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【 誰も入る事の出来ないメルトダウンした原子炉の内部 – 福島第一原発の現在の本当の状況を明らかにできるか? 】〈後篇〉

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所要時間 約 7分

原子炉内部のコンクリート片、鋼材、水などをウラン、プルトニウム、その他の重金属と明確に区別
海外の優れた技術の導入に、やっと前向きに取り組み始めた東京電力

マシュー・L・ワルド / ニューヨークタイムズ 6月17日

原子炉建屋
ミュー粒子画像解析技術により解析結果を3次元の画像イメージとして表現することが可能になり、福島第一原発の事故を起こした原子炉内部にもあるはずのコンクリート片、鋼材、水などをウラン、プルトニウム、その他の重金属と明確に区別することが可能になります。

「福島第一原発の場合は密輸を取り締まるための貨物検査のように、その場で結果を出す必要はありません。福島第一原発で必要なのは詳細で正確なデータであり、検証に必要な時間は充分に確保することが出来ます。」
今回東京電力にミュー粒子画像解析技術の技術を提供する、『ディシジョン・サイエンス・インターナショナル』の最高責任者であるスタントンD.スローン氏がこう語りました。

実証実験は今年後半に予定されており、来年には決定画像データが入手できる予定になっています。
「設計製造された段階と比較して、メルトダウンの後何がどのように破壊され、何がどの部分に存在しているか、それがかなり早い段階で明らかになるものと考えています。」
スローン氏はこう語りました。

ロスアラモス原子力研究施設を運営する米国エネルギー省は、必要な解析機器を製作するための正式な契約をディシジョン・サイエンス・インターナショナル社と締結してはいませんが、同社は近々契約が成立するものとみています。

muon03
スローン氏は必要な機器の開発費用がいくらになるのか明らかにしていませんが、通常の原子力発電所設備に比べれば、それ程高額なものにはならないはずです。

開発に係った費用については東芝がロスアラモス研究所に弁済する形になりますが、関係者が明らかにしたところでは50万ドル(約5,000万円)を下回る見通しです。
ロスアラモス研究所は、この技術の開発に400万ドル(約4億円)を費やしました。
ディシジョン・サイエンス・インターナショナル社はその製品化にさらなる投資を行なっていますが、金額については明らかにしませんでした。

福島第一原発の事故現場において、ロスアラモス研究所はこれまでほとんどソフトウェアの分野において貢献をしてきました。
またミュー粒子断層撮影を行う際に使われる、掲示板サイズの探知装置を2基取り付けた検測装置が損傷を受けていない小型の原子炉の原子炉建屋の両側に設置され、すでに実験が行われました。
この装置は見た目が教会内のパイプオルガンのような形をしています。
それぞれのパイプにはアルゴンを含む不活性ガスが充填され、ミュー粒子が衝突した瞬間に表示装置に結果が現れます。
一本一本のパイプ状の計測装置はミュー粒子の入射経路、出射経路、およびその角度を正確に記録して行きます。
(一個一個のミュー粒子を識別することはできませんが、補足したタイミングによって技術者はミュー粒子の行き来について判断が可能になります。)

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ミュー粒子の計測装置は原子炉建屋内に設置する必要はありません。
破壊された原子炉付近に計測装置を設置すると、メルトダウンにより溶け落ちた核燃料が放射するガンマ線が正確な計測を邪魔することになるからです。
計測装置は原子炉建屋の外壁から1メートルほどの場所に設置され、厚さ約10センチの鋼鉄で覆われます。
この鋼鉄はガンマ線が入り込むのを防ぎますが、ミュー粒子の計測には影響ありません

ミュー粒子は海抜ゼロメートルの地点で、1平方メートル当たり毎分10,000個計測することが出来ます。
このうち計測器でとらえることが出来るのは数個というレベルであり、このため福島第一原発の原子力発電の内部について明確な画像を描くためには少なくとも数週間の間計測を続ける必要があります。

ミュー粒子断層撮影は、全く新しい技術という訳ではありません。
エジプトのギザのグーレート・ピラミッドの内部探査に、すでに1960年代に使われたことがあります。
マクブランチ博士によれば、現在の技術は当時とは比較にならない程精度が高くなっています。

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日本は福島第一原発の事故収束・廃炉作業を進めるため、海外の技術を取り入れることに一層積極的になっています。
今月にはカリフォルニア州アーヴィンに本社を置くクリオン社との契約を公表しました。
同社は340,000トンに上る汚染水から放射性ストロンチウムを取り除く移動式のシステムの技術を提供することになっています。

東京電力の顧問を務めるレイク・H.バレット氏は、ミュー粒子断層撮影についてそれほど多くを期待している訳ではありませんが、試してみる価値はあると語っています。
バレット氏はペンシルヴェニア州ハリスバーグで起きたスリーマイル島事故の際、米国原子力規制委員会の現地の責任者を務めた経験を持ち、現在は東京電力社長の特別顧問を務めています。

福島第一原発の事故現場でミュー粒子断層撮影の技術が使われることについて、次のように語りました。
「拡散防止のためにアメリカ政府が数百億円をかけた開発した技術が、福島第一原発の事故現場で応用されるのを見ることは喜ばしい限りです。」

3号機4号機
「各分野の優れた技術を取り入ることにより、事故収束・廃炉作業が一層進む効果が期待できます。成り行きを静かに見守りましょう。」

「結果については、私たち全員が楽観的に考えています。」

< 完 >

 

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