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【 過去の教訓が明日の命を守る 】〈後編〉

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所要時間 約 12分

『本当に命を守ってくれるものとは』

この数十年で最悪の自然災害を生き延びた人々は、生き残るための自衛手段を、根本から見直さなければないかもしれません。

ドナルド・ハーディング / アルジャジーラ 2011年11月23日

「まず自分の身を守れ」と口で言うのは簡単ですが、実際のところほとんどの日本人はそのような行動はとりません。」
こう語るのは群馬大学で災害管理と津波対策が専門の社会情報学部の片田敏孝教授です。
過去8年の間、片田教授は萬さんの故郷・岩手県釜石市の学校で、「てんでんこ」について改めて教えてきました。
「実際に津波が発生した時、人々は津波がもうすぐ襲って来ると知りつつ、逃げずに家族を探し、そして全員が死んでしまいます。
互いに助けることができると考え、そして一緒に死んでしまうのです。

この地区ではこうした悲劇が繰り返され、そこから『てんでんこ』が生まれたのです。
『てんでんこ』が教えるのは、家族を助けたいという衝動を抑え、何をおいても自分の命を守るため、直ちに行動を起こすことです。
誰もがこれを実行できれば、多くの人が助かることになります。
『てんでんこ』は信頼についても教えます、他の人も同じように自分の身を守っていることを信じることを。」
『てんでんこ』はあなたの周囲の人を助けることができないことを教えているのではなく、自分の身を守ることを最優先することを教えているのです。」

世界中のどの国よりも、日本は津波に対する備えを行っています。巨大な防波堤、防潮堤が押し寄せる波から町や村を守っています。
さらにこれらの設備を乗り越えて波が襲ってくる場合に備え、国中の村落や学校ごとに無数の安全対策や避難訓練が、繰り返し実施されています。
地震や津波の絶え間ない脅威を受けている場所でも、生き残るチャンスが無いわけではありませんが、3月11日に襲ってきた津波の圧倒的な大きさは、日本の練り上げられた予報措置ですら不十分である、ということを証明することになりました。
多額の公共予算を投じて建設された堤防を巨大な津波が乗り越え、避難所や集合場所すらのみ込まれてしまい、多くの悲劇を生んでしまいました。

将来の津波対策をどうするか、という議論とともに、これまでの対策がなぜ無駄に終わってしまったのか、という議論が今、日本で巻き起こってい ます。

片田教授は危 険に直面する村落においては、その考え方を根本から改めるため、『てんでんこ』を教えることが有効である、と信じています。
『てんでんこ』は人々、特に子供たちに対し、いつでも自 分自身で最悪の事態に対処できるよう備えさせるのです。
「これらの地区はしばしば中小の地震や津波に襲われるため、人々は『どうせ今度も大したことは無い』という根拠のない、ある種の安心感を抱い てしまいます。
3月11日のように大きな津波と津波の間には何世代かが交代し、津波の巨大さとその破壊力 に関する人々の記憶は風化し、災害の際には何よりまず自分の身を守らなければならない、といった教訓もまた、風化していってしまうのです。」
「人々は一つだけの避難計画に頼りすぎています。」
と片田教授は語ります。
彼は設備や計画よりも、釜石に伝わってきた教訓の方が数多くの人々の命を救ったのだ、と主張します。
統計によれば、片田教授が『てんでんこ』の教えを伝えてきた地域での死者の数は27名であり、岩手県内の死者数3,423名の1パーセントに届きません。
隣県である宮城県では3パーセント以上の死亡率を記録しました。

今や何人かの人々は大規模な防波堤のような設備は、かえって誤った感覚を植え付けてしまう、と考えています。
たくさんの人間が防波堤の働きを過信し、津波が迫っているにもかかわらず、事態を楽観して避難せずに自宅にとどまり、その結果大勢が死亡してしまいました。
同じとき、決められた避難指示通りに避難所に集合し、次 の指示をその場で待ち続けた人々も、同じように多数の犠牲者を出してしまいました。
宮城県南三陸町では80か所ある指定避難場所のうち、31か所が巨大津波にのみこまれました。

昨年開所したばかりの釜石市鵜住居の災害避難場所では、約200名が避難していたと推測されますが、押し寄せる津波の中、生き残ることができたのは30名に満たない人々でした。
これとは対照的な例として、片田教授は2,900人 の子供たちが全員生き延びたケースを例に挙げました。
この日、学校はすでに終わり、地震発生時、子供たちは三々五々家路につくか、クラブ活動を始めていました。
釜石東小学校と中学校が隣接する地区では、子供たちは学校から飛び出し、丘を駆け上がりました。
数分後、彼がいた学校は恐ろしい津波にのみこまれ、車が校舎の3階に激突しました。
さらに津波が迫ってきたため、教えられていた通り、子供たちはさらに丘を駆け上がりました。
その場所から彼らは指定避難場所が水没していく様子を、見守り続けたのです。
「私たちが地震に襲われた時、揺れがものすごく、地面に亀裂が走ったのを見て、本当に驚きました。」
萬しんごさんが話します。
「何が始まったのか、とっさにはわかりませんでしたが、津波が来るかもしれないと思い、みんな一斉に走り出しました。先生から指示はありませんでしたが、学校に残った人はほとんどいなかったので、逃げ出して本当に良かったと思っています。」
大きな被害を受けた東日本の沿岸部では、今やっと町や村の再建が始まったところです。その道のりは長く、人々の暮らしの再建も少しずつしか進みません。
この場所に暮らす人々は、子供たちも含め例外なく津波に関する意識を変えることを余儀なくされ、再び津波が襲った場合の対応を考え直さなければなりません。
生き延びていくため、多くの人々が過去の教訓に学ぼうとしています。
〈完〉

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3.11の直後、宮城県女川町の友人宅を見舞ったとき、その家のお父さんがこう話しました。
「なまじ知識がある人が亡くなってしまった。『昭和三陸大津波の時、津波はここまでは来なかった』と言っていた人が、その場所で波にのまれてしまったんです。」
そして巨大な防潮堤があった町が、そこを乗り越えた津波によって多数の犠牲者を出してしまいました。

これまで何度も、色々な場合に言われて来たこの言葉。
「人間の知恵が、大自然を屈服させる事はできない。」
アルジャジーラの「徒に文明とその道具に頼らず、知恵を持って生きぬくべき」
というこの記事の主張、まったくもって正論ではないでしょうか?

そして日本ほどではありませんが、アメリカもまた2011年は『災害の年』でした。
今年各国のニュースを見ていて、頻出したのが『気候変動』という言葉でした。
この一年を振り返り、「自然界からの報復」ということを、漠然とではあっても考えた方は多いのではないでしょうか?

環境に負荷を与えてでも、とにかく便利さを追求する、という時代はもう終わった、と思うのは私だけでしょうか?

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【 災害の年、2011年 】

アメリカNBCニュース 12月10日

2011年について振り返る人々は、こう言わざるを得ないと思います。
次々と発生した天災により、記録破りの年になってしまったのが2011年であると。
多くの命が失われ、損害額もまた莫大でした。
少なくとも12回の異常気象が発生、それぞれ数十億ドルあるいはそれ以上の損害を与えました。
トム・コステロがお伝えします。

リポーター:この春竜巻を生き延びた人だれもが、これほどひどい年は無かった、と思っていることでしょう。
ヴァージニア州からアラバマ州にかけて4月だけで748の竜巻が発生しました。

そしてミズーリ州。
中継「セント・ジョンズ病院の様子です。上から見降ろすとどれほどの損害を受けたか、お分かりいただけると思 います。」 
リポーター:5月22日 にミズーリ州ジョップラン市を襲った竜巻では160人の方が命を失いました。竜巻による犠牲者数としては、史上7番目になります。
「ああ、犬が一匹助け出されました。ほんとに良かった…」

リポーター: 2011年 の5月までにすでに記録は塗り替えられました。そして事態は悪化する一方でした。
ウェザー・チャンネル / ジ ム・カントーレ
「今年を振り返り、異常気象が起きた当時のことを思い出してみると、ブリザードが吹き荒れた真冬が終わると、 穏やかな春は素通りしてハリケーンの吹き荒れる季節に突入してしまいました。まったく、大変な一年でした。」

リポーター:これまで全部で、約3,000もの月ごとの天候の記録が塗り替えられました。
アメリカ商務省国立海洋大気局によれば、2011年 は12の自然災害がこの国を襲い、受けた損害額はそれぞれ数十億ドルの規模になる、と発表しました。
これまで自然災害が一番ひどかったのは2008年でしたが、2011年はそれを9つの分野で上回りました。

ドライバー「ほんとうはここら辺りは一面の水がなきゃないんだ。」

リポーター:最初にかんばつがやってきて、次に山火事がやって来ました。
大火災はテキサス、ニューメキシコ、そしてアリゾナを襲いました。

そして南北ダコタ州からメキシコ湾にかけては大洪水が壊滅的な被害をもたらし、8月になるとハリケーン・アイリーンが東海岸を直撃しました。
アイリーンの現地中継「砂が、たたきつけるように吹き付けています。」。
リポーター:アイリーンはノース・キャロライナ、ニュージャージー、ニューヨーク、そしてヴァーモントの順に被害を与えました。

気候学者は、気候変動と世界的な気象パターンの極端な変動について警告しています。
そして、これからも異常気象が襲う可能性があります。

国立海洋大気局局長代理キャスリーン・サリバン
「私たちがこれまで把握している気象と自然界のメカニズムから考えると、さらに厳しく破壊力がある異常気象が、頻繁に襲ってもおかしくはありません。」

リポーター:今年発生した自然災害で約1,000名の犠牲者が出ました。
そして520億 ドルの損害が発生しています。
しかし、危機は去った訳ではありません。
災害が起きやすい場所には母なる自然が生み出す脅威が度々訪れ、人口も増え続けています。
そしてさらなる損害、人的被害の発生について警告が発せられているのです。

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