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【 良識を問われるトランプ、見識を疑われている安倍首相 】

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トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする態度があからさまな安部首相

トランプ大統領にひたすら媚びを売り続ける安部首相、その腹の内は

北朝鮮に対し、常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領、しかし日本と韓国の安全は二の次

 

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2017年8月11日

 

日本の安部首相ほどあからさまにドナルド・トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする首相や大統領は、国際社会にはほとんど見当たりません。

安部首相はトランプ大統領が昨年11月の大統領選挙で勝利して以来、ニューヨークのトランプタワーやフロリダ州のリゾートであるマーラ・ラゴにある別荘に喜び勇んで駆けつけました。

2人は2月に行ったゴルフで新密度を深め、他の食事客から丸見えの場所で北朝鮮が発射したミサイルへの対処法を協議しました。

 

ミサイルを発射した当人の北朝鮮の指導者キム・ジョンウンとトランプとの間の核兵器開発を巡る激しい応酬がどんどん過激さを増していく中、この安部首相とトランプ大統領の『緊密な関係』の意義が問われることになりそうです。

加速する北朝鮮の軍事技術の進歩とトランプの地上最強の国家の大統領とは思えない程激しい反応は、日米の緊密な同盟関係の在り方と安倍首相の政治生命のこれからを複雑にする可能性があります。

アナリストの分析によれば、安部首相がトランプ大統領に媚びるようにして付き従っているのには二つの理由があります。

ひとつはトランプがこれまで大統領執務室の中で繰り返し問題にしてきた対日貿易不均衡問題について、その攻撃の矛先を鈍らせること、そしてもうひとつが日本の防衛問題に大統領自身が関わり続けることを確実なものにすることです。

 

大統領選挙期間中、トランプは国際社会におけるアメリカの軍事負担を軽減する政策を提案しましたが、これは同盟国である日本の防衛力の弱体化、さらには孤立化を招く恐れがありました。

しかし実際に安倍首相が直面しているのはまったく逆の問題になりました。

すなわち、日米の共通の敵・北朝鮮に対し常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領の姿です。

ニューヨークに本拠を置く政治的問題のコンサルタントであるテネオ・インテリジェンスの日本アナリスト、トビアス・ハリス氏は

「現状はむしろアメリカの側が事態を一層エスカレートさせるための導火線に火をつけてまわっている様なものですが、安部首相はアメリカに対し冷静な対応を求めるような行動はとっていません。このまま何もしないのであれば、日本国内で安倍首相に対する批判が巻き起こることは、簡単に予想できることです。」
ハリス氏によればトランプ大統領が行なっているような瀬戸際外交を望む日本人などほとんど存在しません。

硬な保守派である安倍氏はこれまでずっと北朝鮮に対する厳しい制裁を提言し続けてきました。

そして北朝鮮からの脅威が高まっていることを強く主張し、日本国憲法に基づく制約を様々な方法を使って取り払い、日本の軍事力の強化を推進してきたのです。

こうした背景もあり、現在進行している北朝鮮とアメリカの対立の激化は、まさに安倍首相の思うつぼだという見方が支配的でした。

8月10日、北朝鮮は太平洋のアメリカ空軍が重要な拠点を構えるグアム島周辺の海域に、中距離弾道ミサイルを撃ち込む計画を検討していると発表しました。

そうなればミサイルは西日本上空を飛行することになり、1998年に北朝鮮のミサイルが北日本上空を通過した記憶がよみがえった日本で全国的な騒動を引き起こしました。
「我が国は一度決意を固めれば、数秒のうちに日本列島を灰にする能力をすでにこの手にしている。」

北朝鮮はグアム周辺にミサイルを撃ち込む可能性を明らかにした同じ声明の中で、朝鮮民主主義人民共和国名でこう述べました。

 

日本はすでにミサイル防衛システムを強化してきましたが、北朝鮮による攻撃が現実味を帯びる中、防衛省関係の官僚は報復攻撃あるいは先制攻撃によって北朝鮮の軍事目標を攻撃できる長距離巡航ミサイルのような武器を購入装備するかどうかについての議論が行なわれています。

しかしこうした武器を装備することは日本が何十年にもわたり守ってきた平和主義を覆すことになり、考え方自体論争の的になります。


日本の自衛隊は平和憲法の定めにより直接国土が攻撃を受けた際初めて軍事力を行使できるとされていますが、アメリカ側は敵の基地を直接攻撃する積極的軍事行動を担当することになっています。

いわゆる盾と槍の関係であり、日本が盾、アメリカが槍の役割を担うことになります。

北朝鮮に対する懸念は大きくなり続けていますが、ほとんどの日本人は盾と槍の分業関係に満足しているようです。

もし安倍首相がそうした関係を変えたいと考えているのならば、注意深く歩みを進める必要があります。

 

安倍政権の支持率は数か月に渡って下落を続けてきました。

その一因に挙げられているのが、論議など、自衛隊に対する制約を取り払うため安部政権による軍事優先政策が行き過ぎていると感じる有権者が増えているという事実です。

世論調査によれば、日本国憲法の改定を支持しているのは有権者の約3分の1に過ぎません。

 

国際平和カーネギー基金(Carnegie Endowment for International Peace)」の上級研究員であるジェームス・L・ショフ氏は8月10日掲載された記事の中で次のように述べました

「安倍首相は長い間目標に掲げてきた憲法改定に、残り少ない政治的資産をつぎ込むつもりだろう。」

そして攻撃的な武器を入手するための「大胆な政策の実行」は、「この目標の達成を一層遠のかせることになるだろう」と付け加えました。

来年には自民党総裁選挙を控えていますが、安部首相のライバルのひとりである岸田文夫元外務大臣は、国民は日本の郡制度の変更はもつと慎重に進めるべきだと考えていると判断しているものと見られます。
「政治家としての哲学を一言で表現すれば、安倍首相は保守派です。一部には強硬なタカ派だと評する人もいます。」

岸田氏は、テレビの討論番組でこう語り、次のようにつけ加えました。

「私自身はリベラルな平和主義者です」

北朝鮮に対する敵対的発言を繰り返すトランプ氏の態度は、安倍氏にとっては頭の痛い問題です。

 

トランプはキム・ジョンウン率いる北朝鮮政府に対する戦争表現をさらに過激にし、ついこの前用いた『炎と怒り』という威嚇ではとても足りないと語りました。

こうした過激な発言は、日本国内においては北朝鮮との軍事的対立に伴うリスクを痛感させることになりました。

北朝鮮が開発している弾道ミサイルはアメリカ大陸に到達可能だと専門家が指摘していますが、近隣諸国はそのミサイルの目標が自分たちの国にならないよう我慢を続けています。

そのため北朝鮮に対する軍事行動を行う事への支持は日本、韓国の両国ともに低く、トランプの過激な発言は現実の解決にほとんど役には立ちません。

 

拓殖大学世界研究所の竹田秀史教授は、

「現在のアメリカ政府が日本と韓国の安全保障について本当に真剣に考えているのかどうか、むしろその事に対する懸念が高まっている。」

と語りました。

 

https://www.nytimes.com/Trump’s Tough Talk on North Korea Puts Japan’s Leader in Delicate Spot

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対米追従という言葉がありますが、この記事を読むと同盟国として冷静な対応を促す、助言をするという対等な立場を、安部首相その人が捨ててかかっていることが解ります。

そして安部首相がトランプに賭けの代償として差し出しているのは例によって、自分の命や財産ではなく一般国民の命や財産だという事です。

 

その先に、巨額の軍事予算に苦しむアメリカ政府に代わり、日本が巨額の予算を要する軍事負担を引き受けるという最終目的があるように感じます。

そのためにトランプが挑発的言動を繰り返して北朝鮮を硬化させ、その反応を世界中に見せつけ、

「ほら、こいつらはこんなに危険な連中なのだ。だからしっかり我々も軍事能力を高くする必要があるのだ。」

というやり方で、日本に多額の軍事負担を押し付ける。

 

今回の騒ぎで得をするのは3人だけ、海外のアメリカ軍の負担を減らすという公約を守れるトランプ、北朝鮮国内の団結を強化できるキム・ジョンウン、そして日本の軍事力増大を信条に掲げる安部首相です。

 

21世紀社会の国際紛争を軍事力で解決できるのか?という議論など、一切ありません。

 

 

 

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