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私たちが決して失ってはならないもの

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所要時間 約 5分

電気が回復したその日から、私は世界がの大震災をどのように報道しているのか気になり、アメリカABC、同NBC、同CNNの毎日のニュースをチェックしていました(Podcast -ABC、NBCともにその日の報道番組をフルバージョンで毎日更新し、放送後すぐに無料配信しています)。

このたびの大震災をABCは〈Pacific Disaster〉、NBCが〈Disaster in Japan〉と表現しています。
Disasterという単語は「天災、惨事」などの意味を表しますが、ニュアンスとして「思いがけない不幸」という意味を持っています。

今回の災害では、特に沿岸部の人々はこれ以上失うものが無いほど、すべてを失ってしまいました。
しかし、震災後すぐに日本に飛んできたABCの看板キャスター、ダイアン・ソイヤーさんは宮城県の災害地に足を踏み入れ、思いがけない体験をします。

無惨な廃墟の中をリポートしながら進むうち、被災し野外でたき火をしながら暖をとっていた3人ほどの家族に声をかけられます。
「腹、減ってないかい? ほら、これ食べな。」
と言って、大きなせんべいか何かを差し出されます。

ダイアンさんは
「いや、これはあなた方にとって貴重な食料だから、あなた方が食べてください。」
といって遠慮するのですが、被災者家族は
「いいがら、いいがら...」
と言ってダイアンさんに持たせます。

ダイアンさんは
「自分たちが被災者なのに、通りがかりの他人にすら、乏しい食料を分け与えようとする日本人の思いやりの深さ」
について、驚きを持って語っていました。

また、NBCの看板キャスター、ブライアン・ウィリアムズ氏は番組で三陸沿岸部の高齢者の被災者が
「次にくる世代の若者、子供たちのために、高齢者と言えども何としても立ち上がらなければならない。」
と語っていることを紹介し、自分たちの不幸を嘆きながらも、まわりのことを思いやる姿を感動的に伝えています。

ブライアン氏は「我々のもっとも近しい同盟者・日本」という表現の中に、日本人に対する「誇り」について、万感を込め、
「1日も早く、立ち直ることを願う」この他、英国やフランスの報道も決して略奪などに走らず、スーパーなどの前に整然と並び、自分の順番が来るのをじっと待つ姿を賞賛とともに伝えていました。

また世界中のメディアが今も福島第一原発の「内部で働く人々」の、「犠牲的精神」について報道しています。

しかし、沿岸部にすむ知人は、津波の後、車が突っ込んで外のガラスが割れてしまったコンビニに入り込み、商品を不法に持ち出した近所の人が「今行けば穫り放題だぞ」と触れ回っていたのを目撃しています。

別の知人は地震の翌日、仙台市内の中心部で「おにぎり2個800円」で売っていた人間を目撃しています。

震災後、様々な場所で様々なドラマが繰り広げられたことでしょう。

ちょっと話が逸れます。

日本では行われませんが、欧米、特にアメリカでは「大人になる」ということは〈Identify〉が終了すること、とされています。
つまり、「自分はこういう人間である。」という自己規定が、様々な面で完成することだと考えられています。
オレも酒が飲めるようになった、煙草が吸えるようになった、などという気楽なことではないのです。

図らずも、この大震災の後、アメリカABCやNBCが「どんなときでも、人を思いやることを忘れない東北日本人」の姿に、光をあててくれました。

こうした姿に対する人間としての誇り。
これこそを、わたしたち東北人の〈Identify〉にしたい、と思うのです。

実は阪神大震災のとき、被害に会った関西の人からメールをもらいました。
「このたびの震災に立ち向かわれている東北の方々の姿を、心から尊敬しています。」
これこそが、未来永劫私たちが決して失ってはならないもの、なのではないでしょうか ?
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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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