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【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第2回》

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所要時間 約 8分

特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
2015年までの事故収束・廃炉作業に必要な人員を確保できない現状
原発ジプシー、金銭にまつわるトラブル、雇用者とは別の手配師の暗躍、適切な健康保険の欠如、こうした問題が何十年もの間続いてきた

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

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アジア地区の電力会社として最大の規模を誇る東京電力は、これまで監視機関となれ合いの関係を続け、東京電力に対する政府の監視も有るか無いかといういい加減なものでした。
しかし2011年3月にマグニチュード9.0の地震と巨大な津波が福島第一原発を襲い、原子力発電所で巨大事故が発生すると、そうした不適切な関係は厳しい調査の対象となりました。
事故は3基の原子炉がメルトダウンするという世界でも前例のない事態を引き起こし、周辺住民150,000人が自宅を捨てて避難しなければなりませんでした。

以後の東京電力の、福島第一原発の状況を安定させるためのその場しのぎの対応の繰り返しについて所管する茂木経済産業大臣は、まるで『もぐら叩き』ゲームをやっているようだと批判しました。

▽『原発ジプシー』

福島第一原発の事故収束・廃炉作業と周辺市町村の除染のため、これまで約50,000人が雇用されたと見られていますが、林さんはその中のひとりです。
今後の作業を継続するためには、さらに数千人数万人の作業員が必要です。

汚染水タンク02
まず必要なのが、事故を起こした原子炉から溶け落ちた核燃料の冷却を続けるため、毎日数千トンの水を送りこんでいる、そのシステムを維持するための要員です。
冷却のため使われた水は高濃度に汚染されるため、1,000基以上並んでいる貯蔵タンクで保管します。
これらのタンクの容量は、合算すればオリンピックで使われるプール、130杯分以上に相当します。

東京電力の計画に基づけば、2015年までの作業を維持するためだけでも、少なくとも12,000人の作業員をプールしておく必要がありますが、現在までに確保できているのは8,000人に留まっています。
ここ数か月、福島第一原発の現場で作業を行っているのは、6,000人程になります。

日本政府は320億円の事業費を投じ、汚染水の流入を防ぐための『凍土壁』計画を行いますが、上記の東京電力の人員計画にはこのための要員は含まれていません。

この問題について、独立行政法人日本原子力研究開発機構の中山俊一氏がこう語りました。
「現場の作業員の安全を確実なものにした上で、この作業が実行可能なのかどうか、その点を私たちは問うべきだと思います。」

1970年代、福島第一原発を含む初期の原子力発電所の開設以来、日本の原子力産業は低賃金労働に頼ってきました。

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長い間日本の原子力産業界は、東京の山谷、大阪の釜ヶ崎などで決まった自宅を持たない『原発ジプシー』と呼ばれる季節労働者をかき集め、原子力発電所の現場に投入してきました。

「原発の現場における労働条件は、常に劣悪であり続けました。」
こう語るのは、大阪の阪南中央病院の村田三郎部次長です。

「金銭にまつわるトラブル、雇用者とは別の手配師の暗躍、適切な健康保険の欠如、こうした問題が何十年もの間続いてきたのです。」

福島第一原発における事故収束・廃炉作業は、こうした問題を一層悪化させたのです。

2011年8月、福島の除染作業関連予算が議会の承認を得たとき、その執行については建設業の関連法規の『適用外』としました。
その結果、除染作業を行う業者は、経営管理に関する情報を明らかにする必要も無く、いかなる審査も受ける必要が無くなりました。

それが意味するものは、いつでも誰もが除染作業を請け負える、その状態が実現したということでした。
現場の企業や労働者の証言によれば、経験の無い小規模の会社が殺到し、契約を取るため手配師を使って作業員をかき集める会社もありました。

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こうした労働者が大量に流入した結果、福島第一原発から50キロメートルほどの場所にあるいわき市のような町は、労働者のための騒々しい中継地に変貌しました。
手配師がその人間の負債を清算してやり、作業員として『買い取る』という極端な例も現れました。

実際に現場で働かされた作業員や彼らの支援を行っている関係者の証言によれば、送り込まれた作業員たちは、極端なピンハネと不平不満を口にすることが出来ない現場で、借金を清算するまで働かされることになるのです。

かつてアメリカ原子力規制委員会の委員を務め、現在は東京電力のアドバイザーを務めるレイク・バレット氏は、ロイター通信の取材に対し、こうした仕組みが解消されるまでには、相当の時間がかかるだろうと語りました。
「大企業が実務を下請けにやらせるというのは、日本で100年間続いてきたやり方なのです。それがフクシマでもまた、現実になっているのです。」
「その現実が一晩のうちに変わるはずがありません。下請けがいるから、ここには仕事がある。仕事につきたければ、自分の方を変えるしかないのです。」

2012年に東京電力が行った調査の結果、福島第一原発の現場で働いていた作業員のうち、約半数が下請け会社と契約を交わしたものの、実際には別の会社の下で働いていたことが明らかになりました。
本来の日本の法律では、手配師などが労働者の賃金のピンハネを防ぐため、そうした行為は禁じられています。

街頭抗議
東京電力は福島第一原発の現場から不当労働行為を排除するための第一段階として、この調査を行ったと語りました。
「私たちは下請け企業による不当労働行為は、大変深刻な問題だと認識しています。」
東京電力はロイター通信に対し、このような声明文を寄せ、下請け企業に対し労働法規の順守を強く求めると約束しました。
東京電力は現場の作業員のためにホットラインを開設し、下請け企業に対し労働法規を順守させるためのセミナー等を実施した事を明らかにしました。
6月には新たに雇用された作業員に対し、法律に沿った雇用体制を構築するための講習を受講することを義務付けました。

東京電力は福島第一原発の現場における作業員の報酬を明らかにしていません。
ロイター通信が作業員から直接聞き取り調査を行ったところ、時給平均で1,200円前後になりましたが、ひどい場合には時給600円程度のケースもあることが解りました。これは日本の建設業の平均時給の3分の1程度という安さです。

福島第一原発の周辺で除染作業を行っている作業員には、日本政府から1日あたり約10,000円の危険手当が支給されているはずですが、実際には作業員には支払われていないケースが数多く確認されています。

《第3回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU

 

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