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支えることで支えられた11日間

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所要時間 約 5分

今日3月22日午後2時、11日の震災以来、11日間我が家で避難生活を送っていた大学生の男性が、ご両親の強いすすめもあり、東京の実家に帰っていきました。

彼が我が家にきたのは震災当日、3月11日の夜。大学生の息子の携帯電話に、彼からのSOSが入りました。大学と住まい がある船岡に向かう途中、地震に遭遇、夜7時頃に仙台駅に着いたものの、そこからの交通手段がすべて途絶していました。タクシー乗り場で一時間待ったもの の、いっこうにタクシーが来る気配もなく、気温はぐんぐん下がり、寒さに震え上がってしまったようです。

息子とは大学が違いますが、ともに所属するテニス部が、大学を横断してメンバーが構成され各種の大会などを運営する「学連」という組織で、ともに大会運営などを行ううちに友人になったようです。

電話を受けてすぐ、息子を乗せ、自家用車で家を出ました。雪が強く降り、震災と相まって市内は大渋滞との情報がありましたが、できるだけ幹線道路を避けた結果、7キロほどの道のりを30分ほどで仙台駅に着きました。

息子が車から出て携帯で連絡を取り合いながら彼を捜し、無事彼を収容、家路につきました。帰路、信号はすべて消えてしまっていました。帰宅 のための交通手段を失ってしまった人があらゆる場所を歩いており、人を避け、車をかわしながら、それでも一時間かからずに家に着きました。家は既に停電し ており、ろうそくの灯で夕食を摂ってもらい、その日は息子と同じ部屋で休んでもらいました。

以来11日間の我が家での生活。しかも19日までは友人の中国人のご夫婦も一緒のため、我が家4人に加え、7人での共同生活となりました。

幸い、我が家は私の両親と一緒に住むことを想定した二世代住宅でありながら、両親が未だ別の場所で2人暮らしを続けており、泊まってもらう 部屋に不自由はしませんでしたが、はじめは電気も水も無い生活。電気は3日目に復旧、水道は6日後に復旧しました。オール電化の家のため、それからは生活 にあまり不自由はありませんでしたが、彼にしてみれば突然迷い込んだ知らない家で大分気を使っていたことでしょう。

彼の実家は東京ですが、お父さんが仕事の上で転勤が多く、小学校時に既に3回転校しなければならず、それを嫌った彼は小学校6年から高校卒 業までずっと東京で寮生活。そのせいか団体生活のリズムが身にしみついており、22歳という若さにも関わらず、私たちの生活のリズムが少しでも狂う、とい うようなことはいっさいありませんでした。どころか、自宅近くのみやぎ生協でアルバイトをしていた息子が、混乱する店から召集を受け、毎日特設売り場で働 くのにつきあい、一円の報酬も受け取ること無く一生懸命働いていました。

2日目に連絡がついた彼のご両親は「ご迷惑をおかけして...」としきりに恐縮されていました。しかし5日も過ぎる頃には、食事や寝る場所 を彼に提供しているのは確かに私たちではあるものの、それ以上のものを彼が私たちに与えてくれていることに気がつきました。屈託の無い明るさ、素直でまっ すぐな感謝、そうしたものが悲惨なニュースや原発の恐怖におののくばかりの私たちの心を、どれほど明るくしてくれているか、そのことをつくづく感じまし た。手の届かない被災地にいる息子を心配する彼のご両親には申し訳ない話かもしれませんが、彼の存在は我が家にとってまさに「天の配在」ともいうべきもの でした。

私たち家族は4人とも、彼を支えようとして、彼に心を支えてもらっていたのです。

今度の震災は私たちの住む社会を、コミュニティを、どれほど変えてしまうか解りません。津波の被害を受けた仙台市から多賀城辺りの沿岸部からは、耳を洗いたくなるような嫌な話も次々伝わってきます。「人間不信」、そんな言葉も頭をよぎります。
しかし私たち家族には彼と過ごした11日間があります。彼には不自由な思いをさせないよう、変な遠慮をしないよう、私たちも一生懸命でしたが、彼はそれを超える大きなものを残していってくれました。

今、私たちはこの惨状の中、誰かのために何かできることがあるなら、喜んでしよう、という気になっています。

恐縮してくれる方にはこう言っています。

「この震災にあって、私たち人間は支え合うことこそ大切なことなのだ、ということが解りましたから。」

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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