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日本の安全保障 – 日米同盟、そして日中、日韓関係[米国CNN]

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所要時間 約 11分

【 隣人たちを神経質にさせる日本 】

ブラッド・グロッサーマン特別寄稿 / アメリカCNNニュース 8月6日

執筆者について : ブラッド・グロッサーマンは、アメリカ合衆国の外交政策・アジア問題を専門とするシンクタンク、太平洋フォーラムCSISの役員です。
ここに掲載した原稿は彼個人の見解によるものです。


戦後長く、アメリカ合衆国の安全保障を担当する政府関係者や評論家が、日本はアメリカとの同盟関係において、その安全保障体制に『タダ乗りしている』と主張してきました。
確かに不平等ではありますが、こうした表現は言い過ぎというものです。
詰まるところ、日米の安全保障体制のなかで日本が果たす役割は、紛争解決手段としての戦争を放棄している日本の『平和憲法』の規定の下、ある程度制限されたものになるのは仕方のないことなのです。
この平和憲法が、戦争直後のアメリカ占領下において成立している点も、また見落としてはなりません。

厳しい見方をすれば、アメリカが攻撃を受けた際、日本が救援に向かう義務はありませんが、日本の領域が武力によって脅かされた場合には、アメリカは直ちに救援に赴かなければなりません。
その代り日本はアメリカに対し、その前線基地を提供しています。その基地は日本という島の上にあり、かつての日本の首相の表現を借りれば、『不沈空母』としての役割を果たしています。

しかし1980年代から90年代にかけ、日本経済、米国経済がともにその先行きが不透明になった際、アメリカ側では改めて、日本に対し公平な負担を求める姿勢が強まることになりました。
しかしその後日本の経済が完全に停滞してしまい、米国の関心はこの20年間、台頭著しい中国に向けられ、結果的に日本への圧力が弱まることとなりました。


日本の安全保障体制の強化は、アメリカにおいては、安全保障問題に詳しい一連の人々以外に関心を持たれることは、ほとんどありませんでした。
1996年以降日米両政府は、許される範囲内で、できる限りの日本の安全保障体制へのテコ入れを行い、自衛はもちろん、日本周辺での防衛能力の強化に取り組んできました。

この取り組みは様々な形で具体化され、これからさらに多数のプランの実現が図られることになっています。
今後の日本の軍事力強化は、日本国内の安全保障を担当する国会議員の間で、一層現実味をおびてきました。
かつては『平和ぼけしている』と揶揄されてきた日本ですが、ここに来て国家の安全を、同盟国間の善意に頼るわけにはいかない、と認識するようになっています。

そして国家の平和、安全そして繁栄を脅かす国家の存在や行為に対し鋭敏になっています。
北朝鮮の好戦性と挑発的行動が、中国の権益を主張する強硬な姿勢とともに、日本がこうした考えを形作ってくことを促すことになりました。
さらには中国の急速な軍備拡張と軍の近代化がどこまで続き、その目的とするところは何なのか、そのことも日本の不安を倍加させることになっています。


日本の新たな防衛思想は、先月発行された防衛白書の中で明らかにされました。
その内容は日米の同盟関係を日本の防衛の中心に据え、外観上防衛に特化した様々な手段を講ずるというもので、アメリカ側の立場からすれば特に見るべきものはありません。
しかし一方でこの防衛白書は中国の軍事的台頭の真の意図は不明であるとし、日本はその防衛能力を高め、安全を脅かす事態や偶発的事件に、素早く対応できる能力を備えるべきである、としています。

アメリカ人にしてみれば、いつも通りのことが書いてある日本のこの文章が、中国をいたく刺激する結果となりました。
中国外務省のスポークスマンは、この防衛白書を『根拠のない』『無責任な内容』を持ったものと非難しました。

アメリカ側が日本の防衛思想の段階的発展と見ている同じ状況を、日本の隣国である韓国や中国は、日本の軍国主義の復活の兆しと感じています。
ひとつの例としてあげられるのが、昨年発生した福島第一原発の大事故を受け、日本が今年6月原子力基本法の改定を行い、「我が国の安全保障に資する」という文言を盛り込んだことです。
一見すると経済を機能させるため安定したエネルギー供給は極めて需要である、というのは極めて当たり前のように見えます。

しかし、中国と韓国の世論はこの文言は、日本が核兵器開発への道を開くためのものだ、と主張しています。
ですが、その思考をとらえて離さない広島、長崎への原爆投下、さらには福島第一原発の大惨事によって作られてきた『核アレルギー』、そして第二次世界大戦の悲惨な経験を考えると、日本が核兵器開発によって軍国主義への回帰を目指している、というのは少し飛躍が過ぎるように思います。


北京で最近行われた議論において、発言者の一人が、日本が尖閣諸島(中国人には釣魚台として知られている領域)に対する所有権を強く主張している現在、アメリカが結果的に中国との対立に引きずり込まれる危険がある、と警告、中国政府もこの発言を追認しました。
この会議では日本政府の態度は北朝鮮のそれと変わるところが無く、結局はそれぞれの同盟国であるアメリカ政府と中国政府との間の争いに発展する、との批判がなされたのです。

北朝鮮政府と日本政府を同日に論ずることは、あまりにも非現実的に過ぎるでしょう。
しかし北東アジアにおいて、日本に対するこうした見方が出てきた、という点だけは見過ごすべきではないかもしれません。

Japan making neighbors nervous
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司馬遼太郎さんのエッセイの中で、中央官庁の官僚をしている友人が司馬さんに向かい、日本政府の本質は未だに「太政官」である、とこぼす部分があります。
太政官府、それは何かと考える時。一番参考になるのが当時の日本人の大部分は「(無知)蒙昧なる土民」である、と断定した大久保利通の発言だと思います。
大久保の発言は普通選挙の実施制度を求める自由民権運動側の主張に対する物で、「だから日本は当面よろしく有司専制であるべき」、すなわち官僚が国策のすべての舵取りをすべきである、としています。
しかし2012年、すでに国民は「(無知)蒙昧なる土民」などではなくなっているはずなのに、相変わらず「有司専制」が続き、国会事故調査委員会の報告書にあるように、そこに電力業界と御用学者などがくっついて福島第一原発の事故の原因を作ってしまいました。

現代の有司専制は国を利するのではなく、「国民を利用する」という形になってしまっていると思います。
官僚が、官僚としての幅の中で思考した事を実現するために、国民の税金を使い、「民意」なる物を権力よりのメディアを使って演出、自分たちが考えた方向に物事を持っていく。

すべてが間違っている訳ではありませんが、社会保険庁が国民から「預かっている」はずの年金掛け金を勝手気ままに使い、全国にハコ物を乱立させたり、天下り先を次々作っていくなどの乱脈ぶりが暴露された事件と、その後起きた福島第一原発の事故を見た国民をして、「日本の官僚とは何か?」という事に、深刻な疑念を持たせる事になりました。

これは中国とインドシナ半島を、相手側の意思を無視して日本の勢力圏に組み入れようとして世界と衝突し、やがては第二次世界大戦の原因の一つを作った戦前の日本政府と本質的に変わっていないと思います。
ことに太平洋戦争を推進するため、当時の「政治」が大政翼賛会を作って国民の声を封じ込めた図式と、現在の民主・自民・公明が連合して消費税増税を決めた図式などは酷似している、と言っていいのではないでしょうか?

大政翼賛会が結成され、国民の意見を「合法的に」圧殺できるようになってからでは遅すぎます。
声を上げ、国民ひとり一人の声を聴こうとしない大政翼賛会的政治家には、一人でも多く国勢の場から去ってもらう必要があると考えています。

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【海賊たちの大盛り上がりの1週間】
アメリカNBCニュース 8月14日
(写真はクリックすれば、拡大画像をご覧いただけます)

サン・セバスチャン港から手製のボートに乗り、ラ・コンチャ・ビーチに向かう約3,000人の参加者


8月13日、スペインのサン・セバスチャン港で、1週間にわたり開催される『セメナ・グランデ・フェスタ(大盛り上がりの1週間)』が始まり、『海賊たち』と呼ばれる約3,000人の参加者たちが、近くのラ・コンチャ・ビーチに向ける手製のボートをこぎだしました。この『海賊たちの襲来』と呼ばれるイベントは、お祭りのメインイベントの一つです。

【インドネシア・バリ島の水牛レース】
アメリカNBCニュース 8月13日

8月12日、インドネシア・バリ島西部ジャンブラナで開催された水牛レースからの一コマ。

【ロンドン、オリンピックの終わりにポーズを決める】
アメリカNBCニュース 8月13日

後片付けを前に、記念写真撮影のためホーズをとる大会関係者たち。


男子陸上5000メートル金メダルのモハメッド・フラー(英国)とこの日男子400メートルリレーで大会新記録で金メダルを獲得したウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、互いの勝利のポーズを交換しているところ。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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