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【 核兵器製造のため、原子力発電の継続を!】[ABC]

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姿を現した、日本の原子力・核武装タカ派の強硬意見

アメリカABCニュース(AP通信) 7月31日


原子力発電をどうするか。という議論が続いている日本で、もう一つの原子力 - 核の問題が闇の中から浮かび上がってきました。
日本はいつでも核兵器を、製造できるようにしておかなければならない、原子力発電の副産物として…

世界唯一の被爆国で、しかももすぐ広島で67回目の、その3日後には長崎で原爆投下記念日を迎える中、このような議論を行う人間がいるという事は、世界から見れば驚くべき事かもしれません。
日本政府は公式に核兵器の所有を禁止しており、国民の大多数も核兵器に反対しています。

しかし日本で今後原子力発電をどうするか、という議論が続く中、一方では、一部の大物政治家、そして政治評論家などが、日本は少なくとも核兵器製造能力を持ち続ける必要がある、と一層声高に主張するようになってきました。

イランが原子力発電技術の開発推進を行いながら影では核兵器開発プログラムを密かに進行させている、その核開発問題で明らかになったように、原子力発電所は原子力技術を進化させ得る一方、核兵器開発に必要な核物質を生み出し、原子力発電と核兵器開発は不即不離の関係にあります。


「原子力発電所を保有する、という事は日本はいつでも核兵器を製造できる、という事を意味しています。」
野党自民党の石破茂元防衛大臣は、AP通信にこう語りました。

石破氏はもとより日本に積極的に核兵器開発を行おうという意思はないが、北朝鮮のような核兵器開発に動いている国が近くにある以上、日本が核兵器製造能力を持たなければならない、ということに選択の余地は無い、と語ります。
こうした発言は、核兵器・原子力発電に反対する人々の懸念深めています。

「こうしたグループによる核兵器製造のため原子力発電所は必要である、との強い主張は、これまでは密かに語られ、水面下にあって目立たない物でした。」
幾人もの脱原発・反核兵器の立場をとる専門家によって編まれた著作『フクシマ・プロジェクト』はこう指摘しています。
これらの人々の懸念を裏書きするように、6月には1955年に制定された『原子力基本法』の改定が行われ、国民の健康と財産を守り、「我が国の安全保障に資する」ため、原子力技術を活用する、という項目を追加したのです。

「原子力発電、そして核兵器。両方の核問題に一定の結論を出さなけれならない、という機運が日本では高まっています。」
九州大学の科学技術史、原子力政策が専門の、九州大学副学長吉岡 斉(ひとし)教授がこう指摘しました。
「両者の相関関係は、ますます明らかになってきました。」


昨年3月11日津波が引き金となって発生した福島第一原発の事故に関する、政府の調査委員会に吉岡教授は委員として参加しました。事故が引き起こした3基の原子炉のメルトダウンは、この国の原子力発電の今後に重大な懸念をもたらすと同時に、一方では核兵器所有を主張してきた人々を動揺させることにもなりました。
核兵器擁護論者は、少なくとも公的な立場ではその主張を明らかにはしません。
むしろ彼らは抑止力として、そして外交上の発言力を強化するため、核武装すべきだ、と主張します。

この問題の起源は1960年代にまでさかのぼります。
政府はこれまで何度も否定してきましたが、ここ2年間に公開された政府の内部文書が、ひそかに日本の核武装について議論が行われていたことを証拠立てています。

これらの文書は2010年NHKが初めて入手しましたが、文書開示要求により、AP通信もこれを最近になって手に入れました。

かつては機密扱いであった1966年の文書では、中国の核開発の脅威に対してどう対応するかという日本政府の対応を検討する中で、核武装が検討されましたが、その当時は米国の核の傘の下にあれば、日本の核武装は必要ない、という結論に達しました。


1964年、1966年、そして1967年に、日本の政府官僚は核不拡散条約に加盟することにより、日本がどのような制約を受けるかについて話し合いを行いましたが、これは日本が核武装する可能性を残そうとしたことを意味しています。
結局、日本は1970年、この条約に調印しました。

2004年には中曽根元首相が回顧録の中で、防衛大臣を務めていた1970年、日本の核武装の能力について極秘に研究を行うよう、命令したことを明らかにしたにもかかわらず、日本政府による否定は続きました。
この時の研究結果は、日本が核兵器を開発するためには5年の時間が必要である、と結論を出しました。しかし中曽根氏は米国の核抑止力の存在により、日本の核武装は必要ない、と結論付けたと語りました。

2010年、政権交代を果たした民主党は、半世紀に渡り日本の政権を握り続けてきた自民党の影響力が後退したことを背景に、これまでの見解を覆し、日本国内で密かに核武装の議論が行われていたことを認めました。

すべてを秘密の内に進めてきた経緯から、6月の原子力基本法の改定における「我が国の安全保障に資する」という文言に、元外交官の遠藤 哲也氏は疑念を持っています。
今回の改定を支持した人々は、改定が原子力発電所をテロリストの攻撃から守るためのものだと語っています。
しかしこの改定に反対している人々は、それならばなぜ「原子力発電の安全」という表現を使わず、「我が国の安全保障」という表現を用いたのか?と疑問を呈しています。


日本は現在、多量の長崎型原爆を製造するのに充分な量の、45トンに上る分離プルトニウムを保有しています。
全部合わせれば150トンという日本のプルトニウム保有量は、アメリカ合衆国、ロシア、英国と比較すればだいぶ少ないものの、世界的に見れば最大規模のものです。

自らを保守派と明言してはばからない石原慎太郎東京知事は、日本が外交的な立場を強化するため、核兵器製造能力を世界に向け誇示しなければならないと、繰り返し発言しています。
これに比べれは抑えた表現を用いてはいますが、安倍晋三元首相も、同じ考えを明らかにしています。

日本で最大の発行部数を持つ読売新聞は昨年、日本のメディアとしては珍しい例ですが、原子力発電と核兵器開発について言及し、プルトニウムの保有は「外交上有利に働く」と論評しました。

こうした一連の発言は、原子力委員会の委員長代理を務める鈴木達治郎氏のような人々の、懸念を深めさせています。
鈴木氏は、核兵器保有への野望は、一部政治家や官僚による時代遅れの考え方だとして、核兵器の拡散に反対しています。


「これ以上彼らが、核兵器保有を声高に言い続ければ、日本の国際的立場が悪化していくだけです。」
「賢明なことではありません。物理的にはあり得るかもしれませんが、国際社会に対しては、非常に悪い印象を植えつけていくことになります。」

http://abcnews.go.com/International/wireStory/japan-pro-bomb-voices-grow-louder-amid-nuke-16892353?page=2#.UB4k-0SCiM8
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「核兵器保有をめざせ」、この手の議論の無責任さには辟易します。
ご紹介したことはありませんが、現在アメリカでは、保有する膨大な数の核兵器の保管が問題化しています。
きっかけは、昨年アメリカ南部を襲った大火災が、有数の核兵器貯蔵施設であるロス・アラモス研究所の間近に迫ったことでした。
火災による誘爆を防ぐため、アメリカは昨年対策を取るのに大変な思いをしました。
いまアメリカでは、国のあちこちにある「使いもしない核兵器」を、どうやって安全に保管し続けるか、大きな問題になってきました。

日本はまだ商業用原子炉の廃炉について、まだ一度も経験が無い、との指摘があります。
そして福島第一原発は現在廃炉どころの騒ぎではなく、2次災害発生を防ぐためいっぱいいっぱいであることは、各国の研究機関やメディアが指摘するところです。

そして広瀬隆氏の著作が指摘する、東海地震による浜岡原発の巨大なリスクのような問題。
さらには海外のメディアが伝える「世界の巨大地震の2割が集中する国土で、原子力発電を行う危険性」。
50基の原発群がこの国にとってどれほどの脅威であるかを、福島第一原発の事故によって、多くの人々が知るところとなりました。

この上危険な核兵器を、この狭く天災の多い国土に抱え込むことになれば、その危険、そして費用が膨大な額に上ることは、まさに火を見るより明らかです。

第一ここに掲載した写真がその一部分を伝えているように、広島、長崎で被爆されてしまい、その後長く苦しんでこられた被爆者の方々、そして福島第一原発の事故による事故で、理不尽にもある日突然、家の無い難民にされたしまった方々を前にして、
「核武装のため、日本は原子力発電を継続させなければならないのだ!」
と言えるものなのでしょうか?

この国を守る?そんなことを言う資格が、彼らにあるのでしょうか?!

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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 8月6日

陸上男子3000メートル、エゼキエル・キンボイ(ケニア)金メダル、マヒーディン・メヒシ・ベナバッド(フランス)銀メダル


ハンドボール女子 - リュドミラ・ボドニエーヴァ(ロシア)ベンチに下がった後、対モンテネグロ戦の試合の行方を見守る


陸上女子100メートル - シェリー・アン・フレイザー・プライス(ジャマイカ)金メダル


陸上男子400メートル・ハードル準決勝 - ジャック・グリーン(イギリス)


陸上女子3000メートル - バレンティナ・ホピニッキ・ジュディナ(ウクライナ)完走の後、暑熱に耐えかねて

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