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人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所〈第3回〉

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所要時間 約 6分

福島第一原発は緊急作業員に未来をあきらめさせ、危険な状況に追い込み、何の補償も受けられない仕組みを作り出してしまった

 

ロジャー・ウィザースプーン / エナジー・マターズ 2012年3月13日

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北島氏が福島第一原発の内部の様子について、以下のように説明してくれました。

作業員たちは区切られた、金属製のかまぼこ型の作業員用待機施設の中に入っていきます。
まず最初の部屋で彼らは一番外側の防護服を脱ぎ、廃棄します。
「私たちはその部屋では彼らに接触しないようにします。」
「彼らは自分自身で、一番外側の装備を捨てる作業を繰り返すのです。」

次に入った部屋では靴を脱ぎ、防護服の2層目を脱ぎ、フェイスマスクを外し、廃棄処分にします。
それぞれの部屋で放射線量が測定されますが、いずれも空気中の放射性物質が表面に付着しただけの事です。
鉛が入ってはいない防護服を透過し、作業員の体内に入り込んだガンマ線の測定は行われません。

「それから彼らは3番目の部屋に入り、私たちが彼ら自身の体の放射線量を測定するのです。もし測定された値が高い場合は、彼らは別の部屋に行って新しいフェイスマスクとフィルターを渡されます。シャワーを使って体についた放射性物質を洗い流すことは認められていません。この地区の水が放射能に汚染されているためです。彼らはアルコールのついたタオルを使って自分の体をこすり、放射性物質をふき取るのです。」

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「そして一人ずつ東京電力の職員の聞き取り調査を受けるのです。彼らが汚染されているかどうか、どこの現場で、どのような作業をどのぐらい行ってきたか、質問されるのです。」
「東京電力の職員が現場に出て、放射能に汚染されることはありません。東京電力の職員が行うのは、現場に出て汚染されてしまった作業員に質問をし、記録を取ることだけなのです。」

そしてフルタイムで働く原子力産業労働者のため、法律が定める年間被ばく線量の限度まで被ばくした作業員はその場で解雇されます。
彼らは少なくともこの後4年間、原子力産業で働くことはできなくなります。

日本には健康保険制度がありますが、特別な治療などを要する場合には貧しい人には負担できない高額の免責条項があり、高い保険料を支払わなければ、受けられる治療も最低限のものにならざるを得ません。
田中氏がこう語りました。

「低線量被ばくエリアで働く作業員たちは、ほぼ1年間で被ばく線量の限度に達してしまいます。」
北島氏が語りました。
「放射線量の高い現場で働く作業員に至っては、2カ月で限度量に達してしまいます。いったん限界に達したら、4年間は原子力関連施設の現場に戻ることはできません。その間、彼らは報酬を受け取ることが出来ないだけでなく、どのような補償も受けられないのです。」

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「東京電力は、緊急作業員は東京電力の職員では無く、したがって補償責任も無いと語っています。
そして日本政府はこの問題に関わろうとはしません。」

労働者自身に、直接抗議をする選択肢はありません。

「私は彼らがもっと制度化された補償が受けられるよう、直接彼らと話をしました。」
「しかし彼ら自身がそれを望まないのです。彼らは仕事を失ってしまう事を、何よりも恐れているのです。もし作業員たちが、待遇改善のための労働争議を起こせば、下請け企業ごとクビになってしまいます。そして別の下請け会社が別の部落民たちを連れてくるだけなのです。」

「彼らは日雇い労働者であり、常に金銭的に追い詰められた状態にあります。彼らに選択の余地は無いのです。これら緊急作業員たちは5年以内に何らかの放射線による疾病を発症するか、放射線障害を起こすことが予想されています。しかし彼らはすでに国の援護により治療を受けたり、補償を受けることをあきらめてしまっているのです。」

「彼らを危険な状況に追い込み、何の補償も受けられない仕組みを作り出してしまったことに、私は心の底からの怒りを禁じ得ません。」

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「時に私は、日に6回、放射線防護服を着替えなければならないことがありました。一度捨てられた防護服がリサイクルされることは無く、ただ捨てられるだけです。福島第一原発では人間がそのようにして、使い捨てられているのです。」

〈 完 〉

Japan’s “Throwaway People” And the Fallout from Fukushima
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今回の記事が伝える「人間が人間を使い捨てる」という事実について、「そんなことも起きているのか…嘆かわしい」、そう思うだけでいいのでしょうか?
どうも文部科学省が組上げたプログラムで教育を受けたせいか、あるいは日本の「一市民にできることなど、たかが知れている」という報道にならされてしまったせいか、私たち日本人はこれほどの冷酷無比の仕打ちに対しても、アメリカやヨーロッパの人々と比べ、憤ることが足りないように思います。

アメリカではウォール街を占拠せよ!運動の時、無抵抗の学生に唐辛子スプレーをかけた警官に対し、全米のメディアが激高しました。
そして今回、福島第一原発の作業員の実態について、ここまで赤裸々に伝えたのもアメリカのルポライターでした。

日本の大手メディアは何のために、毎日あれだけの本数のニュースを作り、全国津々浦々に配信しているのでしょうか?

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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