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【 日本で台頭する危険な国家主義 】ニューヨークタイムズ社説

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所要時間 約 9分

就任以来、『対外危機』を作り上げ、煽り続けた安倍政権
靖国参拝は国民に対する宣伝工作が、うまくいっているかどうかを確認するための試金石
「平和と民主主義の大切な価値」を守り続けるため、1945年に平和憲法を制定した人々に対する「深い感謝の念」を表明された天皇陛下

論説委員会 / ニューヨークタイムズ 12月27日

安倍靖国NY
権力の座に返り咲いて1年となる12月26日、安倍晋三首相が、日本の戦没者を祀る神社であり、第二次世界大戦中の戦犯を合祀していることで論争の的となっている神社靖国を参拝しました。

中国と韓国は直ちにこの参拝を厳しく批判、アメリカ合衆国もこれに同調しました。

諸外国が日本の侵略主義、そして植民地支配の象徴とみなす靖国神社への安倍首相の参拝は、すでに緊張関係にあった対中国、対韓国との外交関係を一層悪化させることになりました。
アメリカ合衆国大使館は、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。」との声明を公式ウェブサイトに掲載しました。

問題は安倍首相がなぜ今、靖国を訪問することを決心したかという点にあります。
前回日本の首相が靖国神社を参拝してから7年が経ちましたが、中国と韓国がともにその存在自体を快く思わない神社に、参拝すれば中韓両国との外交関係に必ず悪影響を及ぼすと解っていながら、なぜ参拝を行ったのでしょうか?

尖閣・日中艦船
中国、そして韓国と日本の外交関係は、2000年代中頃より現在の方が尚悪くなっています。

安倍氏が初めて首相に就任したのは2006-7の間でしたが、2012年2度目の首相になった時から、中国と韓国の指導者は安倍首相との会見を拒否し続けてきました。

ひとつは東シナ海に浮かぶ尖閣諸島をめぐる領土問題、もうひとつは第二次世界大戦中、日本軍兵士の性的奴隷とされた韓国の従軍慰安婦の問題のためです。
逆説的に、中国、韓国がこうした態度を明確にして圧力をかけているからこそ、安倍首相が靖国参拝に踏み切ったという事が言えます。

尖閣諸島問題について中国側が徹底して対決姿勢をとったことは、日本国民に中国の軍事的脅威について信じ込ませるために、日本政府にとっては極めて好都合なことでした。

安倍首相の目標到達点の一つは、どこで領土紛争が発生しても直ちに軍事力を行使できるように日本の軍備の形を変えてしまうことです。
そのために安倍首相はこの一年間中国側が日本に送り続けた様々なサインを無視し続けましたが、中国の『強硬姿勢』を内外にアピールし続けることで、その事実を隠すことが出来たのです。

安倍靖国
靖国参拝は、そうした国民に対する宣伝工作がうまくいっているかどうかを確認するための、作業の一部だったという事が言えます。

日本が従軍慰安婦問題に真摯に向き合おうとしない態度に対する韓国側の厳しい批判が延々と続いている事、そしてパク・クネ大統領が安倍首相との会談を拒否し続けている態度は、日本の一般国民に対し、韓国に対する不信感を植えつける事になりました。
それは世論調査の結果、日本人回答者の約半数が、韓国もまた日本に対する「軍事的脅威」であるとする結果に表れています。
日本人有権者のそうした意識は、安倍首相に中国政府や韓国政府の反応にとらわれる事無く、思い通りに振る舞う自由を与える事になりました。

日本の主要な日刊新聞である毎日新聞、朝日新聞、読売新聞の3紙は、安倍首相の就任以来、靖国参拝には否定的な論調を続けてきました。
もっと重要な問題、それは安倍首相やその取り巻きの国家主義者にとって何より大切なはずの存在である今上天皇が、前代の昭和天皇同様、靖国神社参拝を拒否している事です。

安倍首相が最終的に目指すもの、それは現在の平和憲法を書き換える事です。
この憲法は第二次世界大戦後のアメリカ軍による占領期間に交付されたもので、国家の交戦権を禁じています。
そして天皇は憲法の定めにより国政に参加する権限は持っていませんが、今上天皇もまた日本が戦争する事を認めてはいないのです。

日米艦船
安倍首相が靖国神社参拝を行う数日前、今上天皇は80歳の誕生日を祝う席上、「平和と民主主義の大切な価値」を守り続けるため、1945年に平和憲法を制定した人々に対する「深い感謝の念」を表明されたのです。

このような状況を考えれば、中国と韓国は歴史の解釈の問題について、日本国内に賛同者を見つける事は可能です。
中国も韓国も安倍首相と会談する機会を設け、正面から立ち向かうべきなのです。
これ以上会談を拒否し続ければ、安倍首相がさらに思い通りの政策を実現するための口実を与えることになってしまいます。

日本の軍事的な冒険は、アメリカの支持が無ければ可能ではありません。
アメリカ政府は安倍首相のやり方が、北東アジア地区にどんな恩恵も与えない事をはっきりとさせる必要があります。

アジアの建設的な未来は、国家間の信頼関係を築いていく事の中にこそあります。
安倍首相の行動は、その信頼と未来とを次々と破壊していく行為に他ならないのです。


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安倍首相の今回の靖国神社参拝については、国際メディアに湧くように記事がアップされています。
これを見てはせっせと翻訳をしない分けには行きません。
今年は一年内に父母を喪った年でもあり、年末を迎え少し翻訳のペースも落とそうかと考えていた時だけに少々困惑しています。

しかしこのニューヨークタイムズの社説は秀逸でした。
国民に対する宣伝工作、意識への刷り込み、もっといえば洗脳がうまくいっているかどうか、それを確認するために安倍首相は靖国参拝を『強行した』とは…

そして大切な事があります。
尖閣諸島を巡る問題について、12月3日のエコノミストは『非』は中国にあり、『理』は日本側にあるという論調でした( http://kobajun.biz/?p=15555 )。
ところが今日ご紹介したニューヨークタイムズの記事では、それが逆転してしまいました。
『非』は日本にあるのです。

このままこの首相についていったのでは、私たち日本人は世界の中で孤立するばかりです。
嫌われ、疎まれるばかりです。

特定秘密保護法を制定し、原発を次々と再稼働させ、ひたすら軍備を拡張する。
これが私たち日本人の願いなのでしょうか?

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【 読者が選んだ2013年のベストショット 】《第1回》

アメリカNBCニュース 12月26日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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森林火災の火が自宅近くまで迫り、埠頭の下に避難した家族。この後全員無事救助された。
オーストラリア、タスマニア島ダナレー、1月4日。(写真上)

アフリカ、マリの内戦に介入したフランス軍兵士。ガイコツのマスクを着用して洗車の脇に立つこの写真は、危うく国際問題化しかけた。1月20日。(写真下・以下同じ)
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極寒の中発生した大火災の際、消火活動の放水を浴び凍結したトラック。1月26日。
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ポルトガルのナザレでサーファーのギャレット・マクナマラが世界最大の波乗り(推定30メートル)に成功した瞬間。1月28日。
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ダマスカス近郊で、反乱軍の兵士が政府軍戦車の砲撃を受けた瞬間。1月30日。
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サンフランシスコ49ナーズ対ボルティモア・レイヴンズとのスーパーボールの試合中、停電にもかかわらずパフォーマンスを続けるサンフランシスコ49ナーズのチアリーダーたち。2月3日。
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メイン州ポートランドのブリザード、この日だけで80cm近い積雪を記録した。2月9日。
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アメリカ、カリフォルニア州デイトナ国際スピードウェイで開催されたNASCARネイションワイドシリーズ自動車レースでのクラッシュの瞬間。2月23日。
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