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【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第1回》

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所要時間 約 9分

特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
告発を受けても、実態解明に乗り出そうとしない労働基準監督署

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

jビレッジ内に作られた作業員宿舎の夜

jビレッジ内に作られた作業員宿舎の夜

林哲也さんは、チェルノブイリ以降最悪の原子力発電所事故の爆心地で仕事をするため、福島に赴きました。

彼には2週間我慢することは無理でした。

41歳の林さんは2012年、福島第一原発の現場を離れた作業員の被ばく線量を計測・記録する業務に携わるという条件で福島にやってきました。
福島に着いた林さんは、彼を直接雇用する東京電力の下請け会社に、細かな字でびっしりと約定文が書かれた契約書に署名させられました。

驚いたことに、林さんが実際に割り当てられたのは最も放射線量が高い場所での事故収束・廃炉作業でした。
彼は現場では、2重構造になった放射線防護服と酸素ボンベを着用しなければならないと告げられました。
そして下請け会社の説明担当者が次のように語ったのです。
それだけの防備をしても、この場所の放射線量は異常なほど高く、彼のは一時間以内に年間被ばく線量の限度をこえてしまうだろう、と…

「私は、だまされ、そして罠にかけられたと思いました。」
林さんがこう語りました。
「ここに来る前、そんな話は一度もされたことがありませんでした。」

林さんは下請け段階がひとつ上の会社に抗議しました。
そして解雇されたのです。

林さんは労働基準監署に告発を行いました。
しかし1年以上たった現在も、この行政機関からは何の返答も得ていません。

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このケースの林さんの雇用には、合計で8社もの会社が関わっていましたが、頂点に立つ東京電力を始め、この件については一切のコメントを拒否するか、担当部署と連絡を取ることもできませんでした。

林さんは福島で別の仕事を見つけました。
今度は使用済み核燃料プールを支えるための、コンクリート製の支えを建設する仕事でした。

林さんの話では、新しい雇い主である下請け会社は彼の一か月分の賃金である約150,000円から3分の1を抜き取り、残りを茶封筒に入れて彼に手渡しました。
ロイター通信は、給料袋や振り込み明細書など、林さんの告発に関連する文書を再検証しました。

ロイター通信社が行った調査によれば、林さんが受けたような理不尽としか言いようのない処遇は、最低でも15兆円かかると見られている福島第一原発の事故収束・廃炉作業並びに周辺地区の除染作業の現場において、珍しいことではありません。

この前例のない巨大な規模の現場の実態を解明するため、ロイター通信社は80名を超える現場の労働者、関連する企業、そして関係当局にインタビューを行いました。

そこには共通する問題点が見えてきました。

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何重にも複雑に重なり合う下請け構造の中、福島第一原発の現場は、出入りするすべての関係者の身元が明らかではないという環境に依存しています。
原子力発電所の現場は初めてという会社も少なくありません。
中には警察当局も指摘するように、暴力組織とつながりがある企業も紛れ込んでいるのです。

7~8社によって構成される下請け構造、頂点に立つのは東京電力ですが、『元請』といわれる次の階層には鹿島建設(株)や(株)大林組のような大手ゼネコンが座っています。

様々な問題を抱える東京電力がまず最初に取り組まなければならないのは、福島第一原発の事故収束・廃炉作業であり、政府の助成金も交付されているこの作業は最低でも30年を要すると見られています。

福島第一原発の外側では『ビッグ4(フォー)』と呼ばれている日本の大手ゼネコンの4社 - 鹿島、大林、清水、大成建設 – が、避難者が故郷に帰還できるようにするため、政府が資金を拠出して行っている除染を実際に行っている数百社に上る中小の下請け企業を動かしています。

東京電力はした憂げの実態を完全に解明している訳では無いが、少なくとも作業員に対する虐待や組織犯罪が現場に関与することを防ぐための措置は取っていると主張しています。
「私たちは実際に作業を行うために必要な費用を算定した上で、各社と契約を結んでいます。」
東京電力、原子力・立地本部長代理の尾野昌之氏氏がロイター通信の取材にこう返答しました。
「下請け各社は私たちの発注要件に基づいて、必要な人員の手配を行います。私たちがその契約内容までチェックして、監視の目を光らせることは非常に困難なことなのです。」

2011年6月18日

2011年6月18日

福島における前例のない事故収束・廃炉作業と除染作業において、今、労働者不足の問題が深刻化し続けています。
政府の調査によれば、福島では応募者数に対し、求人数が約25%上回っています。

報酬を引き上げることより労働力の確保は容易になる、しかし実際にはそうはならなかったことを、政府のデータは証明しました。

東京電力は大手銀行からの新たな借り入れと借り換えのため、2014年3月までに財政の再建計画を明らかにするよう求められています。
2011年に発生した福島第一原発の事故により、東京電力は社員の報酬の20%をカットしました。

目減りする賃金と作業員不足は、手配師の暗躍を許すことになりました。
ブローカーたちは、生活に行き詰った人々、あるいは様々なトラブルにより福島第一原発の現場以外では仕事を見つけられない人々を連れてきました。
この結果、多くは未登録の零細企業が福島第一原発の現場に群れ集まることになりました。

東京電力が公表した資料とロイター通信の独自の調査により、以下の事実が明らかになりました。
福島第一原発の現場内には、800に上る下請け会社がひしめき、門を出た周辺地区では、さらに数百社を加えた下請け企業が除染作業を行っていたのです。

《第2回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU
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いよいよ4号機の使用済み核燃料プールから、燃料棒の取り出し作業が始まることが、地元紙の河北新報で報じられました( http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131107t63011.htm )。
しかし今日から5回に分けてご紹介する、福島第一原発の作業員の方々が置かれている状況をドキュメントするこの記事を読むと、果たして作業の安全が確保されるのか、疑問は膨らむ一方です。

私が暮らす仙台では、ところどころで巨大化した雑草を見かけます。
今日見つけたのは建物の影になった場所にある排水路の中から生えたブタクサか何かで、人間の背丈以上の高さがあり、茎の太さは通常の5倍ほどもありました。
「いかにも残留放射線量が高そうな場所に生えているよ…」
「大丈夫、もうすぐ4号機で核燃料を叩き落とす事故が起きるから、こんなことは気にもならなくなるよ。」
冗談とも、あきらめともつかぬ会話が交わされていました。

あなたはこうした会話を『不謹慎』だと非難しますか?
福島第一原発の事故が起きた直後も、民主党の閣僚がゴーストタウンになった町をゴーストタウンと表現し、辞任に追い込まれました。
第二次世界大戦当時も、日本では戦争の批判をすると『非国民』とののしられ、場合によっては犯罪者として拷問された挙句、殺されたケースすらありました。
事故も戦争も、引き起こした方が責任を問われるべきなのに、日常的感覚からの発言をした方が攻撃されるのです。
こうした悪弊も正していかなければならないはずです。

 

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