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実録『トモダチ』作戦・第1部 – [第1回]汚染されてしまった将兵・東京電力を告発

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アメリカ軍の観測記録が暴く、福島第一原発・汚染の真相
なぜ150名のアメリカ軍将兵は、東京電力を告訴したのか?!

ロジャー・ウィザースプーン / ハフィントン・ポスト 2013年1月31日

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国防総省は、日本国内に展開する70,000人近いアメリカ軍人、政府職員、家族、そしてその他の関係者が福島第一原発が放出する放射性物質によって、どのような影響を受けることになるか、前代未聞のその判断を先送りすることにしました。

この時点で彼らの登録データを更新しないという事は、日本の63か所の基地や軍事施設に配属されている海兵隊、陸軍、空軍、工兵隊、海軍将兵、そして一緒に日本で暮らす家族たちに将来何らかの健康上の問題を発生した時、福島第一原発の事故との関連を証明する記録が失われる可能性がある、という事を意味します。

と同時に第7艦隊所属の空母ロナルド・レーガンに乗組む数千人の水兵と海兵隊員に、将来放射線被ばくによる健康障害が発生した時、福島第一原発の事故との関連を証明する公的記録が作られないという事を意味します。

第7艦隊所属のこの艦隊は南太平洋での任務を切り上げ、日本の福島沖で展開される『トモダチ』作戦のため、太平洋を北上してきました。
この作戦は巨大地震と巨大津波が東北太平洋岸に壊滅的被害を与え、20,000人近い死亡者を出したのを受け、80日間に渡り、人道的見地から救援活動を展開するものでした。

救援活動は日本政府によって要請され、米国国務省、国防総省、原子力規制委員会、そしてエネルギー省による調整を経て、実施に移されました。

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この機動部隊には5,500名の乗組む空母USSロナルド・レーガン、4隻の駆逐艦、その他の艦船によって構成されていました。
駆逐艦プレブル、マッキャンベル、カーティス・ウィルバー、マケイン、巡洋艦 USS チャンセラーズビル、そして数隻の工作艦です。

これらすべてが『トモダチ』作戦に参加しました。
地上に展開したトラック部隊の運転手たちも、ヘリコプターの乗組員も。
そして機動部隊が被ばくするのを避けるため、空母艦載機と地上の基地から飛び立つ航空機が、大気中にある放射性物質の流れについて繰り返し捜索を行っていました。
しかしそれは結局、複数の理由によって無駄な努力に終わりました、少なくとも国防総省の関係者の証言と記録によれば。
汚染されてしまった海域を航行すれば被ばくや汚染は避けられず、福島近辺でヘリコプターを飛ばすことは、まさに放射能物質の雲の中に送り出すことに他ならなかったからです。

起こるべきことが起きました。
『トモダチ』作戦に参加した将兵のうち、150人の男女が数多くの健康上の問題を抱え込むことになってしまいました。
この作戦に従事し、放射線被ばくをして以来、腫瘍、手足などの震え、内出血、髪の毛が抜けるなどの症状を訴えるようになったのです。
彼らは自分たちが陥ってしまった状況について、海軍に責任を求めようとはしませんでした。
代わりに福島第一原発から放出されていた放射性物質の拡散状況について、アメリカ側に虚偽の報告を行ったとして、東京電力に対し訴訟を起こしたのです。
と同時に放射線被ばくに関する公的記録を抹消した国防総省も告発しました。

航海士モーリス・エニス

航海士モーリス・エニス


空母ロナルド・レーガンの航海士であり、操舵担当のモーリス・エニスとジェイミー・プリムの説明によれば、海上での任務は明確に区分されています。
当時空母の甲板上で測定されていた放射性核種の量が、危険な値に達していたことを知る者はほんの一握りにすぎず、海流がどれ程の量の放射性物質を運んでいるかを知る者は皆無でした。
警報が鳴りだして初めて、自分たちが容易ならぬ場所に入り込んでしまったことを知ったのです。

「艦上で使う水は、艦に搭載されている脱塩装置を使って作ります。」
フロリダ州セント・オーガスティンからやって来た28歳のプリムが説明してくれました。
「水は海からくみ上げるのですが、ご存知のように海は汚染されている場合もあります。そこで私たちは組み上げた水からまず汚染物質を取り除き、安全が確認されるまで何度でも汚染を取り除く作業をするのです。」
「原子力空母は原子炉を搭載しており、水を使って冷却しています。空母の原子炉を福島第一原発の放射性物質で汚染させるわけにはいかないのです。」
航海士であるシェイミー・プリムの担当は、空母ロナルド・レーガンの航路の決定です。

航海士ジェイミー・プリム

航海士ジェイミー・プリム


海中にある放射性物質をかわしながら進むことは容易なことではありませんでした。
いったん汚染されている海流から出て汚染の心配の無い場所まで退避し、そこで配管類その他についた放射性物質を洗い流し、その上で再び汚染の少ない海域を選んで日本の沿岸に近づくしかありませんでした。
「我々は電子式の航海用の海図を見て、実際に汚染されている海域を確認することが出来ました。しかしその場所を避けながら航海するためには、神経をすり減らす思いをしなければなりませんでした。」

もう一人の航海士、エニスがこう語りました。
「しかし民間の船舶の乗組員たちはそうはいきませんでした。どこが危険でどこは安全か、彼らは口伝えに情報を集めるか、噂に頼るほかありませんでした。」

「それに比べればましでしたが、私たちも完全無欠の情報を持っていた訳ではありませんでした。なぜなら我々はその段階では、福島第一原発からどれ程の放射性物質が放出されたのかについて、東京電力から提供されるデータしかなかったからです。本当の脅威など知りようがありませんでした。」
〈 第1部・第2回へ続く 〉

A Lasting Legacy of the Fukushima Rescue Mission: Part 1 Radioactive Contamination of American Sailors
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今日から3回に分け、実録『トモダチ』作戦・第1部を掲載します。
この記事を読むと、アメリカの将兵が如何に任務とはいえ、命がけで3.11の被災地の救援活動に当たっていたことが解ります。
しかもその場所は、放射性物質だらけでした。

私たち宮城、そしてもちろん福島県の住民は、政府と東京電力が正しい情報提供を行わなかったため、「不必要な被ばく」をさせられてしまいました。
私が住む宮城県では、スーパーには食料品を求めて大行列が出来、そして給水所にも信じられないほど長い列ができていました。
みんな戸外にいて、知らないうちに福島第一原発が放出した放射性物質に被ばくさせられてしまいました。
この怒りは一生忘れないでしょう。

『トモダチ』作戦に参加したアメリカ軍の兵士たちも、同じように「不必要な被ばく」をさせられていたことがこの記事を読んで解りました。
しかし多少ともましだったのはアメリカの場合、全軍を挙げて放射能の測定を行い、対処法を規定していたことでしょう。

一方、給水所で長い列を作っていた宮城の被災者の周囲では、放射能の測定など全く行われていませんでした。

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【 墓標 】

アメリカNBCニュース 3月14日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

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国立アーリントン墓地、第60墓域にあるイラク、アフガニスタンで犠牲になった兵士たちの墓標。
心の隙間を埋めようとするがごとく、生前を偲ぶ数々のノベルティが置かれている。

末息子、テキサス州エルパソ出身で、アフガニスタンで犠牲になったジョシュア・ミルズの墓の前に座る母親のセレステ・ミルズ。
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