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日本の国民は、自民党政権に『どこまで』を許すつもりなのか?

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自民党の単独過半数による独裁政権への回帰は、日本にとっては民主主義の後退

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 7月21日

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7月21日日曜日に実施された参議院議員選挙において、日本の有権者は政権与党である自民党に地滑り的勝利を与えました。
長い間続いてきた機能しない日本の政治に対し、各政党が政策について競い合う形より自民党の一党支配による専断体制を選び、これから劇的な変化が起きる可能性が出てきました。

衆参両院で今後最長で3年に及ぶ安定多数を得た政権与党の自民党は、日本を経済停滞の中から回復させ、軍事力を強化すると言ってはばからない国家主義者である安倍晋三首相に、この10年間で初めて国家の形を変えてしまう機会を与えることになります。
と同時に5年間続いた短命内閣の繰り返しに、終止符を打つ機会も提供しました。

今回の与党の勝利の要因は、景気の停滞から達出しようとした政策の失敗の繰り返しの後、長く平和主義国家としてやってきた日本が中国との領土紛争に触発される形で、軍事力の強化という事を改めて考え始めた、そのタイミングをとらえてのものでした。

これと言って特徴の無かった前任者たちとは異なり、58歳の安倍首相はそうした世の中の流れを象徴する存在として自分を認めてほしい、そう考えているようです。
安倍首相はある程度の痛みは伴うものの、日本経済の根本的な構造転換を行う、その主張が認められて今回の勝利を手にしました。

安倍首相は現在の平和憲法の条文を書き換えることにより、自衛隊という範疇に留まること無く、日本に正規軍を設立させると誓っていますが、その周辺諸国の感情を無視したやり方は東アジアにおいて日本を孤立させてしまう恐れがあります。

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安倍首相は選挙の一週間前、首相として初めて中国との領土紛争の原因となっている尖閣諸島近くの熱帯の島を訪問、カメラの前で戦車やジェット戦闘機に乗り込み、人々を驚かせました。

「安倍首相は現実的な政治家としての側面と、強気の国家主義者としての側面を持っています。」
法政大学政治学部の白鳥宏教授は、さらにこう続けました。
「今回の選挙は、安倍首相に国家主義者としてより強くふるまう事を許す結果になりました。それこそが彼が望んでいたものです。」

しかし日本人が安倍首相にどこまでの振る舞いを許すつもりなのか、そこまでは明らかではありません。

AP通信は日本の共同通信社が公表した今回の投票率を引用、有権者の52パーセントしか投票しなかった今回は、第二次世界大戦以降最低の投票率を記録した選挙のひとつだと報じました。

日曜日の選挙結果は参議院で自民党と公明党の連立与党に安定多数の議席をもたらしましたが、憲法改正に必要な3分の2の議席数には届きませんでした。
第二次世界大戦後、アメリカ占領軍の監修の下で成立した憲法を変えることへの期待が直ちに実現する可能性は無くなりました。

開票は翌日の朝まで続き、121の改選議席数のうち、自民党は65議席を獲得しました。連立を組む公明党の11議席と合わせ与党は242議席が定員の参議院において、過半数を占めるために充分な議席を手に入れたことになります。

対立する野党の内、最大会派の民主党は獲得議席数17と屈辱的敗北の中に沈みました。
4年前の選挙で大勝し、自民党を政権の座から追い、日本の政治を刷新すると宣言して2大政党時代の幕開けを高らかに宣言しましたが、その約束と期待をことごとく裏切ったと未だに怒り続けている有権者から見放される結果に終わりました。

日曜日の投票を間近に控え、週刊のタブロイド紙1紙が自民党の単独過半数による独裁政権への回帰は、日本にとっては民主主義の後退になると批判しました。

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勝利が確定した後、安倍首相は記者団に対し、これで2007年以降日本の政治を機能不全に陥らせてきた国会のねじれを解消できるとして、国民に対し謝意を表しました。
一方で安倍首相は連立を組む公明党、他の国会議員、そして国民に対し、国民投票によって憲法改定を行うことを納得させるための、難しい取り組みを始めなければならない点を認めました。
「憲法に関する議論をもっと幅広く、深めていく必要があります。」
安倍首相はこう語りました。
「有権者の皆さんに安定した政権運営ができる時間を新たにいただいたので、議論を深めていく余裕が出来ました。」
安倍首相はさらに、憲法改正について議員の3分の2の賛成を必要とする現行の手続きに変わり、過半数の賛成で憲法改正を可能にする手続き変更についても作業を進めると語りました。

しかしそのためには憲法の改正が必要であり、現行の定めに基づいた賛成票が必要になります。
それでもアナリストなどは安倍首相が政権の座について7カ月、1947年に制定されて以来初めてとなる憲法改定が現実のものになる可能性が出てきたと語ります。
彼は、現在の3分の2の代わりに議会で絶対多数を必要とすることによって改正するのがより簡単な憲法を作る中間のステップも続行すると言いました。

選挙当日投票所の外で行われたインタビューにおいて、中国の台頭への懸念と日本の国際的地位を再び高めるため、安倍首相が進めようとしている政策に同調する意見が聞かれました。

「私は、安倍首相に同感です。」
東京都狭山市に住む通信技術者である51歳の男性がインタビューにこう答えました。
「中国が今のような姿勢を取り続ける限り、日本は軍事的な備えをする必要があると思います。」

しかし多くの有権者が戦争準備には反対の意思を持っていることから、議論が憲法改正そのものに向いた場合には、安倍政権の支持率が低下する可能性があると複数の観測筋が見ています。

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安倍政権に対する現在の支持は、アベノミクスとして知られるその景気刺激対策に対する支持である、アナリストの多くはそう見ています。
現在日本経済は回復過程に乗り、すでに500兆円の経済効果を生み出しました。

「安倍政権のすべての政策が支持を得ているという訳ではありません。」
政策研究大学院大学の政治学者である飯尾潤氏がこう語りました。
「ひとたび日本経済が悪化し始めれば、安倍政権への支持は消えてなくなってしまうでしょう。」


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どなたかがツイートしていらっしゃいましたが、今回の選挙で議席を確保できなかった野党も、比例代表で統一名簿を作れば一定の議席は確保できたのに、という意見がありました。
まったくその通りだと思います。
与党自民党は徹底した組織戦を行い、低投票率と相まって、思い通りの戦果を挙げました。

山本太郎さんの当選など、いくつか明るい材料もありましたが、民主主義を守るという立場の陣営は敗退してしまいました。
組織票による勝利を阻むためには、小さな『分力』をいくつ作っても効果はありません。
それを昨年末の衆院選で学んだはずなのに、わずかな『可能性』と一般国民から見れば区別できかねる『違い』にこだわり、自民党に大勝を許し、結果、脱原発も日本国憲法の未来を危ういものにしてしまいました。

最近の自民党を見ていると、その『宣伝戦』の巧みさには侮れないものがあります。
ナチスのゲッペルスをほうふつとさせるほどです。
それに対し、野党各党は無策に過ぎるのではないでしょうか?
その苦い思いを、再び味わうことになりました。

 

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