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【 終わるはずの無い環境破壊 – 止まっていない!大気中・海洋中への放射性物質の漏出 : 福島第一原発 】《後篇》

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所要時間 約 7分

海洋中のホットスポット、その存在は今後の海洋環境にどう影響するのか
一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質の放出は、現在も続いている

マーティン・ファクラー、田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 10月24日

福島第一原発全景
直近の福島第一原発の問題は、今年6月、東京電力が事故を起こした原子炉のうちの2基付近の地下水から、ストロンチウム90を含む高濃度の放射性物質を検出したことから始まりました。
この事実について東京電力は、事故発生当時、原子炉に付属する配管に閉じ込められた高濃度の汚染水が、徐々に周囲にしみ出した結果であろうとしています。

現在計画が進んでいる凍土壁は、このもともとある汚染水が周囲に漏れ出さないようにするとともに、西側にある丘陵地帯から福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水が原子炉建屋付近に到達するのをブロックし、汚染されて海に流れ込む状態を解消しようとするものです。
(現在メルトダウンして原子炉建屋の基礎部分に広がる溶けた核燃料により汚染された地下水は、敷地内の膨大な数のタンクの中に収容されています。)

今回の放射線の放出規模、そして地下水に含まれる放射性物質の量について、海洋の放射能汚染問題の権威で政府の気象研究所の主任研究官を務める海洋科学者の青山道夫氏は、現在1日あたり300億ベクレルの放射性セシウム137が太平洋に流れ込んでおり、その量は昨年の3倍に達しているとしています。
青山氏はストロンチウム90の流入規模も、ほぼ同程度であろうと見積もっています。

現地の視察を行う安倍首相

現地の視察を行う安倍首相


青山博士は事故発生当初太平洋に流れ込んだセシウム137の量を18,000兆ベクレルと見積もっており、その量と比較すれば、現在の流入量は際立って少ないと語りました。

しかし別の科学者は、新たに判明した汚染水の流出は、専用港の外にも影響が及んでいると考えています。
東京大学・海洋工学研究センターのブレア・ソーントン准教授は、ホットスポットを見つけ出す作業に参加しましたが、対象を福島第一原発の沖合い380平方キロにまで広げて海底の調査を行いました。

ソーントン准教授はセシウムとストロンチウムのように水より重い放射性物質が、海溝のような他よりも深い場所に集積することによって、ホットスポットが形成されていたようだったと語りました。
ソーントン准教授によれば、海流が新しい沈殿物をこれら有害な放射性物質の上に堆積させるため、時間の経過とともにホットスポットの放射線量も徐々に低下して行きます。

しかし現実にはこれらのホットスポットの放射線量は他の場所と比べ、数百倍、あるいは数千倍という高さであり、福島第一原発から放出され続けている放射性物質が、その場所に次々と堆積している可能性があるのです。

03 Spiegel
ソーントン博士によれば、もう一つ考えられるのは、最初の事故で放出され、その場所に集まって泥の中に沈殿した放射性物質が、期待したほど早くは減少していない、という可能性です。

海洋科学の研究者によれば、いずれの場合であってもエビや小さな魚などは自分の身を守るため、こうした深みに身を隠す習性がある事から、ホットスポットの存在は気がかりなところです。
前述した放射性物質がこれらの小さな海洋生物の体内に入り込めば、食物連鎖によって魚介類への放射能汚染が広がることになり、地元の漁師が切望する漁の再開は一層先のことになってしまいます。

一部の科学者は海底のホットスポットの存在こそが、なぜ未だに放射線量の高い汚染された魚が獲れるのか、その理由を説明するものだとしています。
これら汚染された魚の放射線量は、下がることは下がってはいるものの、期待された程の早さではありません。

「現在でもセシウム137の放出を続けている汚染源があることは明らかである、そう考えるべきです。」
東京海洋大学の海洋科学者である神田穣太教授が、こう語りました。
「現在何が起きているのか、その事をはっきりさせることはできません。しかし私たちの予測を上回る規模で、環境に対し悪影響が及んでいるものと考えなければなりません。」

FR24 破壊された福島第一原発
これまではあまり懸念されることがありませんでしたが、福島第一原発は未だに放射性セシウムを大気中に放出し続けています。
これらを食い止めるべきフィルター設備が事故により損傷、あるいは破壊されているためです。
東京電力によれば、福島第一原発からは一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質が、大気中に放出され続けています。
事故直後、東日本の広域で放射線量が著しく上昇しましたが、その後は低下を続け、2012年2月以降は安定して低い状態が続いていると、東京電力側は語っています。

東京電力は放射性物質の大気中への放出を止めるため、破壊された原子炉を覆うカバーを建造するなどの対策を採ってきました。
しかし放射性物質はこのカバーの微細な隙間や換気設備の配管の裂け目、あるいは破壊された原子炉建屋などから漏出し続けており、東京電力もその事実を把握しています。

しかし複数の専門家がこう警告しています。
大気中と海洋中への放射性物質の放出が止まらない限り、福島周辺の環境破壊は着実に進み、決して終わることは無い、と。

汚染水02
最近日本政府が行った海洋調査に参加した研究機関の研究員である日下部正志氏が、次のように語りました。
「現在起きている汚染水の流出のレベルは、直接人間に被害を及ぼす程のものではありません。」

「だからといって、この流出をこのまま放置してよいという訳ではありません。」
日下部が続けました。

「現在起きているようなことは、人類は未だ経験したことが無いのです。これから何が起きるのか、その本当の答えは誰にもわからないのです。」

< 完 >

 

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