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「だからこそ、私たちは立ち上がる。こんな今だからこそ、自分たちで何とかする。」

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ヨーロッパ全土に拡大する、市民による行動と連帯
『経済のため、すべては経済のため』権力にある側はそう言って、国民の権利を無視する
【苦しい生活が続くヨーロッパ、23か国で一斉デモ、一部で暴動、暴力的抗議行動に】

アメリカNBCニュース 11月14日


14日水曜日、大規模に展開される抗議行動とストライキの中、上がり続ける失業率、そして改善の兆しの無い苦しい生活に業を煮やした人々が、至る所で暴徒化し始めています。

スペインとポルトガルの労働者は、イベリア半島全域での大規模ゼネストを計画・組織し、実行しました。
空港を閉鎖し、フライトも全便が欠航、学校も休校にして、支出削減と増税に対する抗議を行いました。

ベルギー、フランス、イタリア、そしてギリシャの労働者は『行動と連帯のヨーロッパ・デイ』運動の一環として欧州全土でのストライキを計画し、この日大陸横断鉄道が全面的にストップしました。
ストライキが行われた南欧州とロンドン・ヒースロウ空港、フランス・シャルルドゴール空港、そしてオランダ・アムステルダム・スキポール空港を結ぶ航空便も全便キャンセルとなりました。

スペインでは60名以上が逮捕され、34名が負傷しました。
負傷者の内、警官側の18名はデモ隊の先頭にいた人々ともみあいになり、負傷しました。
マドリッドの目撃者は、完全武装の警官隊が少なくとも2名を逮捕し、他のデモ参加者に対し警棒で殴りつけていた、と語りました。

14日、イタリア、トリノ市内でデモ隊に向け催涙弾を発射する警官隊。


デモ隊は接着剤と硬貨を使って自動販売機を使用できなくし、反政府行動を呼びかけるポスターを店のショーウィンドウに貼りつけて行きました。

イタリアでは、学生たちが教育予算の削減計画に抗議し、警官隊に向かって投石を繰り返しました。
ミラノでは学生の投石により、銀行の窓が壊されたと、英国のガーディアン紙の電子版が伝えました。

ギリシャでは国中から集まった労働者が『もうたくさんだ!』と書いた横断幕を掲げて、14日朝アテネ市内の中心部をデモ行進しました。

14日、ヨーロッパ全土にストライキが広がる中、無人のブリュッセル駅構内で、オランダ・ベルギー・フランスを結ぶタリス高速鉄道の列車の到着を待つ旅行者


「私たちは今、欧州連合における市民運動の、歴史的瞬間を目の当たりにしているのです。」
今回のヨーロッパ広域での抗議行動計画に参加した組織の一つ、国内で最大の組合であるスペイン労働者委員会のフェルディナンド・トクソ委員長が、こう語りました。

国内の失業率が25%に昇っているスペインは現在、EUに対し緊急財政援助を求めていますが、これに伴いマリアーノ・ラホイ首相が率いる政権は、さらに厳しい歳出削減を求められており、今すぐには救済政策を打ち出せない状況にいます。
先週、銀行から貸し出しの打ち切りを宣告された一人の女性が、アパートの窓から飛び降り自殺をしてから、スペイン国内の反政府感情は一気に盛り上がることになりました。
市民生活が苦しくなる一方なのに対し、公的資金を使って銀行救済がおこなわれている現状に、スペインの国民感情は怒りを募らせています。

14日、ロンドンのオックスフォード・ストリートで、道路を占拠しているデモ隊を押し出そうとする警官隊。


「『経済のため、すべては経済のため』権力にある側はそう言って、国民の権利を無視するのです。だから私たちは抗議するのです。人々は追い詰められているのに、なのに増税するなんて…」
マドリッド大学で社会学を専攻する19歳の大学生、サンドラ・ゴンザレスがこう語りました。

昨年EUによる緊急財政援助を受けたポルトガルの路上では、目立った混乱は見られませんでした。
しかし、人々の生活は徐々に厳しさを増しており、政治的反発が強まり、ペドロ・パッソス・コエリョ首相の新たな財政再建策も危機に瀕しています。
コエリョ政権の財政再建策は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の施策を参考にして今週上程されたばかりですが、そこに記された数字は南欧を襲った危機がいかに深刻なものであるかを表しています。

イタリア、トリノ市内で、欧州連合旗に火をつけようとする男性。


3月にCGTP(ポルトガル語でConfederação Geral dos Trabalhadores Portugueses : ポルトガル全国労働者連盟)によって組織されたストライキによる影響はほとんど見られませんでしたが、9月に行われたデモの参加者は数十万人に膨らみ、政府に対し、労働者に対する社会保障政策の充実を訴えました。

「イベリア半島始まって以来の大規模な抗議行動であり、人々の強い不満を表し、ひいてはEUの首脳陣に対する警告でもあります。」
こう語ったのはこの抗議活動を組織したCGTPの委員長、アルメニオ・カルロス氏です。

スペイン、ポルトガル、ともに全国の全組合が参加する抗議行動は、マドリッド時間の午後6時30分から開始される予定です。
スペインでは労働者の55%にあたる約500万人が組合員です。
ポルトガルでは約550万人の労働者の内、4分の1が組合員になっています。

14日、フランスとベルギーの全土でも、集まった大勢の労働者がデモ行進を行った。


「今のこの苦しい生活は、容易に終わるものでは無いと思います。出口を探そうにも全く見当たらない絶望的な状況にあり、先にはさらなる苦痛と困難が待ち受けています。だからこそ私たちは立ち上がるのです。こんな今だからこそ、自分たちで何かをしなければならないのです。」

ポルトガルの首都リスボンで、年金生活を送るホセ・マルケス氏がこう語りました。
彼もこれから、デモに出かけるつもりです。

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動画(上): 失業、そして厳しい生活環境に喘ぐヨーロッパ各国の市民、怒りが爆発する暴動、各国で相次ぐ。 ITNのエマ・マーフィーのリポート。

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動画(上): 11月7日: ギリシャ政府は一段と踏み込んだ出費、賃金と年金の削減措置を承認しました。これに怒ったデモ隊と警察との間で激しい衝突が起きました。ITVのジェームズ・マーティズのリポート。

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動画(上):9月、マドリッドの国会議事堂付近で、一層の歳出削減措置に抗議するデモ隊と警察が衝突しました。NBCNews.comのダラ・ブラウンがリポート。

http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/11/14/15159264-violence-breaks-out-amid-austerity-protests-in-europe?lite

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この記事を読んで、改めて思ったのは『首相官邸前』として有名になった、日本の反原発デモには一切『暴徒化』が無かった、その事の賢明さでした。
暴徒化、暴力化すれば、取り締まる側に鎮圧の名目を与えることになり、報道のされ方などによってはデモを行った側の真意が隠され、運動に対する反感を煽られることにもなりかねません。
その事が解っていて、デモを組織された方々は苦労をされた訳ですから、改めてご苦労さまと申しあげなければなりません。

今回、衆議院の解散が宣告され、日本列島は選挙に走り出しました。
それに伴い、日本の大手マスコミは政党間の勢力争いにばかり焦点を当てています。
たとえば、いったい誰が今の国民の願いを政治の場で実現しようという誠実さを持っているのか?そんな報道は見当たりません。

私は欧州の経済危機を見ていて、資本主義の限界が見えているのではないか、と感じています。
ある本には「資本主義は常に市場の拡大を必要とする」と書かれていました。
16世紀に始まった重商主義も、18世紀の帝国主義も、つまるところ市場拡大競争でした。
おおざっぱな話ですが、戦後日本の経済成長も、アメリカ、ヨーロッパを中心とする市場にどんどん進出できたから可能になったのです。
そして、今の日本の経済危機はデフレの入り口で『規制緩和』をやってしまったこと、最近では対中国の政治問題をこじらせ、膨大な数の企業活動に支障をきたしてしまったこと、そしてアメリカが明らかに内向きになりつつあることなどの問題によるものです。
原発の停止による電力不足など、『ありもしない危機』でした。

ところが、『日本の電力不足危機』を煽った日本のマスコミは、今度は「中国がだめなら、ベトナム、ミャンマーだ。」という調子。
ベトナム、ミャンマーに、かつてアメリカ、ヨーロッパが日本の経済成長を支えたような力があるのでしょうか?
『経済成長により、躍進する日本社会』、選挙用のそんな空念仏に惑わされてはいられません。

今日ご紹介した記事の最後、スペインの退職男性の言葉を、今の私たちのために少し変えてみました。

「脱原発を願う人々にとって、今のこの苦しい状況は、容易に終わるものでは無いと思います。出口を探そうにも全く見当たらない絶望的な状況にあり、先にはさらなる苦痛と困難が待ち受けているかもしれません。だからこそ私たちは立ち上がるのです。こんな今だからこそ、自分たちで何かをしなければならないのです。」

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