星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【福島第一原発事故・太平洋の汚染実態】

【福島第一原発事故・太平洋の汚染実態】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 11分

広告
広告

全米科学アカデミー/ライヴサイエンスCom./ヤフーニュース(米国) 4月3日


〈福島沖30キロから600キロ地点にかけて、繰り返し行われた海水調査〉

福島第一原発事故による放射性物質が日本の沿岸から186マイル(300キロ)地点の海洋生物中から検出されました。
これによって海洋汚染の広がりと汚染物質がどの方向に運ばれて行ったのかが明らかとなり、将来の環境破壊につながっていく可能性が出てきました。

ウッズホール海洋研究所(WHOI) の研究者たちは、いくつかの地点で、事故以前に自然界に存在していた放射性物質の数百倍から数千倍の放射性物質の存在を確認しました。
放射性物質によって汚染されたがれきがこれらは海流によって運ばれたり、あるいは海流によって生じる渦が汚染濃度の高い地点を作り出したものと思われます。
これらの詳細については、4月2日に発行された全米科学アカデミーの論文ジャーナルに掲載されています。
その中で研究チームはこの汚染が太平洋を横断するには1~2年かかるものと見ています。
この情報は日本の東日本沿岸全体が破壊され、海に流れ出した瓦礫や漂流物の発見にも役立つことになります。
「私たちは電柱も見つけました。そして化学プラントのタンクなども多数発見しました。多種多様なものが、大量に海に流されたのです。」
調査チームのリーダー、ケン・ビュッセラー博士がこう語りました。

▽漂流する放射線

2011年3月11日の東北太平洋沖地震と巨大津波は、福島第一原発から莫大な量の放射性物質を太平洋に放出させる結果を招きました。
この放射性物質が日本沿岸から太平洋に対し、どのように移動・拡散していくかを突き止めるため、研究チームは海流に沿って移動する「ドリフター」と呼ばれる小型の漂流監視装置を流しました。
「ドリフター」は約5カ月間GPS監視装置により、放射性物質の拡散状況に関するデータを送り続けました。
この間、研究チームは動物性プランクトンや魚類のサンプルを捕獲し、海洋中の放射性セシウムの蓄積状況について調査を行いました。
1960年代に行われた一連の核実験と1986年のチェルノブイリの事故により、少量のセシウム137(半減期が約30年)が海洋中に存在することは当初から予想されていました。

しかし現地に赴いた科学者が発見したのは、半減期が2年と短いセシウム134がセシウム137とぼぼ等しい量存在していたことでした。当然ながら1960年代の核実験やチェルノブイリの事故の際放出されたセシウム134は自然界にはもう存在しません。
自然界において、海洋中には1立方メートル当たりの海水中に、約1~2ベクレルの放射能が存在します。
調査チームは今回、その数百倍から数千倍の放射能を検出しました。
海岸近くでは1立方メートル当たり最大3,900ベクレル、沖合372マイル(600キロ)の地点では325ベクレルの放射能を検出したのです。

▽ 海流と渦

大小の海洋事象はすべて、放射線の拡散によって影響を受けます。
たとえば日本の南部から北東を通り、アリューシャン列島に向け流れている海流の『黒潮』が、沿岸部から放射性物質を運び出す役割を果たしたことにより、放射能拡散の際一種の『境界線』として機能していることを突き止めました。
加えて黒潮の端の方で発生している渦が、海岸線近くの数か所でセシウムなどの放射性物質を濃縮・集中する働きをしたことが、福島県南部における「ドリフター」の動きにより確認されたのです。
「私たちは大気中における放射能の拡散状況がわかっていた上で、この調査に取りかかりました。したがって場所によっては3,000倍という濃度の放射能が検出され、事前の予想と全く違う結果が出たことは非常に興味深いことなのです。」
ビュッセラー博士がこのように語りました。

チームはまた、動物プランクトン、カイアシ類(小さな甲殻類)、エビ、魚など、この海域の生物中に放射性セシウムの蓄積を確認しました。
これらの生物にはセシウム137とセシウム134の 両方が発見されましたが、時には数百倍という濃度の海水の中で生息していた結果によるものと思われます。
検出された放射能の平均値は1キログラム当たり約10~15ベクレルでしたが、総じてプランクトンなどの方が値が高く、魚類は低めでした。

しかしピュッセラー博士によれば、日本の『湿性』重量1キ ログラム当たり500ベクレル以下は食用可能とされる日本では、そのほとんどが『食品』として認められることになります。
しかし現在魚類の体内にあるセシウムは、ポリ塩化ビフェニール(PCB)や水銀のように、食物連鎖中でしだいに積み上がってはいきません。
水銀やポリ塩化ビフェニール(PCB) は生体内に長期に渡り留まる傾向があり、マグロがこれらに汚染された小魚を食べれば、食べた分の水銀やポリ塩化ビフェニール(PCB)がそっくりそのままマグロの体内に蓄積されます。
これと比較すると、セシウムは比較的早く体外に排出される傾向があります。
ウッズホール海洋研究所(WHOI) の遠征を行った研究者たちは、地球の全海洋中には約1.9ペタベクレル(1,900,000,000,000,000,000ベクレル)の放射性物質が存在していたと計算しています。しかし福島第一原発が放出した放射性物質の量はこれをはるかに上回っており、その大部分は調査を行っていた6月中に拡散していきました。

調査チームはまた、銀110(一般的な銀の核異性体で半減期は約250日・崩壊によりカドミウムになる)を発見しましたが、それが福島第一原発からのものであるかどうかを突き止めることはできませんでした。
さらに別の調査によりストロンチウム90も検出されていますが、こちらはまだ調査結果が発表されていません。

海の教育協会における海洋学者のカーラ・ラベンダー・ロウは、海洋汚染に海流の動きがどのようにかかわっているのかまだ十分に解明されていないため、こうした調査研究は重要である、と語りました。
「海流の実態について、私たちはその大まかな動きは把握しています。しかし汚染などが発生した際に、エリアご とに細かく検証を行うと、事前には予想していなかった思いがけない場所に影響が出ていたりするのです。」
カーラ・ロウが語りました。

http://news.yahoo.com/fukushima-radiation-tracked-across-pacific-ocean-191202609.html

国内の関連記事(毎日新聞)の例
http://mainichi.jp/select/today/news/20120403k0000e040139000c.html?inb=fa

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 福島沖には驚くべき事実が隠されている – 海洋汚染の実態 】というニューヨークタイムズの記事を翻訳し、国際調査チームによる福島沖の海洋調査が終了したことをご紹介した(http://kobajun.biz/?p=1268)のは昨年の11月8日でした。
以来、この研究結果がいつ発表されるのか、ずっと待ち続けていたのですが、今日 (アメリカ時間4月2日)やっとアメリカ科学アカデミー会報のオンライン版に発表されました。
この記事はそのことを知らせ、内容についてその概略を述べています。
私も早速、メリカ科学アカデミー会報のオンライン版( http://www.pnas.org/content/early/2012/03/26/1120794109.full.pdf+html )にアクセスし、プリントアウトしましたが、完全に科学論文の体裁をとっており、この【星の金貨】でご紹介できるかどうか、現在検討中です。
ただし、日本各地の海の汚染状況の記入などはありません。

前回のニューヨークタイムズの記事では、今回の調査に費用負担を求められた日本政府が拒否したことが報じられていました。
東日本の海洋汚染について、日本の政府機関は何ら調査を行っていません。あるいは秘密のうちに行っていながらその結果を公表しないのも知れませんが、漁業関係者の方々の生計について、地方自治体に投げっぱなしのままです。
「電気が足りなくなる」という「可能性」については目の色変えて走り回る日本政府も、房総半島沖から三陸沖で漁業をしてきた人々の生活が立ち行かなくなっている「現実」には関心が無いようです。

尚、今回の記事中に『湿性重量』という見慣れない言葉が出てきたので調べてみましたが、残念ながら解明には至りませんでした。
お詫び申し上げます。

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【ニューヨークの新しいランドマーク・タワー】

アメリカNBCニュース 4月2日

Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy

ニューヨークの高層ビルの中でエンパイアステート・ビルディングは、1931年から世界貿易センタービルが建築される1972年までの間ずっとそうであったように、9月11日の早朝、この場所で最も高いビルの位置に返り咲きました。

その事実が再び、変わろうとしています。
ニューヨークのロワー・マンハッタン地区にあるグラウンドゼロに建築される通称『フリーダム・タワー』は、アンテナ部分を除いて現在エンパイアステート・ビルの高さを6フィート(180cm)上回りました。
2014年に完成予定のこのビルディングは、あと4週間から6週間もすると、アンテナ部分を含めるとエンパイアステート・ビルを300フィート上回る高さまで工事が進むことになります。

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報