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【日本の原子力発電・段階的廃止の政策の行方】〈前編〉[ニューヨーク・タイムズ]

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所要時間 約 9分

一度は国民に約束した政策、早くも後退に後退を重ねる - 2070年になっても、日本の原子力発電は止まらない?

ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 9月14日


9月14日金曜日、日本政府は2040年までに(2030年代に)原子力発電の段階的な廃止を目指す、と公表しました。
これまで日本の電力需要の大半を原子力発電に依存する未来を描いてきた日本にとって、これは大きな政策転換になります。
しかし世界史上チェルノブイリに次ぐ、最悪の原発事故となった福島第一原発の事故発生の際、政府が国民に対し約束した内容と比べ、かなり後退した内容のものと言うことができます。
作成者自身が名付けた「革新的エネルギーおよび環境戦略」は、その公表が長い間待たれていましたが、しかし内容的には原発の廃止までの期間を少なくとも10年間延長し、さらには新たにガイドラインを設定することにより、既に数十年稼働を続けてきた原発に、稼働の継続を認めるともとれる条項が含まれています。

政府はこれまで、すべての原子力発電所を閉鎖する案から、これまでに比べれば小規模ではあっても、この国の電力需要を賄う主要な手段として稼働を継続させる案まで、いくつかの選択肢を検討してきました。
福島第一原発の事故が発生するまで日本は、電力需要の30%を原子力発電によって賄い、2030年にはその依存率を50%にまで引き上げるエネルギー政策を採っていました。


今回の決定の公表は、原子力発電への懸念を深める脱原発派に対し、原子力発電を止めたら日本の将来が危機的状況に陥ると信じ政治的圧力を強める推進派、その両方のせめぎ合いが数カ月続いた後に行われました。
数多くの政治家、そして企業経営者はエネルギー資源をほとんど持たない日本で原子力発電を止めれば、必然的に発電コストが上昇し、景気不振が悪化する、と主張しています。
しかし多くの国民が、経済的に大きな変化が起きる可能性を承知で、20年以内に原子力発電を段階的に廃止することを望んでいる、そう表明しました。
そして拡大を続けた脱原発運動は、一日も早い原子力発電の廃止を求めていました。


この国の方向性を決める重要な決定であるにもかかわらず、公表されたエネルギー政策には大きな変更を加えられる可能性があります。
実施までに長い準備期間がある上、現在の野田政権が国民に極めて不人気なために、次回の国政選挙では与党民主党が大敗し、政権を失う可能性があるからです。
民主党は今回の発表により政治的退勢の挽回を図りましたが、脱原発を願う一般国民、政治的に大きな影響力を持つ事業家集団、いずれの支持も取り付けることはできないだろう、複数のアナリストがそう分析しています。

原子力発電の段階的廃止を支持する人々は、発表された政策があまりに漠然としている上、何もかも先延ばしにされていると一蹴しました。
「これは言葉と数字を使ったごまかしに過ぎません。」
東京に本部を置く研究機関、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏がこう指摘しました。
「ゼロは政治的な象徴にされたのかもしれませんが、実質的にほとんど意味がありません。」

そして政治的に強大な影響力を持つ経団連の米倉会長は今週、日本が原発依存を脱却することは『非現実的で実現不可能』な選択であるとの立場を明確にしました。

長期のエネルギー政策を策定する件に関しては、膨大な数の日本国内の原子炉を再稼働させるため、国民の同意を取り付けたいという政府の思惑が見え隠れしています。これらの原子炉は充分な安全対策と実効性のある原子力規制が実現されるまで、稼働すべきではないとする反対意見の前に、福島第一原発の事故の後稼働を停止しています。

日本政府は原子力安全・保安院を廃止し、新たに原子力規制委員会を立ち上げることにより、失った信頼を再び取り戻そうとしました。
しかしこのプランも、新たな原子力発電所の運営基準を定め、新たな機関の信頼を確立すべく指導力を発揮しなければならない原子力規制委員会の委員長に、田中俊一氏を任命したことに批判が集中し、かえって国民の不信をかきたてることになりました。

田中氏は、より厳しい安全基準を厳格に適用してもらいたいとする立場の人々から見れば、旧体制の下にあった委員会で、日本の原子力産業界の立場を強めるために働いてきた人物です。
せっかく新たに原子力規制委員会が設けられても、田中氏が委員長になったのでは、旧原子力安全・保安院と何も変わらないい加減な規制しか行わないのではないか、というのが大方の人々の懸念になっています。
〈つづく〉



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いったい誰が『いったんは原発ゼロの方針を公にして、その後国民に気づかれないようにズルズル後退させ、結局元の木阿弥にする』というシナリオを考えたのでしょうか?
そして『2030年まで』をいつの間にか『2030年代(つまりは2040年まで)』と言い換えることにより、デッドリミットを10年も先延ばしにしてしまっていました。
姑息、卑劣、卑怯…
これが『日本の政治手法』だというのなら、まさに、まさに何をかいわんや、です。

しかし専門の政治家が国家の大本を決めていく、それが近代国家である以上、姑息、卑劣、卑怯な『政治手法』が身に沁み込んでいる政治家が去らない限り、日本は変わりようがない、というのがこの記事を読んでの感想でした。
そしてこれを日本の政治として認めてしまった瞬間に、私たち日本人は世界中から尊敬されない民族になってしまいます。
いまそれが、尖閣の海で、現実になっているのではありませんか?

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【本当にこれが、最後の旅】

アメリカNBCニュース 9月20日


いま、テキサス州ヒューストンに一機のスペースシャトルが駐機しています。
カリフォルニアに新たに建設される科学博物館に向けての旅の途中、19日水曜日一泊の予定でスペースシャトル・エンデバーがヒューストンの飛行場に降り立ったのです。
引退したスペースシャトル・エンデバーはロスアンジェルスにオープンするカリフォルニア科学博物館で展示されるべく、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターからボーイング747ジャンボジェット機の背に乗り、3日間の旅の途中、ヒューストンのエリントン・フィールドに着陸したのです。

エンデバーは各地で人々に別れを告げながら、21日金曜日、ロスアンジェルスに到着する予定です。
これまでスペースシャトルがアメリカ国内の博物館に収容されましたが、今回のエンデバーの旅こそが、すべての終わりを告げることになるのです。


ニューオリンズ上空



Farewell......

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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