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【 決別、そして廃絶へ!原子力発電、『エネルギー改革』・ドイツの再生可能エネルギー革命 】〈 前篇 〉

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所要時間 約 8分

原子力発電の廃棄と再生可能エネルギー拡大に向け、走り出したドイツの巨大電力会社
今や「家庭で電気を作るお手伝い」、変身するドイツの電力ビジネス・モデル

ティム・スメドレー / ザ・ガーディアン(英国)5月15日

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ドイツは原子力発電のプラグを引き抜き、再生可能エネルギーへと方向転換することを誓いました。
世界はこの決断に注目すべきです。

ドイツは国内の電力需要の20%を原子力発電所によって賄っていましたが、福島第一原発の事故のわずか3カ月後の2011年7月、10年以内に全原子力発電を廃止することを決定しました。
世界中の関係者の目にドイツのこの対応は、控えめに表現しても極めて迅速、まるで反射的な行動のように映りました。

ドイツは原子力発電の廃止だけでなく、再生可能エネルギーへの切り替えを大々的に進めることにより、温室効果ガスの削減について2020年までに40%、2050年までに80%を削減する目標を明確にしました。
さらには省エネ政策も大胆に実施し、エネルギー消費量を2020年までに20%、2050年までに50%削減するとしているのです。

この取り組みはドイツ語で『エネルギーヴェンデ』、つまり『エネルギー改革』と表現しています。
そして物事について控えめな表現をすることで知られるアンゲラ・メルケル首相も、この取り組みを『ヘラクレスの課題』、つまりは達成までに非常に骨の折れる仕事になるだろうと語っています。

マルティン・ルターの『宗教改革』

マルティン・ルターの『宗教改革』


▽『エネルギー改革』国民の理解を得ること

しかし、ヴッペルタール研究所副所長で、ドイツ政府とエネルギー産業界双方の顧問を務めるマンフレッド・フィシェディック博士は、『エネルギー改革』の概念は2011年、福島第一原発の事故の後、突然天から降ってきたわけではないと語りました。

「『エネルギー改革』に関わる議論は、ドイツではすでに1980年代に始まっていました。」
「ドイツ国内には、長い間再生可能エネルギーや代替えエネルギーによる改革に関する議論が続けられてきた伝統があるのです。そして政府の迅速な決断を可能にさせるだけの科学技術力も、優れた研究の蓄積などの有用な資産もありました。そうした背景が無ければ、福島第一原発の事故発生後わずか3カ月でこれだけの決断を行うことは不可能だったでしょう。」

長期に渡る議論の蓄積もまたそうした資産のひとつです。
しかし議論だけで物事は進みません。

「私たちは新たな送電網を整備しなければなりません。バイオマス発電設備を住宅地のそばに整備していく必要があります。新たな風力発電装置を建設して行かなければなりません。そして最も大切なことはこうした大々的な公共投資について、国民の合意形成を行う必要があるという事なのです。」

ドイツの田園
ドイツの田園地帯を横切って、数千キロの長大な送電網を整備していくことは、早くも議論の的になっています。
そして平均的な家庭において、この2年間で再可能エネルギー事業に関連する税の負担額は47%増加しました。
そして風力発電については、送電方法と断続的にならざるを得ない電気をどう貯めていくかという点も問題になっています。

しかしさまざま問題はあるとしても、
「すでに90%の新しい技術がすでに利用可能になりました。我が国取り組みはもっと長期的な視点で評価されるべきものです。2030年以降も、現在の取り組みの成果は表れ続けるわけですから。」
「現段階で評価すべきものがあるとすれば、それは送電網をどう整備するかという問題です。」
「それはどのようにして新たな送電網を整備するのか、その建設について一般国民の合意をどう取り付けていくのかという問題です。」

▽ 生産者=消費者というモデル

再生可能エネルギーというと一般的メディアなどの関心はどうしても大規模な風力発電設備に向きがちです。実際、フィシェディック博士も2050年段階では再生可能エネルギーの内、風力発電が80%を占めることになると予測しています。
ドイツの『エネルギー改革』の特徴的な点は、最少規模規模発電、最少規模オーナー制度をどのようにして実現していくのか、という点にあります。

発電設備の所有と運営が個人レベルで広がれば、再生可能エネルギーの普及拡大への国民の合意の取り付けはより容易なものになる、フィシェディック博士がこう語りました。
『プロシューマー・モデル』として世界的に有名になりましたが、実際ドイツでは現在再生可能エネルギーの50%以上が、利用者自身である農民たちによって所有されているのです。

これに対し、ドイツ国内に4社ある巨大電力企業の持ち分は6.5%に過ぎません(2010年度実績)。

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「ドイツの農民たちの風力発電設備は太陽光発電装置も組み合わされた、きわめて小規模なものですが、きわめて有効です。生産者=消費者というモデルは非常に重要な概念だと思います。」

「この変革を外から観察するだけでは、様々な問題点、あるいは欠点が目につくだけかもしれません。しかし、当事者にとってはきわめて意義深い変革なのです。」

こうした状況に、ドイツ国内のいずれの電力会社も自らの役割について、再検討せざるを得ない状況に追い込まれています。

フィシェディック博士によれば、ドイツの大手電力会社は従来のビジネス・モデルに漫然と寄りかかることをやめ、今やバイオマス発電、風力発電、そして大規模太陽光発電システムへの投資を拡大させています。

「さらにはプロシューマーに対し、一種のサービスプロバイダー事業を展開すべく、検討を行っている電力企業もあります。」

例えば電力大手のRWE社は、一般家庭向けに屋根に太陽光発電装置を取り付け、これを家庭用の小型蓄電装置と組み合わせて効率的な電気の利用を可能にするシステムを提供するビジネスを始めました。
彼らはこの2年、事業構想とビジネスモデルの大幅な見直しと変更に取り組んできたのです。
〈後編に続く〉

http://www.guardian.co.uk/sustainable-business/nuclear-power-germany-renewable-energy?INTCMP=SRCH
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ドイツでは困難ではあっても、真っ当な努力をして必要な技術開発を行い、安全で地球環境に対する負荷も少ない『エネルギー改革』の実現に取り組んでいます。

その改革のきっかけを作った、否、作ってしまった福島第一原発の事故を起こした当事国日本は?
自分たちの『カバン』を膨らませてくる原子力ムラ、そして自分たちが依って立つ電力ムラの崩壊を食い止めようと暗躍する政治屋たち。
そして大事故を起こし、世界唯一の被爆国でもある日本の首相は、そっちの方に加担するという現実。

ドイツはいずれ困難な課題を克服し、あらゆる意味でクリーンなエネルギーによる改革を実現させることでしょう。
そうなれば世界中の心ある人々から、賞賛されることになります。

その時日本はどうなっていますか?

 

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