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【 虐待を受けた子供たちの救済に問題を抱える日本 】《前篇》

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所要時間 約 7分

戦災孤児と不良少年に寝る場所と食事を与えるために設立された日本の児童保護施設、その後改善が無いまま現在に

子供たちには守られるべき人権がある

 

チャン-ラン・キム / ロイター 2017年6月22日

 

(写真上)虐待の被害者として保護された後、東京都内の一時保護施設で3ヵ月以上を過ごした9歳の女の子。2017年3月、心療内科の医療施設内で。

 

毎年、緊急の避難と保護を必要としている20,000人以上の虐待を受けた子供たち、非行により補導された子供たち、成長過程で障害を負ったか、あるいは他の深刻な問題を抱えた日本の子供たちは、いったんは避難保護するための施設に収容されることになります。

 

しかしこうした施設でこともたちの医療に密接に関わっている児童心理学の専門家、および施設の職員12人以上に対する聞き取り調査を行った結果、施設などに保護された子供たちに対する扱いが画一的に過ぎ、子どもたちにとって決して居心地の良い場所ではないという実態が見えてきました。

現状に対する懸念は担当省庁の官僚たちに改革を迫るものですが、それが実現する兆候は今のところ見えていません。

国の児童福祉政策を改善することを目的とする政府出資の委員会が設立され、その目的のひとつにこうした施設の改善が挙げられています。

 

「子供たちを避難させる施設の中身が現状のままで良いと考えている人間は一人もいません。」

この問題に関する厚生労働省の担当者である浜田氏がこう語りました。

「こうした施設が子供たちをどう扱いどう機能すべきか、これまでいかなる議論も行なわれてはきませんでした。そのために今、私たちがこうして取り組んでいるのです。」

 

第二次世界大戦(太平洋戦争)終了後に戦災孤児と軽微な犯罪を犯した若者に寝る場所と食事を与えることを目的に設立された日本国内の136ヵ所の児童養護施設ですが、その後70年間ほとんど進歩らしい進歩は見られなかった、専門家がこう指摘しました。

施設で保護されているのは1歳から17歳と年齢は様々ですが、施設から逃げたり虐待を繰り返す親に連れ戻されたりしないよう、皆一様に学校に行くこともできないまま施設の建物内に留め置かれることになります。

 

施設関係者の証言によれば、児童養護施設の多くでは、子どもたちは家からおもちゃや携帯電話を持ち込むことは許されません。

そして短期間の訓練しか受けていない職員が子供たちに厳しい規則とスケジュールを課し、違反すると個室の部屋に入れられる処罰が日常化していると語りました。

 

さらに厳しい児童養護施設では、食事の間会話することはもちろん、子ども同士がアイコンタクトをとることすら許されないと、こうした施設の内部事情に詳しい人々がそう証言しました。

児童養護施設はその経過年数、規模、品質のすべてがまちまちです。

 

いくつかの施設には体育館や運動場があり、DVDと漫画雑誌なども数多く備え付けてあります。

しかし別の施設でははがれかかった壁紙と擦り切れた畳の1部屋で、10人以上の子どもたちが眠らなければならないという証言もあります。

こうした施設の運営について管理しているのは地方自治体の一部門である児童相談センターなどで、多くの場合中央省庁は関わっていません。

しかし運営資金は地方自治体と日本政府の両方から拠出されています。

 

日本社会は子どもたちに対して優しいというイメージがありますが、公的施設において青少年の人権を護るという点においては他の先進諸国よりも遅れています。

その基本的な問題を作りだしているのが、養父母の不足です。

他の先進各国とは反対に、日本は養父母に引き取られる事無く施設でそのまま成人する子供たちの割合の方が高くなっているのです。

 

制度上の問題があることを認め、子供たちには守られるべき人権があるということを確立する目的で日本では昨年児童福祉法が改正されましたが、そうした主旨は実際の福祉事業の現場に完全には反映されていないと、専門家が指摘しています。

 

「こうした施設は本来収容された子供たちが本当に必要としているケアを場所でなければなりません。」

こう語るのは2015年まで20年間東京都下の児童養護施設を度々訪れ、子どもたちのケアを続けてきた精神療法医の山脇由貴子医師です。

 

「しかし実態は異なっています。子供たちに対する扱いは『殺されなかっただけましだったね。今は寝る場所があるだけ幸せだと思った方が良いよ。』というもので、施設で働く職員たちは自分たちの職務が子供たちに安心と快適さを提供することだとは考えていません。」

 

これに対し現在の仕組みを弁護する人々は、こうした施設に保護される子どもたちの背景と必要とされるケアの内容は実にさまざまであり、厳しい規律の下に運営されなかったら、たちまち混乱に陥る可能性が高いと語りました。

 

「共同生活である以上、ある程度の規律が必要です。」

東京で児童養護施設の吉川千香子所長がこう語りました。

「限られた数の職員がたくさんの子どもたちの世話をしなければならない以上、運営方針の主眼として設定すべきは事故を防止し、子どもたちの安全を守ることを最優先にしなければならないのです。」

 

〈後編に続く〉

http://uk.reuters.com/article/uk-japan-child-shelters-idUKKBN19D005

 

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