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アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況 【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】〈第3回〉[フェアウィンズ]

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所要時間 約 9分

除染の対象をセシウムにばかり限定する日本政府
ストロンチウム-90による汚染については、日本政府は調査をしていない
除染しそこなった放射性物質は、そこに『固着』してしまう

アート・ケラー / フェアウィンズ 6月13日

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エンゲルハート氏は日本が行っている放射線量の測定と除染について、もう一つの問題点を指摘しました。
日本が行っている除染は、セシウム134と137にばかり集中しているというのです。

「確かにセシウムは汚染物質中、最も量が多いものです。そして放射線の中でも透過力の高いガンマ線を放出することで知られており、標準的な線量計で測定が可能です。」
「しかし環境中に放出された放射性物質の中で、セシウムだけが毒性を持っているわけではありません。検出が容易だからと言って、セシウムだけが問題だというのはおかしな話なのです。」
エンゲルハート氏はこの点を強調しました。

この問題に対する懸念を表明するのは、エンゲルハート氏だけではありません。

チームのメンバーであり、経験豊かな放射線保健物理学者であるウェイン・ショフィールドがこう語りました。
「私の考えでは、汚染が深刻な場所では高線量のセシウムの存在が確認できます。しかしこうした場所では、ストロンチウム-90、プルトニウム、コバルト、その他の汚染物質もまた、非常に危険な存在である可能性が高いのです。
ストロンチウム-90の半減期は約30年です。そして、ストロンチウム-90は『ベータ線崩壊物質』です。
放射線の中でベータ線は携行タイプの線量計での検出は非常に難しく、わずかな量の汚泥や落ち葉などによって簡単にさえぎられてしまうものなのです。」

検査
一般論として言えば、放射線の中でアルファ線やベータ線は、人間の体外に存在する場合はほとんど問題がありませんが、いったん体内に取り込まれてしまうと、非常に危険な存在になる可能性があります。
「ストロンチウムが体内に入ると、人間の体はそれをカルシウムとして認識します。そして人体で免疫を司る骨髄と隣り合わせるようにして、背骨の中に取り込んでしまうのです。そうなってしまうと、その後どのような悪影響が現れるか、予測がつかないことになってしまうのです。」

保健物理学者であるウェイン・ショフィールドは、他の汚染物質を考慮せず、検出と除染の対象をセシウムにのみ絞り込むことが誤りであるという指摘に同意しました。
「汚染がひどい地点の特定と除染を行う際、対象をセシウムに限定してしまうと、他の放射性物質による汚染を見逃してしまう可能性があります。」

2012年3月に日本の厚生労働省が公表した、食品に含まれる放射性物質に関するガイドライン( http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20130417-1.pdf )の中では、ストロンチウム-90については「半減期1年以上のすべての核種を考慮」するとして言及しています。
しかし脚注部分にある曖昧な表現を読むと、果たして日本政府は真剣にストロンチウム-90、プルトニウムと他の汚染物質の検出に取り組んでいるのか、それとも単に一般的に推定されるレベルを参照しているに過ぎないのか、疑問に思えてくることは確かです。

汚染02
「実際にその場所に存在するセシウム以外の放射性物質全てが、人体に影響を及ぼすわけですが、このガイドラインの数値はセシウムの値を基に『推定』されたものに過ぎません。」

こうした対応について、エンゲルハート氏は以下のように考えています。
「セシウム以外の放射性物質の存在については、彼らは適当に数値合わせをすることにした、私にはそう見えます。」
「現在の原子力産業では、ガンマ線の照射量によってベータ線の放射量を推定するという手法が用いられています。これによって正常に機能している原子炉内部で何が起きているかを把握できる、これは産業界の人間なら誰でも知っている事実です。」

「しかし事故となれば話は全く別なのです。環境中に放出されてしまったそれぞれの放射性物質が、互いにどのような作用を及ぼし合うか、それは未知の分野なのです。
環境中のアルファ線やベータ線の放射量を特定するためには、実地に測定する以外の方法は無いのです。」
「しかしその測定のためには、さらに多くの機材と人員を投入しなければなりません。」

ARSインターナショナルの放射線学研究サービスの副社長であるヴァージーン・マリガン氏は、ストロンチウム-90を検出することの難しさ、費用が高額になる点について説明してくれました。
「ストロンチウム-90の存在を特定するためには、14日~20日間、化学反応の結果を待たなければならないのです。そしてその費用は高額になります。」

汚染03
しかしその事と、日本の当局がセシウム以外の放射性物質の検出検査を行わないという事とは、また別の問題であるはずです。

検査をさらに難しくしているのが、水の存在です。
水はアルファ線、ベータ線、そしてガンマ線に対してもそれを遮る作用があります。
液体、あるいは水分を多く含む食品の放射線量を測定する場合、専用の非常に感度の高い機械、普段研究室に設置されているような精巧な機器で測定しないと、正しい検査結果が得られない可能性があります。

保健物理学者のウェイン・ショフィールド氏は、福島の汚染状況の推移を見ながら、ちょっと聞くとこう推論しました。
『事故発生直後はひどかった福島の汚染は、時間の経過とともにずいぶんと下がったものと考えられます。数値が下がった原因は雨、そして風の存在です。時間の経過とともに、80%の放射性物質が洗い流され、あるいは吹き飛ばされて行ったものと考えられます。』

事故の発生からちょうど一年後、ワン氏とそのチームが発見した『ホットスポット』のひとつ、それは道路にたまった雨水を集める側溝の上に置かれた、格子状の金属製のフタでした。
その放射線量は、アメリカ国内の原子力発電所で職員がその場所に行かないように制限を加えるかどうか、検討を始めなければならない値の5倍という値でした。検出されたのは、ガンマ線、そしてベータ線の双方です。

除染01
この極度に汚染された側溝のふたが意味するものは何でしょうか。
それは雨などによってその場所から洗い流された放射性物質は、その後消滅するのではなく、人間や動植物の生存権に残り続けるという事実です。

2010年、ドイツで捕獲された1,000匹以上のイノシシから、政府が定めた基準量を超える放射性物質が検出されました。原因となったのは1986年のチェルノブイリ原発事故です。

最も近いところでも、ドイツの国土からチェルノブイリまでは1,000キロ以上あるにもかかわらず…

エンゲルハート氏は、さらにこう説明しました。
「子細に観察すれば、これらの場所にあった放射性物質のうち、こびりついたり隙間に這い込んでいなかったものが雨で洗い流されたり、風で吹き飛ばされたり、あるいは除染で取り除かれ、現在までに80%程が取り除かれたというこことが解るでしょう。」
しかし残った20%の放射性物質については、状況は同じではありません。

「放射性物質、すなわち汚染物質は、彼らが時間の経過とともに付着していた物質に固着してしまっています。
かつて簡単に拭き取ることができた数種類の汚染物質、現在は化学的結合、または分子的結合によって、そこに固着してしまっているのです。こうなってしまうと、除染によってこれらの放射性物質を取り除くことはきわめて困難になります。」

〈 第4回につづく 〉

http://fairewinds.org/demystifying/cleanup-from-fukushima-daiichi-technological-disaster-or-crisis-in-governance

 

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