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人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所〈第2回〉

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所要時間 約 8分

福島第一原発では放射線防護服にすら、『差別』がある

ロジャー・ウィザースプーン / エナジー・マターズ 3月13日

02廃炉作業
日本では大学に進学するにしても、国が行う入試センター試験を始め大学入学試験の難易度は高く、レベルの高い大学に進学するのはそれなりの教育機会を与えられた子供たちに限られます。
そのため、教育によって身分格差を克服することは容易なことではありません。

「スラム街で暮らす人々は、こうした競争を勝ち抜くだけの教育を受ける機会を与えられてはいません。」
田中氏がこう語りました。
「地元の学校は、彼らに高等教育を受ける機会を与えるようなしくみにはなっていないのです。その代りに就職の援護に力を入れています。そのため、大学の入試試験に合格するのは難しいのです。」

「そこには最良の教師、あるいは彼らの人生設計を確かなものにするための教師はいません。そのために彼らは彼らは日雇い労働者として働かざるを得ないのです。」

そのような事情から部落民として身分を固定されてしまった人々にとって、原子力産業での仕事は魅力的に映りました。

この仕事は福島第一原発の6基を含め、日本に54基あった原子炉に関連するものでした。
全ての原子炉は定期点検と燃料補給のため、年一回定期的に停止しなければなりません。
通常この作業は、一か所の原子力発電所内で連続して行われ、最長で2カ月間続くことになります。
たとえ複雑な構造を持つ原子力発電所の専門知識を持った職員になれなくとも、部落民の人々は臨時作業員としてこうした作業を渡り歩くことにより、一年間途切れることなく働くことが可能になります。

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しかし原子力発電所そのものではなく、下請け企業によって雇用され、原子力発電所を渡り歩く彼らには、正規職員に与えられる補償も、各種の福利厚生もありません。
その雇用状態はアメリカ合衆国の南部で何十年も続いた、黒人の小作人労働に非常に似ています。

しかも彼らは危険な重労働を子なことによって受け取った報酬の中から、下請け会社によって『諸費用』を差し引かれてしまう、北島氏がこう指摘しました。

「彼らは最も危険な作業を引き受けるために、原子力発電所を渡り歩くのです。」
原発の臨時作業員について調査・研究を続けてきた田中教授がこう語りました。
「彼らの健康を守るためには何をしなければならないか、それを判断するのは非常に難しいことです。彼らは正規の職員ではないため、継続して健康状態を記録・管理されてはいないからです。」

そして2011年、福島第一原発の事故が発生し、4基の原子炉が破壊されました。
3基の原子炉では100トンに上る核燃料がメルトダウンする事態が発生し、4号機では原子炉から取り出された核燃料が、原子炉の上にある使用済み核燃料プール内にそっくり置かれたままになっています。
3号機と4号機では換気システムを共用していたため、3号機のメルトダウンで大量の水素が生成されると、その影響はすぐに4号機にも及びました。
福島第一原発の事故では3号機の爆発により、3号機、4号機両方の原子炉建屋が吹き飛ばされてしまいました。
ある意味で、これは予測できない事態でした。

4号機プール視察
屋根も天井も壁も吹き飛ばされたため、日本政府は4号機使用済み核燃料プールについては放水によって水を満たすことにしました。
もし原子炉建屋が無傷まま残っていたら、この処置は不可能であり、水が無くなった使用済み核燃料プール内では、高温に達した核燃料が大火災を起こし、莫大な量の放射性物質を放出してしまっていたでしょう。

北島氏は2012年に行われた大規模な反原発集会を組織した一人ですが、アメリカ国内で4つの環境保護団体がニューヨークのブキャナンのインディアン・ポイント原子力発電所前で3月に開催した集会に、来賓として招かれました。
彼は、ラジオ番組の司会者で映画制作者でもあるゲイリー・ヌル、反原発について講義を行っている大学講師のハービヴェイ・ワッサーマン、ニューヨークにあるグラフト平和記念館の仏教徒であるジュン・サン・ヤスダさん(彼女はニュージャージー州のオイスター・クリーク原子力発電所からヴァーモント・ヤンキー原子力発電所までの200マイルの反原発デモを組織しました)とともに、来賓として招かれたのです。

北島氏は、日給制の臨時作業員と言えど、8,000円の日当のために放射能被ばくの危険がある福島第一原発に行く必要は無いと語りました。
「私は当初、反原発デモの参加者の一人に過ぎませんでした。」
「しかし今ではもっと深く、この問題に関わるようになりました。福島第一原発事故が起き、実際に現場で危険を冒して働いている人々の実態を知ることなく、安全な場所にいて福島第一原発の危険性について語ることは、道義的に問題があるのではないかと考えるようになったのです。」

彼がやったことは福島第一原発の現場の下請け会社と契約し、自ら作業員の被ばく線量を計測する仕事に就くことでした。
彼によれば福島第一原発の現場で働く作業員たちは、3層構造の重い放射線防護服を身に着け、ゴーグル、マスク、手袋を着用してその周囲をテープを使っていく層にも目張りし、放射能に汚染された空気が入り込まないようにします。

IAEA調査
「福島第一原発の事故収束・廃炉作業の現場には、何種類かの異なる防護服があります。」
北島氏が説明してくれました。

「このうちの数種の防護服は、鉛を使った防御性の高いもので、IAEAの技術者や東京電力の職員が使います。緊急作業員はこのスーツは使いません。彼らが着用する防護服は、これ程防御性の高いものでは無いのです。」

〈つづく〉

Japan’s “Throwaway People” And the Fallout from Fukushima
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これまで2年半、福島第一原発の事故、日本の原子力発電に関する世界中の報道を翻訳し続けて来ました。
自分で数えたことは無いのですが、その数は相当数に上りました。

その中に、訳すほどに涙がこぼれる記事も数多くありました。
数限りない『人間の悲劇』が作り出されている、その事についてです。

この記事もただその場所に生まれたというだけで差別されるという理不尽な目に遭い、教育の機会も制限された結果、危険な場所で臨時雇いの労働者として働かざるを得ない状況に追い込まれ、その挙句給料をピンハネされる人々の姿が伝えられています。

この問題は、世界の報道では事故発生当初から問題にされていました。
しかし日本の報道大手も日本の政治も、まず取り上げることはありませんでした。

美しい日本を取り戻す、そう言うなら、まずこの問題を何も隠さず、何もごまかさずに日本国民、全世界の人々の前に明らかにし、人間の問題としてきちんと解決してください。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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