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【 これ以上待つつもりは無い?日本の平和主義は私が終わらせる?! 】《前篇》

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靖国参拝で、日本の路線変更を断言した安倍首相
これ以上外交危機を煽れば、日本の復興は危うい局面に落ち込む

田淵弘子 / ニューヨークタイムズ 2013年12月26日

安倍靖国NY
再び首相の座について1年、安倍晋三首相は日本の長く停滞している経済を復活させることに、まずは集中しているように見えました。
しかし安倍首相の心中にあっては、経済分野において手腕を発揮して見せることは、彼が最終的に目指している、第二次世界大戦以前の日本がそうであったように、誇り高き大和魂の復活のみならず、軍隊の全面整備を実現し、もっと強力な統一思想国家をつくりあげるための手段でしかありません。

安倍首相にとって最も重要な課題、それはかつて2006年から2007年の最初の任期において辞任の原因の一つとなったものですが、2013年も押し詰まってから再び前面に現れるようになりました。
そして12月26日木曜日の靖国神社参拝によって、その動きは決定的なものになりました。
靖国神社は戦争によって没した日本人の霊を祀る場所ですが、第二次世界大戦の敗戦後、戦争犯罪人として処刑された人々の霊も併せて祀られています。

20世紀前半、日本が帝国主義的拡張政策を実施した結果、苦痛を強いられることになった中国と韓国は、繰り返される日本の政治家による靖国神社参拝に怒りを募らせてきました。

日中紛争03
中国政府と韓国政府は今回の参拝に対しても直ちに反応し、安倍首相は日本が戦争中に行った残虐な行為について、その事実を曖昧にしてしまおうとしているとして非難しました。
今回の参拝は最も緊密な同盟国であるはずのアメリカからも、異例とも言える批判を招きました。
新任のアメリカのキャロライン・ケネディ駐日大使は、安倍政権に対する失望を表明しました。

しかし安倍首相は日本を戦後の平和主義から引き離すためには、むしろ進んで政治的リスクを引き受けるつもりである事を明らかにしました。

11月、安倍首相は反対政党やニュースメディアからの痛烈な批判を無視し、議会では数の力に物を言わせ、政府の権限を強化する新しい特定秘密保護法案を可決させたのです。
この法律は、軍事情報を同盟国と共有するための機構を整備し、アメリカ方式の国家安全保障会議をつくるため、政府によって提案されました。

安倍首相は10年ぶりとなる軍事予算の増額を行い、武器輸出の禁止を定めた国の方針の
緩和も行いました。
さらに安倍首相の下で策定された新しい防衛計画は、中国との外交紛争が長引くことを見こみ、無人攻撃機・無人偵察機の導入、水陸両用攻撃車両の配備を明記しています。

秘密保護法07
そして複数の専門家は、2014年こそ、安倍首相が政治生命をかけて行うと明言している1947年制定の平和憲法の解釈の変更を行い、最終的には何が何でも改定するために具体的行動に出る年になると見ています。

改訂が目指すものは正規軍の常設であり、世界の安全保障政策に積極的に関わっていくことです。

「任期の1年目は、自身が本来進もうとしている方向に舵を切るための信頼を、安倍首相にあたえることになりました。」
京都の同志社大学の村田光二学長がこう語りました。
「自分が信念のために戦う政治家であると、支持者に合図を送っているのです。」

安倍首相のこの政策は、中国政府が軍備の増強を進め、それが東アジア地区の不安定要因となり、そしてアメリカが中東において効果的な対応を取ることが出来ずに影響力を相対的に低下させている現在、必然的であると言える一方、きわめて危険でもあります。

そして中国と韓国との間の外交的緊張は、日本の軍備をもっと起用力にするという事も含め、安倍首相の支持基盤である右派の課題に素直に応じる、中国・韓国を快く思わない市民を作りだしました。

しかし戦争中の歴史認識についての鋭い意見の対立に加え、領土紛争も激化すれば、日本の復興は危うい局面に落ち込むことになるでしょう。

日中紛争 1
双方が領有権を主張する東シナ海の無人島付近では、日本の巡視艇と中国の海洋監視船がにらみ合いを続けています。
一部の軍事アナリストは、どちらか一方が事態を読み誤ったり、あるいは何らかの事故により偶発的に浮力衝突が発生してしまう危険があると懸念しています。

日本と韓国の外交関係は完全に冷え切った状態にあります。
原因のひとつは領土問題、そしてもうひとつが歴史認識の問題です。
両国の事務次官の接触により和解に対する期待が高まっていましたが、安倍首相の靖国神社参拝がすべてを台無しにしました。

「安倍首相の行為は、燃え盛る火事に薪をどんどん放り込んだようなものでした。」

靖国神社が日本の政治に果たした役割について述べたベストセラー『靖国問題』の著者で、東京大学の哲学科の高橋哲哉教授がこう語りました。
「そうした行為は、アジア全域における日本の外交関係にとって、益するところはまったくありません。」

〈後編に続く〉


  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

民主主義社会は全体の6割程度が「それでいいんじゃないの」という方向に全体の舵を切りつつ、異なる意見の人々の立場も尊重し、その人々とも繰り返し話し合いをしながら方向の微調整をしていくものです。

ところが全体主義にあっては、異なる意見を持つ人々を徹底的に攻撃します。
戦前の日本では、大勢に従おうとしない人間を『非国民』と罵しり、当事者は逮捕拘禁、拷問、あげく殺害することもありました。
親類縁者に対しては迫害、差別をもって報いました。
ドイツの場合は強制収容所、あるいは絶滅収容所という、『異分子』を一度に大量に『処理』するシステムすら作りだされました。

どちらが近代社会として望ましいか、考えるまでも無いことですが、『支配』する側にとってはこれ程楽な体制はありません。
自分が『生まれながらの支配階級』だと考えることができれば…

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