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北朝鮮の平和外交とドナルド・トランプのノーベル平和賞

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所要時間 約 11分

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トランプは国連の役割を真っ向から否定し、世界を不安と恐怖の発作に苦しむよう仕向けた張本人

キム・ジョンウンとトランプ、いったいどちらの方が精神に異常をきたしている政治指導者なのか?

朝鮮半島の問題に関して、トランプの疑問を持たれて当然のアマチュアぶりは恐ろしいものだった

 

デイヴィッド・アスボーン / ザ・インデペンダント(英国) 2018年3月6日

あなたは、ノーベル平和賞委員会がドナルド・トランプの推薦指名を受けつけたという最近のニュースを一笑にふしたかもしれません。

このニュースを流した張本人は他人のIDを盗んダ疑いで、現在ノルウェの警察の捜査対象になっていると伝えられています。この犯人は1年前にも同じ手口で同様の犯行を行った疑いも持たれています。

しかしトランプがノーベル平和賞とは馬鹿馬鹿しいにも程があるというものです。

 

トランプはNATO北大西洋条約機構の下で相互的に防衛力を提供することを拒否し、欧州の同盟国がもう何年も直面して来なかった危機に、直面させられる原因を作った男です。

また大統領選挙運動の期間中は、誰が日米韓軍事同盟を反古にすることをちらつかせ、日本と韓国に核兵器の保有を奨励するかのごとき発言を行ったことはよく知られているところです。

 

そして北朝鮮とその指導者キム・ジョンウンの問題については、国連の役割を真っ向から否定し、世界を不安と恐怖の発作に苦しむよう仕向けた張本人です。

トランプは「北朝鮮を完全に破壊してやる」と述べ、ロケットマン(キム・ジョンウン)は、アメリカのほぼ全土を射程内に収め、核弾頭を搭載できるミサイル開発とそのテストを続けていることは「自殺行為」だと嘲りました。

 

こうして私たちはキム・ジョンウンとドナルド・トランプ、この2人のうちいったいどちらの方が精神に異常をきたしている政治指導者なのか、疑問に思うことになったのです。

 

でももっと良く考え見ましょう。

2018年ピョンチャン冬季オリンピックに北朝鮮が予期せざる積極的参加をしたことがきっかけに始まった南北朝鮮の関係改善をさらに前進させるため、韓国政府は外交団を北朝鮮に派遣し、目を見張るような突破口が開いたと報告しました。

中でもハイライトは、十年以上行なわれていなかった韓国と北朝鮮の首脳会談の開催が決まった事です。そこでは北朝鮮はアメリカとの敵対関係に終止符を打つことに同意する可能性があります。

そして交渉が続く限り、北朝鮮はミサイルの発射実験も核実験も行なわないと明言しました。

こうした現実に対し、アメリカの核諜報機関が素直に喜べない状況に置かれていることは当然予想されたことでした。

しかし疑いを持つことこそは、今日の秩序を作り上げている大元です。

ダン・コート国家情報長官(National Intelligence)は上下両院の議員に対し、

「希望を持つのは自由だが、北朝鮮の発言に関連するすべての事項について、もっと綿密な検証が必要だ。」と述べ、次のようにつけ加えました。

「もちろん我々はそうするつもりだ。」

 

これとは対照的に、トランプの感情表現は幾分か楽観的なものでした。

「北朝鮮との交渉過程で、何かが進展する可能性がある。」

トランプは得意のツイッターにこう語りました書き込みました。

「これまでの数年間で初めて、関係者全員がこの問題に真剣に取り組んでいる。世界が注目し、結果を期待している!偽りの希望かもしれないが、どちらの方向に進むにしてもアメリカは充分な準備ができている。」

朝鮮半島の問題に関して、トランプの首をかしげたくなるようなアマチュアぶりは恐ろしいものでした。

トランプはこの地域の非核化に関する専門家を自認して、国務省のスタッフのやる気を完全になくさせました。

そして駐韓米国大使を任命するのにどんな緊急性も認めていませんでした。

そして北朝鮮に対しトランプが行なった脅迫は韓国政府と合衆国政府の間に前例のない緊張関係を作り出してしまいました。

 

結局トランプはムン・ジェイン大統領と状況を話し合うべき人物としてイヴァンカ・トランプをソウルに派遣したのです。

そして3月3日、トランプは年に一度ワシントンで開かれるバーベキュー夕食会の席上、彼自身が北朝鮮と直接会話をしたと語り、居並ぶ専門家を驚かせました。

「状況は厳しいが、それでも我々は話し合いを行っている。」

トランプはこう明かしました。

「二日前に連中から電話が来た。彼らは「我々は話し合いをしたい」と語り、私はこう返した。「話し合いをするのは結構だが、そのためには核兵器をあきらめてもらう必要がある。」

結局後になってトランプが話をした相手は北朝鮮ではなく韓国政府の首脳だと解りましたが、それでも南北朝鮮の思惑は決して別のものではありません。

 

そして、トランプもキム・ジョンウンも次にどんな行動をとるかは予測不可能です。

しかし、我々はある程度の自信を持って次のように言うことができます。

いかなる理由があったにせよ、オバマ政権は北朝鮮に今トランプ政権がやっているような強力な圧力をかけるということはしませんでした。

しかし私たちが現状を脱するためには、確かにトランプがやっている厳しい制裁措置が必要なのです。

 

まず必要なのは説得です。

トランプは制裁と外交的努力が失敗し、北朝鮮によるアメリカ本土攻撃の危険性が高まった場合には、いつでも北朝鮮に対し一方的攻撃を行うつもりだという意思表示を一貫して続けてきました。

(こうした脅威については、つい最近ハワイで誤ったミサイル警報が発令され、全島民が恐れおののいた事実により、一層現実的なものになりました。)
朝鮮半島において再び戦争が勃発するという想定について、韓国政府以上にそれを忌み嫌う存在は無いはずです。

朝鮮戦争が再発した場合の予測される死傷者数は恐ろしいものです。

韓国政府が感情のままに罵りあうトランプとキム・ジョンウンを見て、危機を回避するために懸命の取組を行ったことは間違いありません。

これまで北朝鮮に対しトランプが行なってきた数々の脅迫は、キム・ジョンウンが慌ててギアチェンジをした原因を作って来た可能性があります。

しかしおそらくもっと説得力があるのは、トランプが発動した米国の制裁が、実際に北朝鮮の首を締め上げているという予測です。

すでにトランプ政権は先月北朝鮮に対する制裁措置をいっそう厳しくしました。

トランプ自身の言葉を借りれば、「北朝鮮に対して課された最大級の制裁」ということになります。

 

さらに重要なことは、今回は制裁の効果を確実にするため米国自身が積極的に様々な取り組みを行ってきたという事です。

トランプ政権が北朝鮮に感じさせようとしている痛みが、実際に大きなものになっている事です。

抜け道が無いこともありませんが、隠れて北朝鮮と取引しようとすれば米国の報復覚悟でやらなければなりません。

米国政府の力は相変わらず強大です。

例を挙げれば北朝鮮と取引していた中国系の銀行はひどい目にあわされました。

そして他の対策も強化されています。

密かに北朝鮮向けに貨物を運んでいる疑いを持たれている船舶会社や船舶の長いリストが作られ、米国企業はこれらとの取引を厳しく制限されています。

 

こうした措置がすべて無に帰してしまう可能性が無い訳ではありません。

しかし急速な拡大を見せた私たちの時代の最も危険な安全保障上の危機に終止符が打たれるこという事態がそれによって始まることになれば、トランプに対しては絶大な信用が与えられることになるでしよう。

もしそうなればトランプが今自分が何をしているのか正しく認識しているかどうかは、この際問題ではなくなります。

トランプは本能のままに行動しており、北朝鮮に対し煮え切らない態度をとるつもりなどありません。

危険な賭けですが、その先にはただ単に成功だけが待っているのかもしれません。

オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞した後は、混迷していく北朝鮮情勢を打開することはできませんでした。

トランプが同じ道をやってきて突然ノーベル平和賞をもぎ取ることになったとしても、私たちは驚くべきではないのかもしれません。

 

http://www.independent.co.uk/voices/donald-trump-resolve-north-korea-nuclear-crisis-where-barack-obama-failed-win-nobel-peace-prize-a8242731.html

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この記事をアップしたその日に、トランプとキム・ジョンウンの直接会談が5月にも実現する可能性を伝える号外が次々飛び込んできました。

ちょっと狐につままられたような気分です。

でも、『米機動部隊、朝鮮半島に急行』などという号外よりははるかにマシです。

そして北朝鮮に対しては『戦の一字だ!』とばかりに騒ぎ立てる日本の国家主義者たちよりも、トランプの方がはるかにマシだという事でしょうか。

いずれにせよ、事態は『平和的解決』に向け動き出すことがはっきりしました。

朝鮮半島の人びとにとっても、日本列島の人びとにとっても、『戦の一字』が遠のいたことは祝うべき事です。

 

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