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【 アメリカの飢餓と子供たち:ゆっくりと、確実に訪れる飢餓 】

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- アメリカ『格差社会』が生み続ける闇 -

アメリカABC放送ワールド・ニュース 8月17日

わずか2歳の男の子が空腹のため病院にやってきました。
夕食をとりにきた訳ではありませんが、しかしこの幼い子にとっては毎日の事なのです。
この子の体は年齢よりもずっと小さく、脳を含む臓器の発達が遅れています。
そして、この子はアメリカで最も裕福な都市の一つ、ボストンに住んでいます。

ボストン医療センターの成長診療科の医師たちは、『成長障害』と診断された子供たちに援助を提供しています。
彼らは危険な程にやせこけた子供たちの数が、劇的に増加しているのを目の当たりにして来ました。
「非常に困難なのは、ほとんどの家族が懸命に働いているのに厳しい状況に置かれている事なのです。」と同医療センターの小児科・公衆衛生の助教授であるミーガン・サンデル博士は語ります。
「彼らはきちんと働いています。しかし、暮らして行くために必要な金額から、ほど遠い収入しか得られないのです。」
国立小児貧困問題センターによると、これが米国における貧困水準以下の生活を送っている、約15万人の子どもたちの実態です。


(写真)ノース・キャロライナ州エリザベス市ミドルスクールで常時行われている、メソジスト教会のボランティアによる『炊き出し』

その子供たちの様子は、フィラデルフィアの40人の女性が『飢餓の証言』と題して、その生活実態を写真で公開する取り組みにより明らかとなっています。
そこでは狭苦しいベッドルームでの生活、ほとんど何も入っていない冷蔵庫や食品貯蔵庫などの様子を、目で見る事ができます。
ポーリンは食品貯蔵庫には今夜、すこしばかりのマカロニ、スパゲッティ、麺類、ピーナッツバターとゼリーがあるものの、来週までは保ちそうにない、とABCニュースに語りました。
「こんな状態である事、そして子供たちの胸の内を考えると、母親として本当につらいんです。」と彼女は言います。
「私は子供たちが欲しがっているものを何も与えてやれない、他の子供たちが持っている物も私の子供たちは手にする事ができない、そう考えると本当につらくなります。」

米国の貧困状態で暮らしている子どもの数は2000年以降、全体の2割近くになっています。
国立小児貧困問題センターによればその原因は高い失業率と家屋の差し押さえです。
それは全国的な問題ですが、特にアラバマ州、ルイジアナ州とミシシッピ州の子供たちが、最悪の状況に置かれています。
一方、ニューハンプシャー州、ミネソタ州とマサチューセッツ州では多少はましな状態です。

アメリカ食糧銀行は、突発的なアフリカの飢饉に比べ、アメリカの貧困層の子供たちは、ゆっくりと、しかし確実に訪れる飢餓に直面している、と言います。
「世界中に飢餓の問題があり、世界中に飢餓のためお腹が膨れてしまった子供たち、悲しい目をした子供たちがいます。」マリー・スキャネル、ニュージャージー州サマセット郡のフードバンクの理事は語ります。
「これは可能性の問題ではありません。実際、ニュージャージー州のサマービルに行けば、子供たちの目の中に悲しみを見ることができます。これは私たちにとって、本当に最悪の部分なのです。」
アニーE.ケーシー財団によると、全国で550万人近い子どもたちが差し押さえによって、家を失ってしまった家族とともにいます。
そして800万人の子どもたちは、少なくとも父親か母親のどちらかが、失業してしまっているのです。

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実は今日ご紹介したのは、昨日ご紹介したNBC放送ナイトリー・ニュースと同じテーマについて、同じ日にABC放送ワールド・ニュースが伝えた物です。

みなさんは数年前にEUが「アメリカ的功利主義 - 競争社会との決別」宣言をしたのをご記憶でしょうか?
私はこの宣言を「とにかく人に先んじて、金と名誉を手に入れることこそ人生の目標。そんな生き方はやめて、互いに支えあいながら穏やかに暮らしませんか。」という意味に取ったのですが、いかがでしょうか?

ここでも一度ご紹介しました(http://kobajun.biz/?p=697)が、アメリカではマスメディアの最高経営責任者報酬の平均額が1,080万ドル(8億6,400万円)であるのに対し、昨日ご紹介したアメリカNBC放送ナイトリー・ニュースでは、『アメリカ国内の実に4世帯に1世帯は、貧困とされる水準年収22,350ドル(約175万円)以下の生活を送っている』事が報じられていました。
これほどの格差、どんな必然性があって生じているのか、本当に考え込まされてしまいます。
『自立』が正義なのか、『支えあう事』が正しいのか、答えの出るはずの無い問題かも知れません。

ただ、いずれにしても、子供たちを守れない社会、不幸な子供たちが次々と生まれる社会、そんな社会はロクでもない社会だ、という考えだけは変わりません。
私たちの国がそんな国にならないよう、大変ですが目配りをしっかりして行きましょう。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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