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【原子力発電所の廃止を、視野に入れ始めた日本】[ウォールストリート・ジャーナル]

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所要時間 約 11分

岩田まり、望月たかし / ウォール・ストリート・ジャーナル 8月21日


一般国民の強い反対意見と数か月後に予想される総選挙を前に、日本政府はこれから20年間、長期的エネルギー政策としては原子力発電への依存割合を減らす決定を行うことになりそうだと、エネルギー問題に詳しい政府高官が語りました。

2011年3月に発生した福島第一原発の事故を受け、日本の野田首相は議会において今後のエネルギー政策を策定する際の選択肢として、3つのシナリオを用意しました。
1. 2030年までに日本国内のすべての原子力発電を停める
2. 原子力発電への依存割合を15%程度に減らす
3. 現在とほぼ同じ、20%から25%の水準を維持する
さらにいずれが選択されても、再生可能エネルギーへの依存割合を現在の10%から最低でも20%へ上昇させる、としています。

日本政府は上記の選択肢の中からいずれを選ぶのか、年末に予想される総選挙以前、9月中に発表すると見られています。

その選択についてこれまでは、政府は折衷案を選択すると思われてきましたが、政府高官は現在の流れでは、議会が将来の原発への依存割合をゼロとする案を採択する可能性が高い、と語りました。
「原発ゼロが私たちの願いであり、最終目標です。」
政府官僚の一人がこう語りました。
「私たちは今、その目標に向け進みつつあります。この動きに強力に反対する勢力は、今のところ見当たらないと思います。」


福島第一原発の事故の後、日本国内にある稼働可能な50基の原子炉が定期点検のため、すべて停止しました。しかし7月になって、夏場の電力需要の高まりを予想し、西日本にある2基の原子炉が再稼働されました。
この措置は原子力発電に反対する人々を怒らせることとなり、毎週行われる首相官邸前の抗議行動に参加する人々は増え続け、参加者は75,000人にまで膨らみました。

電力産業を職掌している経済産業大臣の枝野幸男氏は、この8月、石油・天然ガスなどの化石燃料への依存が増加することによって生じる、経済的負担の応分の分担に関して国民の間で合意が得られるならば、大臣自身は原子力発電への依存割合を削減していきたい、と語りました。
枝野大臣の発言は、原子力発電への依存率をゼロにするシナリオについて、実際に可能かどうか精査するように、という野田首相の指示に沿うものです。
こうした一連の動きは、現政権が今月消費税率を今後3年間で現在の倍にする法案を成立させたことにより、野田政権と政権与党の民主党に対し、より一層敵対的となった世論を鎮静化させる目的がありました。

現政権の支持率は、大手メディアによる世論調査によれば、30%を下回っています。
と同時に、世論は原子力発電への回帰に関する懸念を、いっそう深めていることも明らかになりました。
朝日新聞社による世論調査では、国民の43%が原発ゼロの選択肢を望んでいるのに対し、15%に削減する案への支持は31%でした。
現状維持の20%~25%の案への支持は、11%に過ぎませんでした。

政府の姿勢が軟化したひとつの兆候として、野田首相が22日水曜日、脱原発の抗議行動を行っている人々の代表と会談したことが挙げられます。
これまで首相は、こうした人々と会うことを忌避し続けて来ました。


これに対し、産業界の代表は相変わらず原子力発電の廃止に強く反対しています。これ以上国内の生産コストが上昇すれば、ただでさえ経営が苦しい企業は生産設備を海外に移さざるを得ない、というのがその言い分です。

日本最大の経済界による議会工作団体、経団連環境本部の長谷川雅巳主幹は、政府は「声なき多数派」を無視していると批判しました。
長谷川氏はさらに日本が置かれている環境は、2011年に福島第一原発の事故を受け原子力発電所の廃止を決めたドイツとは違う、と語りました。
「ドイツの送電網は他のヨーロッパ諸国とつながっているからこそ、原子力発電所の廃止が可能になったのです。必要になれば、電力をフランスから輸入することが可能なのです。」
「電力の安定供給のためには、多様な発電手段を持ち続けることの方が賢明です。」

日本国内で東京電力に次ぐ規模を持ち、原子力発電への依存率が最も高い関西電力は、この件に関してのコメントを辞退しました。
同社の八木社長はこの7月、日本に原子力発電は必要だと信じているし、将来も原子力発電を続けることになるだろう、と語っていました。

http://online.wsj.com/article/SB10000872396390443855804577603051383403854.html

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今朝の朝刊の第一面記事下の広告、S新聞社の東京都知事の新刊の広告が出ていました。
その中に『脱原発センチメントの愚』と言うタイトルがありました。
都知事が常々『日本が核兵器製造能力を持ち続けるため、原子力発電を止めるな』と主張していることは、広く知られているところです。こういう主張をする人を日本の首都の知事に選出することの是非はとりあえず措いておき、『脱原発は感情論である』という彼らの主張が、いかに的外れであるか、3.11以降に限っても、世界中から発信されてきました。
それに避難を強いられた福島の人々の姿を見て、人間として思いやる感情のどこに問題があるのか…

1. 原子力発電所内には生物にとって致命的となる物質が、様々な段階で、様々な場所にある(福島第一原発4号機核燃料プールにある使用済み核燃料が火災などを起こしたら、現代の『科学』ではどれ程の災害になるか予測できない、など)。
2. 高レベル放射性廃棄物の究極の分解処分方法が開発されていないにもかかわらず、次々とこの廃棄物が生み出され、アメリカや日本では持って行き場が無くなってきている。特に日本はきわめて原始的な埋蔵処分場所の確保もできずにいる。
3. 中性子、あるいは核分裂については、その半分も解明されていないのに、解っていることだけをつなぎ合わせて原子力発電を始めてしまった。
4. イギリス、フランス、ドイツのように地震というものがまず発生しない、という場所であっても危険なのに、世界の巨大地震の20%が集中する国土に、次々と原子力発電所を建設した日本を、世界中が(悪い意味で)驚異の目で見ている。
5. 日本は商業用原子炉の本格的廃炉作業の経験が無く、「40年かかる」と言っている福島第一原発の廃炉作業も、うまく進行するという保証はどこにもない

など、箇条書きにしていったら、きりがありません。
ここに列挙した『事実』を見ただけでも、原子力発電はやめるべきだ、とするのが『科学的』かつ『冷静な』判断だと思うのですが、それを感情的と揶揄するアタマの仕組みは、どう表現すればいいのでしょうか?

第一、核兵器を誰を相手にいつ、どうやって使うつもりなのでしょうか。
抑止力?!
中国?北朝鮮?
中国のように広大な国土のどこに核兵器発射設備を隠しているのか、そんな相手に『抑止力』を働かせるには、日本はいったい何発の核爆弾を持たなければならないのでしょうか?
冷戦時代に大量に作ってしまった核兵器の保管に、アメリカが苦しみ始めたことは前回ご紹介したばかりです。
原子力発電所の廃炉、そして福島第一原発の核廃棄物の処分に苦しむ日本に、この上核兵器の保管という難問をかかえこむつもりでしょうか?!

かつて「原子力発電に群がる、狂人たちの時代を終わらせるために」という記事をご紹介したことがあります。
日本は原子力発電を続けて核装備しろ、と言う人々には、パラノイア(内因性の精神病の一型。偏執的になり妄想がみられるが、その論理は一貫しており、行動・思考などの秩序が保たれているもの。妄想の内容には、血統・発明・宗教・嫉妬(しっと)・恋愛・心気などが含まれ、持続・発展する。偏執病。妄想症。 - Yahoo辞書)という言葉がぴったりです。
そう、『原発推進パラノイアは、この国の未来を奪う』。

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[以下の写真はいずれも、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます。]

巣穴にエサの魚を運び込むオスのカワセミ


ザ・ガーディアン(英国)8月24日

訳者 : 野鳥の写真を撮影した経験をお持ちの方なら、この写真がアマチュアなら一生に一度ものにすることができるかできないか、と言うほどの傑作写真であることをご理解いただけると思います。
私も3.11の以前は野鳥撮影に夢中になっていた時期があり、カメラとレンズを買い揃え、人の来ない山や谷を歩いてあてども無くその姿を追ったりしていました。
カワセミそのものは、都市の近郊にもいて、さほど珍しい鳥というわけではありませんが、その姿の美しさは格別のものがあります。
まして飛んでいる写真ともなれば、巣穴を見つけ、その前で姿を隠して何時間も、場合によっては何日もシャッターチャンスが訪れるのを待たなければなりません。

岩壁を昇る羊の群れと牧童たち。スイス、ヴァレ州。


シバ神の神殿の前で、ぼんやりと鳩を見やる男性。ネパール。


民間療法に使用するヒルを探す女性。ネパール。

 

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