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〈 日本の原子力発電に、幻滅はつきもの 〉【 日本人の静かな怒り〈前編〉 】

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所要時間 約 9分

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「このままでは福島第一原発は事故を起こす - IAEAは2008年、一度の大地震で『深刻な問題』が起こりうる、と日本に警告していた」

フランス / ル・モンド・ディプロマティーク 2011年8月

日本人が福島第一原発で起きた事故について、街頭に繰り出してデモ行進をしないからと言って、怯えていない、あるいは憤慨していない、という事ではありません。
面と向かって抵抗するだけが、日本人の流儀ではないのです。

福島第一原子力発電所での状況は解決にはほど遠いものですが、北日本での生活にかつての静けさが戻ってきました。
北日本の海岸沿いの街に行って見るか、あるいは何度も余震に襲われる体験をしない限り、何が起きたのか本当に理解するのは難しいでしょう。

3月11日の災害の余波は毎日の暮らしに関わってきます、しかし『和』、社会の調和の重要性が失われる事はありません。
米欧社会は日本が合意を重んじ大勢に従う社会であることを知っていますが、一方、すべての決定とその実行方法が多くの人々の合意に基づいたものである、というのは誤解です。
こうした場合の『和』は意見の相違を意味します。この場合の『和』は全体の秩序を乱さないための道具でしかありません。
意見の相違は社会の中の目立つ出来事の一部分として、事前の了解事項の中に組み入れられます。こうして暗黙の了解が成立するのです。

村上春樹はしばしば東京における1960年代の学生デモについての著述の中で、彼らが行った『和』をかき乱す行為も、ちっぽけで、象徴的で、しかも無力だったと述べています。

私たちは今回の大災害に対する、日本の人々の冷静さを理解しています。
政府の地震に対する初動対応は広く批判を受けました、1990年代の阪神大震災の直後もそうだったように。
このことは、北日本で現政権に対する反感を醸成し、最近の都道府県の選挙での敗北につながりました。
菅直人首相は不信任決議は切り抜けたものの、さらに日本の彼自身が所属する与党民主党の中でも、支持を失っています。
彼はすでに『より若い世代』への政権委譲に同意し、辞意を表明していますが、もうしばらくの間 - 今すぐ彼をやめさせるのはやりすぎだ、という与党国会議員の考えの下 - 政権に留まります。
福島第一原発の危機だけが、彼の留任の理由となっています。

日本人が怒っていることはたくさんあり​​ます。
東京電力と担当政府機関の、安全性と透明性に対する姿勢に関する記録について考えてみましょう。
2002年8月29日に政府は、東京電力が故意に原子力発電所の定期検査について虚偽の報告書を提出した事、そして原子炉の修理記録の書き換えなどの体系的な隠蔽を明らかにしました。
結果として東京電力の17基の原子炉すべてが、再検査のために閉鎖されました。
東京電力の荒木浩会長、南直哉社長、榎本聡明副社長をはじめ、那須翔、平岩外四の2名の相談役が辞任に追い込まれました。
彼らは『1977年から2002年の約20年の間、当局への虚偽の技術データの提出を含む200の事例』について認めました。

今年、2011年2月28日には、東京電力は福島第一原子力発電所での、定期点検の手抜きと修理報告書について具申する報告書を、日本原子力安全保安院に提出しました。
東京電力は、6基の原子炉の温度制御弁を含む30箇所以上の特殊な部品、注水ポンプや非常用ディーゼル発電機などの冷却システムについて、きちんとした点検を行っていなかったのです。
これらの発電機が津波が襲った際に動作しなくなったことにより、冷却システムが稼働せず、危機は引き起こされました。

さらに国際原子力機関(IAEA)は2008年、福島第一原発の構造は時代遅れの安全基準に沿ったもので、一度の大地震で『重大な問題』が起こりうる、と日本に警告していました。
〈続く〉

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今日から2回に分け、フランスの日刊紙ル・モンドの記事をご紹介します。
8月の記事なので、菅前首相の部分など旧聞になりますが、ご理解の上お読みください。
また『和』についての解説などもちょっと?なので、読みにくい時は飛ばしてください。

それにしても〈 日本の原子力発電に幻滅はつきもの 〉という、サブタイトル、フランス人らしい辛辣さに満ちています。
「彼らがちゃんとやるとでも思っていたの?!」そんな声が聞こえてきそうです。

動画の方は、日本でも報じられているニューヨーク・ウォール街のデモの映像です。
彼らの気持ち、解ります。
[米国CEOはもらい過ぎ?! ( http://kobajun.biz/?p=697 )]でも一度ご紹介しましたが、アメリカの『1%』の人々の収入には、驚くばかりです。

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動画【 全米に広がる反ウォール街デモ 】

アメリカNBCニュース 10月3日

ニューヨーク、そして他の都市でも展開されている話についてお伝えします。

運動は一か月前にここニューヨークで、少人数のグループが国の経済問題に関 し、ウォール街を批判したことによって始まりました。
それが今や数万人の規模となり、全米に広がっています。
NBCのミシェル・フランゼンがウォール街の路上、数百人が逮捕されたにもかか わらず、集まり続けるデモ参加者とともにお伝えします。

レポーター : この中継映像に映っているプラカードを掲げ、行進する人々は、 企業の貪欲さと社会の不公平を目の当たりにし、同じ思いを持つ同士が連帯しました。
彼らは変化を望んでいますが、明確な要求や目標を持っているわけではありませ ん。しかし、それでも参加者は増え続けています。

「これはトリックルダウン経済だ!」
✳トリックルダウン方式 : 政府からのの資金は福祉事業や公共事業よりも、企業に直接配分した方が経済成長を促す、とする理論。

レポーター : このデモの参加者は仮装し、顔にペイントし、そして政府の腐敗と社会の不平等へ抗議しながら、ウォール街の金融機関めがけて集まり続けています。

「私たちが手にできるものなど何も無い!」

レポーター : そもそもの始まりは、マンハッタンの繁華街での小規模な座り込みでした。

「私は週に40時間、しっかり働きたいんだ!」

レポーター : 今世の中で起きているたくさんの物事に不満を持つ何千人もの人々が声を上げ始め、それが数日のうちに何百回も繰り返される大合唱へと膨れ上がっているのです。
これはまさに不満のるつぼです。

レポーター : この不満のるつぼは全国的な運動へと広がっています。シカゴ、 ロスアンジェルス、ボストンの抗議の声を上げる人々が路上にあふれだしています。人々は部分的にデイヴィッド・デグローのような反ウォール街の作家の影響も受けています。
「ここにいる人々は経済的な抑圧に対して、反撃しているんです。」

レポーター : 抗議の声を上げる人々は、最大の支持者を得たかもしれません。 鉄鋼、健康産業、運輸などの大手組合が支持し始めています。
「私たちは、一般労働者世帯の生活がどんどん先細りになっている、そのことに気づいてほしいのです。」

レポーター : ご覧のとおりです、彼らは非常に熱心に運動しています。今日、 マスクを着け、外見からは何もわからないようにした数名が逮捕されました。
けれども先週末に検挙された700名の人々は、そんなことはしていなかったはずです。

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