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日本のメディアと海外メディア、その『勝利報道』に違いはあるか?

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所要時間 約 16分

【 確かに地滑り的勝利だが、そこに国民の信任はない 】

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 12月16日

12月16日の開票作業の様子

12月16日の開票作業の様子


日本の有権者は16日日曜日、衆議院議員会選挙で自由民主党に地滑り的勝利を与えました。
そして3年前の選挙で、数十年間日本を統治した後に歴史的敗北を喫した保守政党に政権を返しました。

新たに誕生した政党が乱立し、福島第一原発の事故を受けた原子力発電の廃止からアメリカ合衆国並みの連邦制を実現まで、様々な公約が標榜される混沌とした選挙戦にあって、自民党は不況に沈んだままの経済を立ち直らせ、外交問題では台頭著しい中国に対してはより強硬な姿勢で臨むという従来の立場を主張する、手堅い選挙戦を行いました。
そして戦後日本の復興を支えたものの、20年間続いた経済不況からの脱却を果たせず、2009年、政権の座を追われた自民党は劇的な政権復帰を果たすことになったのです。

今回の勝利により、自らが国家主義者であることを隠そうとしない自由党民主党の安倍晋三総裁は、彼自身を首相とする政府をつくることになります。

しかしながら今回の自民党の勝利が示すものは、多くの日本人の改革への要求が弱まったこと、あるいは反中国の立場を鮮明にする右寄りの考えが支配的になったという事でもない、と多くの人が考えています。
現在の民主党政権が戦後の硬直した体制を改革するとの公約を掲げて、自民党に対する勝利を得たにもかかわらず、政権の座について以降は国民を失望させるだけであったという事実が今回の結果をもたらしたと考えています。

安倍氏もこの辺のところはよくわきまえており、今回の勝利が民主党政権の批判の大きなうねりの上に乗ったものであると語りました。
「今回の選挙結果は自由民主党に対する信頼の回復でなく、民主党による3年間に及ぶ無能な政権運営に対し、国民が愛想を尽かした結果だと考えています。」
日曜日、安倍総裁は記者団にこのように語りした。

政治的権限の大きい衆議院で自民党は定数480議席中294議席を獲得し、圧倒的勝利を得ました。国営放送のNHKは選挙前自民党が300議席を上回る勝利を得る可能性があると伝えていましたが、これは2009年に民主党が308議席を得た結果に酷似しています。
民主党が獲得したのは57議席で、54議席獲得の大阪市長の橋下氏が結成した維新の会とほぼ肩を並べることになりました。
3年前、日本でも二大政党時代が始まったと華々しく喧伝された程の圧倒的勝利を得た民主党にとっては、壊滅的な敗北となりました。
民主党党首の野田首相は東京郊外の千葉県にある自分の議席を守りましたが、今回の敗北の責任を取り、党首を辞任することを表明しました。
「我々は、3年4ヵ月前の政権交代に込められた人々の期待に沿う事はできませんでした。」
野田氏は記者団にこう語りました。

今回の選挙において、現政権に対する反発がどれほど強いものであったか、前首相の菅直人氏が自らの選挙区において自民党の無名の元議員に敗れ、議席を失ったという事実が、そのことを端的に表しています。
他の大物の民主党議員もほぼ総崩れの状態の中、議席を失いました。

「我々は3年の間民主党に政権を託しましたが、それは完全な失敗でした。」
東京郊外の川越市の投票所で、株式市場で働く52歳の滝沢秀行氏がこう語りました。
滝沢氏は前回の選挙では民主党に投票したが、今回は自民党に投票したと語りました。
「特に外交問題において、私は自民党の方に期待しています。」

勝利宣言の中で、安倍氏は早急に大規模な財政出動を行う事を約束し、弱ったままの日本経済を刺激し、デフレーションを終わらせる事が彼の最優先課題であると語りました。
そして円安誘導を行って日本製品の国際価格を相対的に下げることを含め、窮地に立たされている輸出産業を援護することも約束しました。

タカ派として知られる安倍氏が、特に領有権の問題が大きくなっている東シナ海の尖閣諸島、中国名ダイユー諸島をめぐり、中国との緊張関係をより悪化させるのではないかと言う懸念がありました。
しかし安倍氏は、日本にとって最大の貿易相手国である中国との関係改善のため、早急に対策をとるとの約束を行いました。

阿部氏はまた、民主党政権の最初の首相であった鳩山由紀夫氏が沖縄の基地問題を巡って米国政権と衝突した後、冷え込んでいる日米関係の修復にも言及しました。

さらには、長年原子力政策を推進してきた自民党の復活は、民主党政権が掲げた2030年代までに日本国内の原子力発電を廃止するとした政策を終わらせ、国内のほとんどの原子力発電所を停止させた状況に終止符を打つことになるでしょう。

今回自民党がこれ程の勝利を収めた背景にあるもう一つの理由は、新たに設立された政党が現実的政策を展開できるという点を、有権者に浸透させられなかったことにあります。
最大の敗者の一人は日本未来の党です。
日本未来の党は福島第一原発の事故により生まれた、反原発の民意の受け皿として11月後半に結成されましたが、先細る日本経済に電力不足が一層の追い討ちをかけるという懸念を跳ね返すことが出来ませんでした。
日本未来の党の獲得議席は9に留まりました。
「私たちの主張を、有権者の中に浸透させられるだけの時間がありませんでした。」
党の創始者である、嘉田由紀子滋賀県知事がこう語りました。

新党の中で最大の成果を上げたのは維新の会でした。
がむしゃらに突き進む43歳の橋下徹大阪市長が国政政党としては9月に立ち上げた維新の会は、決断力のあるリーダーシップ、そして中央集権体制から脱却したアメリカ・スタイルの道州制の実現を訴え、特に若い層の有権者の人気を集めました。
しかし同党は、高齢である上若い有権者から見れば反動的思想の持ち主であり、国粋主義者の元東京都知事の石原新太郎氏との提携後、若干勢いを失ったようにも見えました。

有権者に対するインタビューでは、多くの人が結局自民党に投票するしかなかったと答えました。
こうした有権者の意識を考えれば、安倍氏が年来主張し今回も公約に掲げた、平和憲法を改定し大規模な再軍備を行うという国民の支持が薄い路線を自民党が走り出すようなことになれば、民意の振子は再び逆に触れることになると、多くの評論家などが警告しています。

「確かに地滑り的勝利ですが、そこに国民の信任はありません。」
こう語るのは、京都大学の政治学者待鳥聡史大学院法学研究科教授です。
「国民に自由な裁量権を与えられた、安倍氏はそう考えない方が良いでしょう。」

最近の世論調査では、安倍氏に対する支持は限られたものであることを示していました。
インタビューを受けた中の何人かは安倍氏に関する不安について、そのタカ派的スタンスではなく、2007年に参議院議員選挙で自民党が敗北した直後、体調不良を訴えて首相を辞任したように、今回も難しい問題を投げ出す可能性があるのではないかと言及しました。

「安倍さんは一度仕事を投げ出したことがあります。」
川越市の投票所で41歳の坂本さんと言う女性がこう語りました。
「尖閣問題が暗礁に乗り上げたら、また職を投げだすのでしょうか?」

政治評論家は、今回の自民党の勝利に貢献したのは、地方の農村部において未だに有効に機能している集票組織だと指摘しました。
一票あたりの格差の問題が存在する日本では東京などの大都市と比較し、地方の農村部は少ない人口の我に数多くの議員を国会に送り込んでいます。
こうした票を獲得するため、自民党は公共事業の拡大を行うと公約しました。
日本の公共事業は長い間こうした地方の農村部に、建設作業などの職を豊富に提供してきました。

「自民党の伝統的手法、公共事業によるばらまき政策の復活は、褒められたものではありません。」
東京のゴールドマン・サックスの経済専門家である、キャシー松井氏がこう語りました。
「しかし、安倍氏が円安誘導に的を絞っている点は、評価されています。」

※議席数の表記について
この記事は16日に書かれたため、記事中の議席数は開票作業終盤の途中結果が表記されていました。
このため訳者が、17日正午時点の「確定数」に訂正いたしました。


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今回の選挙結果については、この稿をご覧の方々の中には暗澹たる思いでいらっしゃる方の方が多いと思います。
私も17日月曜日は、テレビも新聞も見る気になりませんでした。
しかし一方で、私たちの取り組みは「これからだ!」という思いを新たにしています。

どなたかがツイートされていらっしゃいましたが、日本の真実の姿に気がついたのは3.11、たった1年9か月前のこと、そう簡単に世の中を変えられるはずが無い、「これから、これから!」と。
おっしゃる通りだと思います。

皆さんは信じられないかもしれませんが、地方には主義主張など関係なく「必ず投票所に行き、『自民党』と書くこと」こそが『選挙』だと思っている方が相当数います。
また、私は尖閣『問題の発生』以降のナショナリズム的な動向についても、『何ものかの意思』が働いていたように思えてなりません。
そのような条件の中、今回は『脱原発』『改革派』の側が戦略・戦術を検討する間もなく選挙戦に突入してしまい、『守旧派』の壁の前に敗れ去りました。
戦いは組織と作戦を持つ方が勝つ、そうした冷厳な事実を改めて知らされたような気がします。

しかし日本人の私が言うのもちょっと変ですが、12月16日の選挙は、私たちの『パール・バーバー』だと思えばよいのです。
準備が整う前に、奇襲によって敗れ去った。
被った損害は大きなものでしたが、「戦いはこれから」、民主主義が全体主義に破れるはずは無い、という信念がその後の戦いを徐々に変えて行きました。

私たちにとって一番大切なこと、それは『3.11によって開かれた目』の次に必要なものを、自分たち自身が手に入れていくことだと思います。

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【 このような悲劇は、もう終わらせなければならない 】
オバマ大統領、銃による暴力への対策を誓う

アメリカNBCニュース 12月16日

今回の事件で犠牲になった人々

今回の事件で犠牲になった人々


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「犠牲になった方々は、みな神に召されました。残された私たちは支え合って、この悲しみを乗り越えましょう。」
オバマ大統領が徹夜の祈りの会で、サンディフック小学校の犠牲者の家族、そして事件を免れた小学校の児童に対し、こう呼びかけました。

バラク・オバマ大統領は、コネティカット州ニュータウンで発生した無差別大量殺人事件を受け、全国で展開されている銃規制への取り組みを支持し、彼の政権を挙げてこの問題に取り組むことを表明しました。
大統領は16日夜にニュータウンで開催された、宗派を問わない徹夜の祈りの会に参加し、20人の子供たち、7人の大人、そして容疑者自身が射殺された事件の後、
「難しい問題が残されることになった。」
と語りました。

大統領に就任してから2度目となった銃乱射・無差別殺人事件を受け、大統領は今回の演説を、具体的取り組みを始めるための出発点と位置づけました。
「私たちはもう、このような事件が起きる危険性を見過ごすわけにはいきません。」
「このような悲劇は終わらせなければなりません。 そしてこのような事件が二度と起きないよう、我々自身が変わらなければなりません。」
「今週私は、二度とこのような悲劇を引き起こさないようにするための取り組みに、全国民か参加するよう、政権として全力を注ぎます。」
オバマ大統領はこうした暴力事件に対する対応の詳細、あるいはどのような規制を行うつもりなのかは明らかにしませんでした。

オバマ大統領がいずれかの形であっても銃規制に乗り出すことになれば、一定の政治力を持つ全米ライフル協会や銃所有の権利団体などからの抵抗に会うことになるでしょう。
これに対し銃規制を唱える立場からは、こうした抵抗を受け流してしまうよう求める声が上がっています。
ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグは、銃規制について、オバマ大統領が『最優先で取り組まなければならない問題』であると述べました。

手を取り合ってオバマ大統領の演説に聴き入る人々

手を取り合ってオバマ大統領の演説に聴き入る人々


犠牲者を悼むパキスタンの子供たち

犠牲者を悼むパキスタンの子供たち


コネティカット州ニュータウンで

コネティカット州ニュータウンで


事件現場の近くの自宅の周囲に、木製の天使の像を並べる男性

事件現場の近くの自宅の周囲に、木製の天使の像を並べる男性


事件現場近くの路上で警戒にあたる警官

事件現場近くの路上で警戒にあたる警官

http://firstread.nbcnews.com/_news/2012/12/16/15953192-obama-vows-action-on-gun-violence-these-tragedies-must-end?lite

 

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