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日中間の危機を誘発した張本人、日本の政治・経済の山積する問題は「自分が解決する」

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【 石原東京都知事、新たな右翼政党結成のため辞任 】

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月25日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

何事にもストレートな物言いをする石原慎太郎東京都知事が、新党結成の動きに入りました。
2013年8月まで行われる予定の国政選挙に間に合うよう、右翼勢力を結集した政党を立ち上げる可能性が出てきました。

傲岸な国家主義者である石原氏は、この4月、中国との間で紛争の種になっている尖閣諸島を東京都が購入する方針を打ち出し、日中間の外交危機を引き起こしました。
この動きに煽られるように日本政府と野田首相も動き出し、紛争の焦点となっている尖閣諸島が石原都知事の手の中に落ちないよう、民間の所有者に働きかけ、結果的に国有化せざるを得なくなりました。

石原氏はその発言が中国側を激怒させることを承知の上で、東京都は購入後、島の開発を進めると表明していました。
これに対し野田首相は、北京政府をなだめるため、国有化の後は島の開発は行わないことを表明しました。


石原氏は25日に行われた短い記者会見の中で、直ちに東京都知事を辞任し、山積する日本の政治的・経済的問題を自分が解決すると宣言しました。
「私は志を同じくする人々と新しい政党を結成し、国政に復帰します。」
「これまで都政に尽くしてきたと同様、今度は国政のためにあらゆる努力をするつもりです。」
石原氏は記者会見でこう述べました。新党の名称はまだ未定です。

今年80歳になる石原氏は1968年自由民主党の議員として国政に加わり、日本の官僚制度について、封建時代の江戸幕府の体制と変わらないものだと批判しました。
「我々は硬直した日本の官僚制度を、改革しなければなりません。」
この時の石原氏の発言です。
石原氏が立ち上げる新党が国政の場で、どの程度の影響力を発揮するかは明らかではありません。
彼の右派的大衆扇動政治は東京都民の心をとらえ、4期13年に渡る石原都政を実現させました。
しかし石原氏の挑発的政治姿勢を好まない人々もいます。

世論調査の結果は次回行われる衆議院選挙では、阿部晋太郎元首相が率いる野党第一党の自民党が、最も多くの議席を手に入れる可能性を示唆していますが、政権を獲るためには、小さな政党との連合政権を組む必要があるかもしれません。
野田首相率いる政権与党の民主党は、数々の政策的失敗と3年間の間に段階的に実施される消費税増税などへの反発から、壊滅的敗北をするものと見られています。

石原氏はもう一人の右翼的政治家、橋下大阪市長が率いる新党、維新の会との連携の可能性を否定しませんでした。
「大阪には勢いがあります。できることなら連携したいと思っています。」
朝日新聞は日本の小規模政党「立ち上がれ日本」の5人の国会議員が、石原新党に参加する予定であると報じました。

石原氏の隣国に対する強硬姿勢は、他に類を見ないものです。
1937年に中国の南京で日本軍が約30万人を虐殺したとされる南京事件について、石原氏は『作り話』と一蹴し、中国と北朝鮮に対し、日本は核兵器を装備すべきであると主張してはばかりません。

昨年、3月11日に発生した巨大地震と津波によって約2万の人々が死亡・行方不明になった際には、日本人の自己中心的な振る舞いに天罰が下ったのだと発言し、幅広い批判を招きました。


東京都知事時代には、女性と外国人に対する侮辱的発言を繰り返し、フランス語を『国際標準語になり損ねた言語』であると揶揄し、フランス語圏の人々を侮辱しました。
2010年にはサンフランシスコで行われた同性愛者のパレードを見た後、同性愛者を『不具者』呼ばわりしました。

しかし石原氏は、少なくとも東京都内では相変わらずの人気を誇ります。
福島第一原発の危機が頂点に達していたころ、彼は東京都の水道水を公衆の面前で飲み干して見せ、その安全性について都民を安心させました。
また、ディーゼルエンジンの排ガス規制を行い、環境保護団体などからの賞賛を得ています

石原氏は1989年、ソニーの共同設立者である盛田昭夫氏との共著『ノーと言える日本』の中で、国家主義者としての全貌を明らかにしました。この本の中で石原氏は、日本はアメリカの安全保障体制から独立しなければならないと主張しました。
23歳で芥川賞を受賞した石原氏は、2007年には、太平洋戦争末期の神風特攻隊のパイロットを賞賛する脚本、『君のためにこそ死ににいく』を書き下ろし、映画化しました。
日本の保守勢力の多くがそうであるように、石原氏は戦争手段としての軍隊の保有を禁じた日本国憲法と戦後体制の廃棄を求めています。そしてより戦闘能力の高い、強力な軍隊の配備を望んでいます。
「日本人自身で解決しなければならない課題が、この国には数多くあります。」
石原氏は25日にこう語りました。
「最大の問題は日本を占領していたアメリカ軍に押しつけられた日本国憲法であり、およそ日本語とは思えないような文章で綴られたものです。」

衆議院の任期は2013年8月までありますが、野田首相には早期解散を求める圧力がかかり続けています。
野田首相は消費税増税法案可決への協力の見返りに、早期に衆議院を解散する約束をさせられていました。

http://www.guardian.co.uk/theguardian
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昨日から日本の新聞は第一面でこの話題を取り上げていますが、ガーディアンでは国際面の中、4番目の扱いです。
私自身はこの話題に関しては、再び日本のマスコミの『報道社会の住民としての良識の欠如』に怒りを感じています。
尖閣問題を一気に深刻なものにしてしまい、日本経済の先行きに大きな不安材料を積み増した本人が「オレが日本の経済課題を解決する」と話していることについて、特にテレビ界からはどのような批判も聞こえてきません。
それどころか、次期首相を任せてはどうかとまで言い出す、テレビ界の『政治評論家』まで現れる始末…

現代のように先進国同士、そして周辺諸国との関係がきわめて複雑に関連し合って国家というものが成立している時代に、ことさら一つの問題だけを大きく取り上げ、周辺国との対立を煽る全体主義、国家主義はきわめて危険といわなければなりません。
「石原氏には、強力なリーダーシップが期待できるから」
というのが、前出の政治評論家の弁ですが、どっちに向かってリーダーシップを発揮するのか、そちらの方が問題です。

1929年に世界恐慌が始まった後、全体主義、国家主義政党が国政の場に台頭したのは、ドイツ、イタリア、日本だけではありませんでした。
イギリスにも、アメリカにすらナチスと同じ全体主義、国家主義政党が現れ、一定の支持を集めたのです。

サー・ウィンストン・チャーチル


しかし両国の国民は、全体主義者を政権に座らせることはしませんでした。
イギリスはチェンバレンの対ドイツ、対ヒットラーへの『弱腰外交』(正しくは宥和政策)により一時は窮地に陥りましたが、その後を託した相手はチャーチルであり、チャーチルは保守党の政治家ではあっても、国家主義者ではありませんでした。
そして第二次世界大戦が終了すると、英国人は『英雄』チャーチルから政権を取り上げ、労働党のアトリー内閣の民治路線に戦後を託したのです。
私はこの選択について、近代政治の達人、英国人らしいエピソードだと思っています。

一方、ヒトラーの『手腕』に熱狂してしまったドイツは、ソ連で約1,450万、ユダヤ人に約600万人もの犠牲を強いた上、自国も300万近い犠牲者を出し、国土は灰燼に帰しました。

自分たちの意に添わぬ周辺諸国を黙らせるためには、武器を振り回せばいい、そんな粗暴な外交が21世紀に通用するはずが無いのです。
今やGDPで抜かれ、人口が10倍以上いる国を相手にするなら、頭を使い、神経を研ぎすます必要があります。
本人は保守派を自認しているようですが、筋の通った保守派の政治家というのは、英国のサッチャー首相や古くはディズレーリのような人間をさすのであって、単なるかきまわし屋の事ではないはず。

第二次世界大戦で犠牲となった兵士の墓標


別に日中開戦が迫っているわけではないのです。
そんな空気を煽り、およそ世界の常識からかけ離れた選択を日本人に迫る。
その先には大きな危険が口を開けていることを、肝に銘じなければなりません。

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『 戦争、ひとびとの悲劇、数限りなく – シリア内戦 』

10月25日 アメリカNBCニュース
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

息子の遺体をかいいだいて泣き崩れる男性。
10月3日、アレッポ。


負傷した子供たちに応急治療を施す病院内部。
10月10日、アレッポ。


繰り返される惨劇に、怯えて泣く少年。
10月13日、アレッポ。


負傷して倒れている男性を助け出そうとする市民兵。
10月20日、アレッポ。


政府軍に息子を殺害され、嘆く男性。
10月23日、アレッポ。


政府軍の攻撃により負傷し、病院に担ぎ込まれる女性。
10月23日、アレッポ。


廃墟と化した街を歩く女性。
10月23日、アレッポ。

 

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