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【 過半数の国民が反対、包囲網突破の再稼働 】

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所要時間 約 8分

日本人の多くが望んでいなくとも、結局は再稼働させるつもりの日本政府、深まる国民との亀裂
立地市町村に他の選択肢を考慮させないよう、日本政府・電力業界から惜しげも無く供与される莫大な額の補助金
原子力規制委員会の審査基準は原発の設備・機能の問題に偏り過ぎ、他の数多くの問題に触れようとしていない

エコノミスト 11月3日

川内原発NYT
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こしてから4年近くが経つ今、日本は原子力発電の再開に向け動いています。
九州地方、鹿児島県薩摩川内市議会は10月末、市民傍聴席から抗議の声が挙がり続ける中、九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働を承認する決議を行いました。

2011年3月11日以降、福井県にある大飯原発の2基の原子炉が一時的に14カ月間稼働し、その後昨年9月に再び稼働停止した例を除き、日本国内48基の原子炉は原則停止しています。
その中、川内原発の2基の原子炉が、事故以降初めて稼働の承認を得たことになりました。
この後予想される通りに11月7日に鹿児島県も承認を行なえば、川内原発は来年早々にも稼働を開始することになります。

この決定は九州電力にとっては喜ばしいことかもしれませんが、原子力発電の継続を巡って二分された日本の世論の亀裂を一層深めることになるでしょう。

日本政府は莫大な金額に昇る化石燃料の輸入額を減らすため、現在停止中の原子炉を可能な限り何基でも再稼働させようと必死になっています。
原子力規制委員会は以前より厳しいと言われる新しい安全基準を採用し、一般国民の原子力行政への信頼を回復すべく、それまでの原子力安全・保安院に代わって組織されました。
川内原発の再稼働承認は、新たな原子力行政が国民の信頼を回復しつつあることについての最初の兆候であるという見方もあります。

川内原発エコノミスト
九州電力は川内原発について、原子力発電所が安全を確保できる地震の規模を部分的に見直すことによって、原子力規制委員会の認可を得ました。
そして日本政府、電力業界から薩摩川内市に対して惜しげも無く供与される莫大な金額の補助金なども、市議会が疑問を敢えて口にしないようにするために大きな効果を発揮しました。

しかし万が一事故が発生した場合、放射性物質が飛散する可能性がある圏内に位置する市町村の住民たちに、川内原発の再稼働に承認を与えたことを納得させることには無理がありました。
鹿児島市は川内原発から約40キロの場所にある人口60万の都市ですが、福島第一原発から北西方向40キロの場所にある市町村は、放射線量が高く未だに人が暮らすことができません。

さらに鹿児島県には複数の活火山もあります。
こうした懸念から川内原発から30キロの場所にある鹿児島県中部の都市、姶良(あいら)市は同原発の稼働停止・廃炉要求を圧倒的多数で決議しました。
さらにいくつかの周辺市町村は、再稼働の可否に関する発言権を求めています。

法的に日本政府は、立地自治体とは異なる周辺自治体の意見を聞く必要はありません。

しかし多くの日本人は原子力発電の継続に反対しており、政治的に難しい決断を迫られることになります。
原子力発電所に対する一連の訴訟の中で、原発周辺住民の避難計画も重要な問題になっています。
今年5月には、地方裁判所が大飯原発の再稼働を禁じる判決を行いました。
関西電力はこの判決を不服として上告しました。

福井地裁判決
原子力発電の継続に反対する人々は、日本政府と現在国内20基の原子炉の再稼働承認のための審査を受け付けている原子力規制委員会の審査基準が、地震規模に対する耐震性能や事故発生時のベントなど、原発の設備・機能の問題に偏り過ぎていると批判しています。
原子力発電所の再稼働を急ぐあまり、事故発生時に周辺住民をいかに安全に避難させるかという点については充分な対策が講じられていないというのが実情です。

こうした問題に対して最も影響力を持つ立場にあるのが、世界最大規模の柏崎-刈羽原子力発電所が立地する新潟県の泉田知事です。

2007年の地震では柏崎-刈羽原子力発電所内で火災が発生しましたが、通路を確保できなくなった緊急作業員が立ち往生する事態が起きました。
知事室への緊急回線も不通になり、泉田知事はテレビ報道を通して事態の推移を見守る他なくなってしまったのです。
泉田知事は30km圏内に440,000人が生活している柏崎-刈羽原子力発電所で、再び同様の事態が発生した場合の対応について懸念を深めています。

柏崎刈羽原子力発電所を所有しているのは、事故を起こした福島第一原子力発電所の所有者でもある東京電力ですが、担当者は海外から派遣されてきた調査官に対し、柏崎刈羽は現在は世界で最も安全な原子力発電所であると語っています。

柏崎刈羽原発
東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の2基の原子炉の再稼働を申請しました。
これに対し泉田知事はその前に、新潟県内の周辺住民の現在の「著しく不十分な」避難計画の大幅な変更を行うよう希望すると語っています。
泉田知事の要望の中には、現在首相にしか与えられていない避難命令を発する権限を地方自体に移譲することや、原発事故が発生した場合に備えての地方自治体自身の緊急司令室の設置等が含まれていると言われています。
2011年に発生した福島第一原発の事故では対応が常に後手に回ったとの批判が強い東京電力ですが、同社の幹部は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働には会社の命運がかかっていると語っています。
しかし再稼働に聴漕ぎつけるためには、まずは泉田知事を納得させられるだけの対応を取らなければなりません。

http://www.economist.com/news/asia/21630808-country-lurches-towards-nuclear-comeback-critical-mass?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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「原子力規制委員会の審査基準は、原発の設備・機能の問題に偏り過ぎている」
まさにその通りです。
増え続ける核のゴミ、放射性核廃棄物の問題はどうするのでしょうか?

私が暮らす宮城県では、福島第一原発の事故によって県内で発生した放射性廃棄物の中間貯蔵施設を巡って、処分場建設の最有力候補とされてしまった町が必死の抵抗を行っています。
料簡の狭いことを言えば、首都圏に電気を送るため建設された隣県の原発が事故を起こしたために発生した核廃棄物を、なぜ私たちが引き受けなければならないのか今一つ合点がいきません。

そもそも宮城県の山側に放射性廃棄物の中間貯蔵施設を建設した場合、下流域一帯がすべて汚染されてしまう危険性があり( http://kobajun.biz/?p=18732 )、個人的意見としては中間貯蔵施設の建設など、とんでもない話です。

ことほどさように、原発を稼働させてしまえば次々に解決不能の厄介な問題が持ち上がることは明々白日のはずなのです。

 

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