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【 追いつめられる福島第一原発、高まる汚染水海洋投棄実施の可能性 】

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所要時間 約 10分

東京電力と日本政府は、福島第一原発が置かれている状況を的確に包み隠さず国民に伝える必要がある
最終的にはこの汚染水を、太平洋に投棄する以外の選択肢はもう無いかもしれない
このままでは来年中に汚染水の保管が、物理的に不可能になる恐れ

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 3月10日

汚染水タンク
日本は巨大地震、巨大津波、福島第一原発の事故の三重災害が発生してから3年が経ちましたが、東京電力は原発内の莫大な量の高濃度汚染水の処理の目処が立たず、対応に苦慮しています。
事故処理を担当する東京電力の上級顧問は、同社に対し最終的にはこの汚染水を太平洋に投棄する以外の選択肢はもう無いかもしれないと告げました。

東日本大震災の3周年直前、数少ない福島第一原発への訪問を行った東京電力の上級顧問のデール・クライン氏は、記者会見で東京電力は相変わらず汚染水漏れの事故を繰り返し、事故収束作業の妨げとなっており、周辺住民を安心させるに至っていないと語りました。

「その事を考えると夜眠れなくなる問題が私にはありますが、それは汚染水問題についての長期的解決策です。」
アメリカ原子力規制委員会の元委員長で、現在東京電力の監視委員会の責任者を務めるクライン氏がこう語りました。
「このまま福島第一原発の施設内に莫大な量の汚染水の保管を続ける事は、長期的には解決策になり得ません。一定程度浄化した上で計画的に放水を行う事の方が、このまま保管を続けるよりも結果的に遥かに安全です。」
「東京電力の汚染水問題の管理能力は向上しましたが、私はまだ満足していません。東京電力は4歩か5歩前に進んだと思うと、すぐに2歩は後退してしまいます。その繰り返しに私はいらだっています。そして汚染水の漏出事故を繰り返し、信頼を損ない続けています。あらゆる側面において、改善が図られるべきです。」

汚染水タンク
昨年夏、東京電力が汚染水を満足に管理できていない事実が明るみに出ました。
東京電力は毎日少なくとも300トンの汚染水が、海洋中に流出している事を認めたのです。

福島第一原発では構造上の欠陥がある貯蔵タンクから汚染水漏れ事故が続き、日本政府が500億円の国費を投じ、この問題の解決に直接乗り出すことを発表した後、この驚くべき事実が発覚したのです。
政府の対策には原子炉建屋がある一角の地下を凍結させる地下凍土策が含まれます。
当座策は、この付近に流れ込む地下水が、破壊された原子炉内にあるメルトダウンした核燃料を冷却する際に著しく汚染されてしまう冷却水と混じり合うことを防ぐ目的で行われます。

東京電力はこの凍土壁について、3月中旬に福島第一原発の敷地内で実験を開始する事を公表しました。
この実験が成功すれば、東京電力は来年破壊された原子炉の周囲に2kmに渡り凍土壁を作り上げる事になっています。
しかし中には凍土壁の技術をこれほどの規模で実施する事を、危ぶむ専門家もいます。

デール・クライン氏も凍土壁による汚染水問題の改善を疑っている一人です。
彼はこのまま福島第一原発内に汚染水をとどめ億よりも、計画的に汚染水を太平洋に放出する方が現実的な解決策であると考えています。

NBC 2
しかしそれを実施するためには、東京電力、日本政府、原子力規制委員会などが地元の漁業関係者の了承を得なければなりません。
さらには中国、韓国を始めとする近隣諸国からの激しい反発を引き出す可能性化があります。
「感情的には非常に難しい問題です。」
クライン氏がこう語りました。
「しかし東京電力と日本政府は、福島第一原発がおかれている状況を、一般国民に対し的確に包み隠さず伝える必要があります。私にいわせれば、福島第一原発の汚染水問題に欠けているのは技術ではなく、この問題を根本的に解決しようという東京電力と日本政府の姿勢です。」

東京電力は、トリチウムを除く10種類を超える放射性物質を取り除くことが出来る汚染水の浄化装置に望みをつないでいます。
トリチウムは人間に体内に入り込んだ場合、癌の発生原因となる可能性があります。

しかしクライン氏は、骨の中に取り込まれてガンや白血病を引き起こすストロンチウム90や放射性セシウムに比べれば、トリチウムの毒性は高いものではなく、太平洋に放出する前にその濃度を薄めることは技術的に可能であると語りました。

03 Spiegel
これに対し福島第一原発の小野所長は、現在のところ東京電力として汚染水を太平洋に投棄する具体的な計画を立ててはいないと語りました。
しかしその一方で小野所長はこの汚染水問題が解決しない限り、福島第一原発の事故収束・廃炉作業の前進はないと語りました。
「私たちにとって最も差し迫った問題は、この汚染水問題です。」
「この問題の根本的な解決を図らない限り、周辺住民の方々に安心していただけません、そして避難されておられる方々の帰還も困難になります。」

「私たちは胸の内にはこの30~40年で福島第一原発の事故収束・廃炉作業を完了させるという前向きな気持ちを抱いています。しかしすべての段階において、最大限の配慮を行いながら作業を進めなければ、トラブルが発生して全体の作業工程が狂い、経過的に多くの方々に迷惑をかけてしまうことになります。」

現在、毎日約400トンの地下水が西側の丘陵地帯から、福島第一原発の破壊された原子炉があるエリアの地下に流れ込んでいます。
現在福島第一原発の敷地内に林立する貯蔵タンクの中には、約300,000トンの汚染水が保管されています。
東京電力は800,000トンの汚染水を保管するためのスペースの確保を目指していますが、これ以上の汚染水の流れ込みを防ぐことが出来ない限り、来年には汚染水の保管が物理的に不可能になる恐れが強まっています。

漏水防止護岸工事
福島第一原発からバスで20分程の場所に、かつてのサッカー・チームのための総合訓練施設であった
Jビレッジがあり、ここは現在福島第一原発の作業員や訪問者のための人員管理のための基地兼物流基地となっています。
そのバスに乗って福島第一原発に向う途中、地震と津波の破壊の跡が生々しく残る被災地にあって、少しずつ除染作業が進んでいる様子がバスの車窓から見てとれました。
大気中の放射線量は低下し続けています。
これを基に日本政府は、一部の地区について避難命令を解除する方針です。

100,000人以上に昇る福島第一原発周辺の原発事故被災者の内、何割かの人々は日中に限り自宅に戻ることを許可されています。
しかしその場所で生活を続けるには、未だ放射線量が高すぎる状態が続いています。
3月10日に楢葉町で測った放射線量は2マイクロシーベルト/時でしたが、日本政府と福島県などはこの値を0.23マイクロシーベルト/時まで引き下げることを目標にしています。
かつての農地には、除染によって取り除かれた土やごみなどを詰めた黒いビニール袋が大量に置き並べられています。
これらは最終処分場が決まるまで、この場所での保管を続けなければなりません。

被災地の沿岸を走る鉄道はこの春、一部で運行が再開される予定ですが、放射能によって汚染された地域では少なくとも今後数年間は再開の見通しはありません。

110622
この地を訪れた記者たちは皆一様に、3年前、地震と津波によりすべての電源が失われてしまった後、この場所で数時間に渡り壊滅的な事故に発展しないよう闘いつづけた、少人数の東京電力の技術者たちの事を思い出していました。

メルトダウンした原子炉1号機と2号機の制御室内では、機能を停止してしまったコントロール・パネルの上に、1人の技術者が刻々と変化する水位計の数値を走り書きした跡が残っていました。
当時この場所で手動のライトを頼りに戦っていたこれらの人々は、もう誰も残ってはいません。
何人かは会社を去っていきましたが、大部分の技術者は被ばく線量が限度を超えてしまったために、最早この場所には残れなくなってしまったのです。

「この場所にいた人々にとって、その間の事がどのようであったか、説明することはとても難しいです。」
東京電力の職員である松井健一郎氏がこう語りました。
「彼らはもうろうとする意識、尽きようとする体力と戦いながら、必死で作業を続けました。彼らにはほんものの使命感があったのだと思います。」

http://www.theguardian.com/environment/2014/mar/10/fukushima-operator-dump-contaminated-water-pacific
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ガーディアンにしても、エコノミストにしても、英国のメディアのいわゆる「フクシマの50人」に対する評価の高さと言うものは一種独特のものがあるかもしれません。
これまでも上記2紙に加え、ザ・インデペンダントの同種の記事もご紹介してきました。
どれ程ひどい状況に追い込まれても、彼らは「逃げなかった」。
その事に対する評価のようです。

一方、最初の首相の任期中に「福島第一原子力発電所に15メートルを超える津波などはやってこない」と断言、事故の間接的な原因を作ったはずの現首相、本人は口を拭ってこの事には一切触れません。
当然ながら、英国3紙の評価は「フクシマの50人」と比べ、雲泥の差があります。

 

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