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【 脅かされている日本の報道の自由( Op-Ed※ )】《前篇》

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所要時間 約 9分

今年4月に古賀氏を出演させたテレビ局に対し、『いい度胸してるじゃないか!』と言い放った自民党幹部
放送法の反干渉規定を盾に干渉に抵抗する代わり、自民党の出頭命令に唯々諾々と従ったテレビ局
日本の『報道統制』を支えている、記者クラブという閉鎖社会制度

古賀茂明 / ニューヨークタイムズ 5月20日

古賀氏 2
3月の記者会見の席上、日本政府のスポークスマンを務める菅義偉官房長官は、日本を代表する民間放送会社のひとつであるテレビ朝日の番組の中での、私(古賀茂明氏)の発言に対し懸念を表明しました。
発言は、首相官邸の激しいバッシングにより、今後私が番組に出演する機会が無くされたというものでした。

日刊紙の朝日新聞の報道によれば、菅官房長官は次のように発言しました。
「我々は、テレビ局がこの問題をどのように扱ったのか、放送法に照らして綿密な検証を行います。」
これは、場合によってはテレビ朝日の放送許可を取り消すぞという無言の脅迫にほかなりません。

そして4月17日、政権与党の自由民主党の特別委員会のメンバーが特別査問会を開くとして、テレビ朝日、そして公共放送NHKの経営陣を呼び出しました。
自民党の党本部で開かれた査問会は、安部首相が率いる政権に対し批判的な報道を行っていると自民党が考えるテレビ朝日の『報道ステーション』、NHKの『クローズアップ現代』の2つの番組をターゲットにしたものでした。

安倍 3
私が4月25日に地方局である東京MXテレビに出演した後、自民党の幹部が一部のジャーナリストにこう語ったそうです。
「古賀氏の番組出演を許したテレビ局があるそうだが、私に言わせれば、いい度胸をしているよ!」

これらが指し示しているのは、日本政府が言論機関の独立性に不当に干渉しているという事実です。

こうしたことが起きる原因の一つは、日本の言論機関と国家との関係を長年支配してきた構造的特徴にありますが、安倍政権はそれらを巧妙に利用することに秀でており、かつ積極的に利用しています。
そして日本の言論界の一部は、安倍政権のこうしたやり方をむしろ進んで受け入れているのです。
たとえばテレビ朝日は、菅官房長長官の脅迫を押し返す代わり、私が政府批判を行ったテレビ番組の製作に関わった社員を非難しました。
そして放送法の反干渉規定(第三条 : 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない)を盾に不当な干渉に抵抗する代わり、テレビ朝日は自民党の出頭命令に唯々諾々と従ったのです。

古賀茂明氏
日本においては国家機関とジャーナリストの関係は、記者クラブのネットワークを通すことが 『公式な』形とされています。
記者クラブは各省庁、各地方自治体、各政党、そして各々の産業協会にすら存在します。
記者クラブの会員資格は、通常、主要な報道機関の記者に限られています。
一般的に記者クラブの会員だけが記者会見に出席でき、記者クラブの会員だけが組織の当局に接触することを許されています。

クラブの記者たちにこの特権的な地位を授けることと引き換えに、当局側は自分たちにとって都合の良い報道が流れされて当然と考えています。
そしてほとんどの場合、彼らが考えている通りのことが現実になっているのです。

もう一つの問題は日本のメディアを管理監督しているのが、政府組織から独立した機関では無いということです。
現実には政府自身が管理していると言っても良い状況にあります。

I'm not ABE
その権限を握っているのが総務省です。
テレビ局の放送許認可の権限を持ち、放送を続けるためにはライセンスを定期的に更新しなければなりません。
従ってテレビ局は常に政府の監視下にあり、政府が気に入らない報道をすれば放送許可を取り消されてしまう脅威が日常的に存在しているということになるのです。

日本の現在の政治制度の下では、国内のテレビ放送に対し、政権与党が絶大な影響力をふるう事が出来るのです。

〈 後篇に続く 〉

※古賀茂明氏は1980年から2011年まで経済産業省の官僚を務めた、ライター、ニースコメンテーターです。
※ Op-Ed : 社説が新聞社の見解を代表するのに対し、この論説では社外を含む多様な委員により署名入りで持論が展開される。( アルク http://www.alc.co.jp/ )


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もはや日本の大手メディアが古賀氏の『論評』を掲載する可能性が、絶無と言って良い程低くなっている現在、世界の報道のメインストリームにあるニューヨークタイムズが掲載したことの意義は大きいと言わなければなりません。
それにしても、反対意見を公にした相手に対し、政権与党の幹部が『いい度胸してるじゃないか!』と言い放つというのはどういう事でしょうか?
私には恫喝以外に聞こえません。
英国保守党、米国共和党の幹部がメディアの報道等に対し、こうした類いの発言をしたという話はここ数十年間聞いたことがありません。
今回この論評がニューヨークタイムズに掲載されたことにより、その『品位』とその『政治の本質』が世界中に伝わることになるでしょう。

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【 写真集 : 第二次世界大戦(太平洋戦争)】《3》

アメリカCNNニュース 5月8日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

北アフリカ戦線

1942年11月23日、北アフリカ戦線のアルジェで夜間爆撃を加える連合軍。
この年連合軍は、北アフリカとソ連領内において、枢軸国軍の進撃を食い止めることに成功しました。(写真上)

1942年6月、日本軍機の攻撃により、黒煙を上げるミッドウェーのアメリカ海軍航空基地。
4日間に渡るミッドウェーでの戦いで、アメリカ軍は4隻の日本の航空母艦を撃沈するなど、初めて大きな勝利を手にしました。
この戦いは第二次世界大戦太平洋戦線(太平洋戦争)の大きな転換点となりました。(写真下・以下同じ)
ミッドウェー米軍基地
英国空軍掩護部隊(WAAF)の阻塞気球(そさいききゅう)の操作を担当する女性兵士。
基地内で阻塞気球を空中に固定するための、ケーブルの操作方法について講義を受けている時の写真。
第二次世界大戦では、『防衛計画と戦争関連の勤労奉仕』の名の下に、女性たちが通常の家庭内での役割に加えて大きな役割を担いました。
アメリカ、ニューオリンズの第二次世界大戦博物館の資料から。
阻塞気球
1942年11月の『トーチ作戦』で、アルジェ付近に上陸する英軍兵士。
『トーチ作戦』はフランスのヴィシー政権の支配地区に対し、米英の連合軍が行なった上陸作戦。
対ドイツ西部戦線において、米英の連合軍による本格的な反攻が開始された瞬間でした。
英軍アルジェ上陸
1944年、イタリアのアンツィオで捕虜収容所に向かって進むドイツ軍兵士。ローマ南郊へのこの上陸作戦ではアメリカ軍も大きな犠牲を強いられましたが、西部戦線におけるドイツ軍敗退へのマイルストーンとなりました。
アンツィオ
フルーリー・シュル・オルヌの洞窟に避難するフランス市民。
1944年6月のノルマンディー上陸作戦直前、ドイツ軍の要衝カーンには猛爆が加えられ、南郊のフルーリー・シュル・オルヌの住民20,000人はしばらくの間洞窟で暮らすことになりました。
フルーリー・シュル・オルヌ

http://edition.cnn.com/2015/05/08/opinions/ben-ghiat-end-of-world-war-ii/index.html

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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