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【 『公正の原則』は邪魔 – 安倍首相、今度は放送法の改変がターゲット 】

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所要時間 約 8分

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9月総裁選に向け、テレビ放送を支持率回復のための自分の道具に変えてしまうつもりの安倍首相

安倍首相のなりふり構わぬ延命策、日本という国の一層のプラックボックス化に深刻な懸念

 

ロイター / ニューヨークタイムズ 2018年3月26日

安倍首相は日本の放送局に公平性を求める法律を廃止したいと訴えています。
こうした政策に批判的な人々は、そうなれば日本の放送がセンセーショナルな報道、極端な見解や意見を表現する場になりかねないとの懸念を深めています。

 

安倍首相は日本の構造改革関連法案のひとつとして放送法の改正草案を公表し、5月早々にも法案の形にまとめ上げる方針を固めたことを、複数の政府関係者がロイターに伝えました。
この問題については影響が多岐にわたることから、情報提供者は全て身分の秘匿を求めています。
この情報筋によると、草案には日本の放送法の第4条の廃止が含まれています。
第4条は放送免許保有者には対照的な政治的見解を示すことを求めており、これまで米国公平主義原則の日本版ととみなされてきました。

しかし米連邦通信委員会(FCC)は、放送局の自由を制限しているとの批判を受け、1987年にこの原則を廃止することを決めました。
2011年に一連の手続きが完了したことにより、米国では政治的立場を明確にしたラジオのトークショーやニュース番組を生み出すのにつながったとという評価がなされています。

 

かしペンシルバニア大学のアンネンバーグ・コミュニケーション・スクールのコミュニケーション担当準教授のビクター・ピッカード氏は次のように語りました。

「放送法には公正の原則の予防措置が必要であり、そうでないと公共のメディアは市場の影響、すなわち金の力に左右されやすくなってしまいます。」
「アメリカの先例は、むしろやってはいけない教訓とすべきものです。」

 

▽ 低下する安倍政権支持率の回復が真の狙い?

 

安倍氏は従来の放送法を改変し、テレビ局のチャンネルを放送法第4条による制限を受けていないオンライン・メディアと同等の立場に置くという見直しを望んでいると語っています。
なおこの法律は印刷媒体には適用されません。

2月の国家開催中、安倍首相はインターネット広告代理店サイバーエージェントとテレビ朝日が運営しているライブ放送サービスであるアベマTVに出演しました(番組名と安倍首相の間には経済的なつながりなどはありません)。
安倍首相は出演している間、彼は提示されるべき反対意などがないまま、一方的に自分の主張だけを展開することを許されました。
「従来の放送メディアとデジタルメディアを区別することはもはや無意味です。公的資産である放送電波を最大限に活用するため、放送事業を大胆に見直すべきです。」
安倍首相はこう述べました。

しかし批評家は放送法の改変は安倍首相の支持を強化し、数多くの問題が指摘されている日本の平和憲法の改変を推進するために、安倍政権を支持する翼賛的放送の量を増やそうという邪まな意図に基づくものだとの批判を強めています。
安倍氏は今年9月におこなわれる自民党総裁選挙で3回目となる3年任期を獲得するものと期待していましたが、不当な便宜供与に関わるスキャンダルとが明るみにでた上、その事実の隠蔽工作への関与が疑われ、窮地に立たされています。

「安倍総理が望んでいることは、自分の見解を宣伝することだ」
野党希望の党の奥野総一郎議員がこう語りました。

 

日本ではテレビは依然として人気が高く信頼されている媒体です。
公共放送はNHK1局です。
日本政府が公開したデータによれば、平日に一般世帯がインターネットは100分未満、新聞購読は10分未満であるのに対して、テレビ視聴には168分を費やしています。
同じ調査によれば、70%の人々が新聞が提供する情報は信頼できると回答し、テレビを信頼できる媒体だと回答したのは66%でした。
がインターネットが信頼できる情報源であると回答したのは約34%の人々でした。

▽ 公正の原則

 

保守的な政治家は政権に対して批判的なテレビ放送局を攻撃するために、数年来放送法を利用してきました。
安倍首相と同政権の元総務大臣は、2016年にテレビ局が政治的に偏向した放送を繰り返していると、テレビ局の放送免許を取り消しが閉鎖に追い込む可能性に言及しました。
国境なき記者団は、安倍政権がメディアを弾圧する材料に使われかねないという批判が相次いだ特定秘密保護法を立法化したことについて厳しく批判しています。
日本は現在、国際基準の『報道の自由度』において、マラウイやハンガリーにも劣る72位にランクされています。

 

近年、安倍氏の政策を批判的に伝えていた有名なニュースキャスターが相次いで辞任に追い込まれた事実は、放送局に対する政治家からの圧力が強くなっているいるとの事実を裏打ちするものだと見られています。

武蔵大学でメディアと社会学の研究を指導している長田浩三氏がこう語りました。
「私たちは少し歪んだ状況に置かれています。現在日本において政府自身が『もっと自由が必要だ、この制限を撤廃しよう。』と言っているのです。」
しかし長田氏は放送法第4条が、テレビ放送が権力機構のプロパガンダ・マシン(宣伝の道具)として使われることを防ぐという、本来の目的に留意しなければならないと語りました。
「この法律の背景にある歴史的事実を理解することなく、第4条を都合よく改変することはあってはなりません。」

ほとんどの放送局は安倍首相の動きに反対しています。

日本商業放送協会会長であり、日本を代表する商業放送局TBSを運営するTBSホールディングス名誉会長である井上寛氏は、
「フェイク(偽りの)ニュースを扱うことは今や世界共通の社会問題になっており、バランスの取れた情報を提供するメディアの役割はかつてない程高いものになっています。」

 

https://www.nytimes.com/Japan's Abe Seeks to Remove 'Balance' Requirements in Broadcast News

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公正の原則より居直りの原則、居座りの原則、それが安倍政権、といったところでしょうか?

森友学園スキャンダルについて、国民の側にしてみれば何も明らかになっていないのに、そして安倍政権の退陣を求める声がこれほど高まっているのに、5月法変更のシナリオを明らかにするなどというのはどういう神経なのでしょうか?

しかしこのまま安倍首相の居座りを許せば、この先日本という国がどんなことになってしまうのか、明らかにされたという見方もできます。

一般市民は戦い続けるしかありません、でなければ民主主義や基本的人権について口にしたら『非国民』と罵られる日本になってしまうかもしれないのですから。

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