をしていないのであれば、最も興味深いのは日本に対する批判です。
トランプ氏は3月に入ってからの各州における共和党指名争いの集会における議論で、『貿易分野でアメリカの利益を台無しにしている』相手として中国とメキシコに加え、日本を名指しで非難しました。
トランプ氏はこれまで日本を、
◎ 円対ドルの相場を人為的に操作し、不正に経済的に優位な立場を得ている
◎ 日米軍事同盟のリスク負担とコスト負担についてはアメリカ側が一方的に重く、不平等である
として、非難してきました。

トランプ04
( 写真 : 1987年時のアメリカの雑誌『タイム』の表紙 )

トランプ氏のこうした批判はかつて日本が経済的な絶頂期にあった時代を思い起こさせます。
当時の日本はアメリカ文化の象徴とも言える映画会社やロックフェラーセンターなどを次々買収して行きました。

しかし1990年代に入ると日本の経済成長はほぼストップしました。
アメリカの対日貿易赤字は一向に減る気配はありませんでしたが、貿易摩擦問題はほとんど問題にされなくなりました。
かつて日本の政府当局者は『日本叩き – ジャパン・バッシング』を恐れていましたが、今はアメリカの関心が活動がもっと活発な他の地域、たとえば中国などに向かっている『日本離れ – ジャパン・パッシング』について懸念しなければならない時代になったように見受けられます。

「日本についてのトランプ氏のコメントは、日本がアメリカの絶対的優位を脅かす存在になり得ると考えられていた1970年代後半から1990年代半ばの時代を思い起こさせます。」
かつての防衛担当アメリカ政府職員で、現在はリベラル派のアメリカの政策研究グループ『センター・フォー・アメリカン・プログレス』の上級研究員を務めるグレン・S・フクシマ氏がこう語りました。
「日本経済がこの20年間停滞を続けているにもかかわらず、トランプ氏がアメリカ人の雇用機会を奪っている経済的ライバルとしての日本という考え方をみがえらせようとしていることは、興味深い事実です。」

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( 写真 : 1989年アメリカのロックフェラーセンターの買収を発表する三菱の役員 )

また韓国の釜山国立大学の東アジア・スペシャリストであるロバートE. ケリー氏は、トランプ氏が共和党の大統領指名争いの議論の場で、度々日本をやり玉に挙げていることについて、ツイッターで次のようにツィートしました。
「日本、日本、日本!トランプは、マイケル・クライトンの80年代を生きている!」
(マイケル・クライトンは1992年に発表した説『ライジング・サン』の中で、ゴルフ接待や系列、やくざなど日本ビジネスの暗部に迫り、日本人とアメリカ人のモノの考え方の違いや文化の壁を表現したとされる。)

トランプ氏の優勢は現在、日本で重大な懸念を引き起こし始めました。
たとえホワイトハウスに到達する前にトランプ氏が力尽きてしまったとしても、キャンペーン期間中に彼が繰り返し訴えた主張により、アメリカ人が日米貿易の中身について神経質になり、日米同盟の継続について懐疑的になることを、日本は警戒しています。

「外務省職員である私の友人は、今パニック状態です。」
東京大学の国際政治の専門家である藤原帰一教授がこう語りました
「私は長い間アメリカの政治史に注目してきましたが、これ程あからさまに保護貿易主義を主張するアメリカ大統領候補を見たのは初めてです。」

共和党大統領候補選びに決定的な影響力を持つスーパー・チューズデーでトランプ氏が決定的勝利を収めた翌日、日本の主要な全国紙はこぞって批判的な社説を掲載しました。

トランプ
「アメリカの政治の舞台で大きな地殻変動が起きているとすれば、そこにはアメリカ国内の格差の拡大とその他の諸問題について、アメリカの大衆の不満のはけ口として日本が利用される危険性があります。」
日本経済新聞はこう伝えました。

懸念のひとつは、ライバル候補たちもトランプ氏の主張に引きずられ、孤立主義的主張を強める可能性があるという事です。
2月、民主党の大統領候補指名争いでトップを走るヒラリー・クリントン氏も、ライバル候補のバーニー・サンダーズ氏同様、アメリカの地方紙に掲載された論文の中で日本と中国を批判し、両国に対する貿易上の懐疑論者の列に加わりました。
「中国と日本、そして他のアジア経済圏各国は、自国通貨を安根に誘導することにより、その産品価格を人為的に引き下げる政策を長期間にわたり続けてきました。」
懸念のひとつは、ライバル候補たちもトランプ氏の主張に引きずられ、孤立主義的主張を強める可能性があるという事です。

2月、民主党の大統領候補指名争いでトップを走るヒラリー・クリントン氏も、ライバル候補のバーニー・サンダーズ氏同様、アメリカの地方紙に掲載された論文の中で日本と中国を批判し、両国の対米貿易のあり方に疑問を呈する立場に変わりました。
「中国と日本、そして他のアジア経済圏各国は、自国通貨を安根に誘導することにより、その産品価格を人為的に引き下げる政策を長期間にわたり続けてきました。」
クリントン氏はこのように書き、アメリカ合衆国が
「効果的新しい対策、新たな税の検討あるいは関税制度について」
検討しなければならないと書きました。
TPP05
クリントン氏はさらに、現在批准待ちとなっている日本を含む12カ国が参加する環太平洋パートナーシップ(TPP)に対する支持を取り下げることを表明しました。
クリントン氏はこれまで国務長官として、これまでTPPの締結を支援する立場を取ってきました。

「私たちは(TPPの交渉内容に沿って)新しい法律やこれまでの規制に関する見直しを進めてきましたが、それがすべて空中分解してしまう可能性があります。」
TPP交渉に加わって来た日本の所轄官庁の高官がこう語りました。ただし交渉内容は機密事項のため、匿名を条件に取材に応じました。
「私たちは合意内容について、できるだけ早く参加各国と一緒に批准を行い、アメリカがこの期に及んで態度を翻さないように圧力をかける必要があります。」

〈 後篇に続く 〉

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【 大詰めに近づく民主共和両党の大統領選候補者選び 】

アメリカNBCニュース 3月15日

予備選01
15日火曜日、オハイオ、フロリダ、イリノイ、ノースカロライナ、ミズーリの5つの州の有権者は、共和党、民主党の大統領候補指名のため投票を行いました。

シンシナティの救世主エスコパル教会で投票する人々。(写真上)

ノースカロライナ州では賛否両論が解れる中、「有権者ID」法が施行されました。
投票資格を確認するため運転免許証を確認する作業。(写真下・以下同じ)
予備選02
ミズーリ州にファーガソン市内の小学校で投票用紙を受け取る手続きをする女性。
予備選03
コインランドリーで投票するイリノイ州の有権者。
予備選04
ノースカロライナ州の投票所となった消防署に夜明け前から行列を作る人々。
予備選05
http://www.nbcnews.com/slideshow/voters-hold-candidates-fate-separation-tuesday-n538861

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