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【日本の原子力発電・段階的廃止の政策の行方】〈後篇〉[ニューヨーク・タイムズ]

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所要時間 約 8分

一度は国民に約束した政策、早くも後退に後退を重ねる - 2070年になっても、日本の原子力発電は止まらない?

ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 9月14日


古川元久内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策担当)は、原子炉を再稼働させるという日本政府の方針に変更は無い、と語りました。
そして新たな原子炉の建設計画は行わないことを規定はするものの、すでに着工済みの7基の原子炉建設については、これを再開させる可能性を残している、と付け加えました。
そのための最終的な判断は、田中氏が率いる原子力規制委員会に委ねられることになります。

さらに古川大臣は、原子炉の寿命を40年と規定はするものの、例外が認められるようにすると語りました。
2040年までの原子炉全廃については、どのような変更もあり得ると語ったのです。

この発表があった記者会見場では記者たちが色めき立ち、あまりにあいまいな政府の政策に憤慨した一部の記者が、政府の決定にどれほどの拘束力があるのか、と詰め寄る場面もありました。
日本の新聞社の一記者が、建設が再開された原子炉の稼働が許可された上、40年寿命の例外規定が適用された場合、
「日本では2070年になっても、原子炉が稼働している可能性があるのではないか?!」
と指摘しました。

これに対し、古川大臣はその可能性を否定しなかったのです。


新たなエネルギー政策は、日本の脱原発の方向性を強調しました。

日本の資源エネルギー庁の試算によれば、もし現在停止中の原子炉を永久に廃炉にすると、日本の電力会社が被る損害額は最低でも約4,500億円に達し、少なくとも4社が債務超過に陥ることになります。
日本の電力会社は営業エリアを厳格に線引きされ、ほとんど自由競争というものが存在しません。日本は電力の供給をこれらの電力会社に頼り切っているため、電力会社の破たんを認めるわけにはいきません。

2040年のタイムリミットを設定することにより、、原子力発電所を運営する電力会社の利益を守るため、ほとんどの原子炉に40年の寿命を超えた運転が認められる可能性があります。
日本の電力会社は原子力発電所の停止により、代替資源としすでに莫大な量の石油・天然ガスの輸入代金を支払っており、原子炉の再稼働さえ認められれば、こうした負担が一気に軽減されることになるのです。

福島第一原発の事故が起きてから2度目の夏、2基の原子炉だけが稼働している状況の下、日本の一部の地方ではうだるように暑い夏に15%の節電を求められました。
電力会社は石油、あるいはガスを燃料として用いる火力発電所の出力を上げ、天然ガスの輸入のために緊急態勢を敷きました。


当初は広範囲の停電が発生することが懸念されましたが、停電が起きたことは一度も無く、本質的に日本は原子力発電が無くともやっていけるという主張を裏書きする結果となりました。

しかし経団連をはじめとする日本の経営者団体は、電気料金の値上がりが日本の経済活動を麻痺させていると主張しています。
日本最大の電力会社であり、福島第一原発の運営者である東京電力は、家庭電気料金(8%)事業者向け電気料金(15%)両方の値上げを行いました。

大企業の経営者たちは、このままの状態が続くのなら、企業の活動拠点を海外に移転させる他は無いと警告しました。
そして資源輸入の増大により日本の貿易収支がこの30年で初めて赤字に転落した上、政情不安定な中東やロシア産原油・天然ガスへの依存を高める結果になっているとしています。

いずれの選択肢を採るにしても、日本は温暖化対策として、再生可能エネルギーなどクリーン・エネルギーへの投資を増大させる態勢をとっています。

政府が掲げた新たなエネルギー政策は、どっちつかずのため、毎週金曜日首相官邸前で抗議の声を挙げている人々には、ほとんど顧みられることはありませんでした。


多くの人々は日本政府が2030年「までに」、原子力発電を段階的に廃止するものと期待していました。しかし政府は表現を変えることでそれを少なくとも10年先延ばし、そのことに気づいた人々が怒りを露わにしています。
「私たちが原子力発電に対して感じている恐怖を、日本政府は無視しています。」
金曜日の抗議行動に参加した、東京に本社がある印刷会社に勤める富安くみさんがこう語りました。
「長い間原子力発電に固執し続けてきたために、日本政府は電力会社や大企業の利益を、私たち国民の存在に優先させるようになってしまったのです。」

取材協力 : メリッサ・エディー(ベルリン)


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『日本政府は原子力安全・保安院を廃止し、新たに原子力規制委員会を立ち上げることにより、失った信頼を再び取り戻そうとしました。』
と言うくだり、ああここだけは違うなあ、と思いました。
『失った信頼』という事であれば、私たちは日本の原子力行政を当初は信頼していたことになりますが、『何も知らされていなかった』という方が実感として真実に近いように思います。
私たち国民の大多数が、日本の原子力発電の実態について何もしないまま、良くない言い方をすれば太平楽を決め込んでいたところ、3.11によって、初めてその実態に『気づいた』ように思います。
地震が多発する国土の、いつ津波が襲うかわからない場所に、多数の原子力発電所が建設されている事実を初めて自分たちの問題として認識できた。
そして声を挙げ始めたのです。

そして現在の日本政府はその声を、信じられない程卑劣な策を弄して消し去ろうとしています。
これ程陋劣な政治工作というのは、おそらくはどの『先進国』も決してやらないと思います。

「日本は経済力は世界第3位かもしれんが、政治は2流以下だ。」
東西南北、前後左右からそんな声が聞こえるような気がします。

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【倒れてしまった預言者】

アメリカNBCニュース 9月20日


25年間人々を見守り続けたイエス・キリストの像が倒れてしまいました。
彼はニュージャージー州にあるセント・ジョンズ・ハイスクールの屋上に設置されていましたが、今回の嵐による強風のため倒れてしまったのです。
「聖人がこんな角度で立っているのを見たことがありません。」
ニューアーク都市建設局のジョン・ブオナッノがこう語りました。
「危なっかしくて、とても見ていられませんよ。」

ニューアークの大司教管区のスポークスマンが、このようにコメントしました。
「倒れた像は、数年前に倒れた初代の像の代わりに制作されたものでした。初代の像もまた、強風によって倒れてしまったのです。」



 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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