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【 米朝協議と置いてけぼりの安倍首相 】

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所要時間 約 12分

突然決まった米朝会談、安倍首相への期待も居るべき場所も見当たらず
安倍政権のご機嫌取りにうつつを抜かしてきた日本の外務省、外交環境の劇的展開に無能無策

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2018年3月29日

日本の安倍首相は米国のトランプ大統領と「政策のすり合わせ」のため、急きょワシントンへ行きを調整しなければならなくなりました。
しかし安倍首相は、トランプに対し米国の利益よりも日本の安全保障問題や拉致問題解決のため取り組みを優先させるべきだということを納得させられるのでしょうか?

3月下旬キム・ジョンウン北朝鮮労働党総書記が中国を訪問し、習近平主席と会談を行ったという報道に接すると、安倍首相は直ちに反応しました。
安倍首相は4月中旬にワシントンを訪問し、北朝鮮が核兵器開発とミサイル計画を放棄しなければならないことをドナルド・トランプ米大統領と再確認し、北朝鮮に対する『政策を協調させる』と語りました。

日本の総理大臣は米国の大統領に北朝鮮に対する国際的経済制裁が効果を発揮していると強調した上で強硬姿勢をとり続けるべきだと強く求め、予定されているキム・ジョンウン総書記との首脳会談が実現しても、譲歩したりしないよう強く迫るものとみられています。

韓国政府関係者は4月27日、北朝鮮と韓国が10年以上にわたり途絶えていた首脳会談を再開することを発表しました。

 

安倍首相はトランプ大統領に対し、北朝鮮との首脳会談において日本の拉致問題を交渉のテーブルに乗せるよう求めています。
具体的には北朝鮮によって拉致された日本人全員の帰還を実現するよう求めるものです。

トランプはビジネスマンとしてはやり手で冷酷非情な有能な人間かもしれないものの、彼が相手にしているのは70年にわたり北朝鮮を支配する一族の三代目で、若い割には明らかに国力の劣る北朝鮮が大国であるアメリカと対等に渡り合うだけのスキルを持った人間です。
日本国内にはこれらの点から、拉致問題の行方を不安視する意見があります。

▽ 韓国にとっては渡りに船の北朝鮮の外交攻勢

 

韓国は北朝鮮が本気で南北間の関係を再構築しようとしていると確信しているようです。
中国は現在、北朝鮮から望んでいた通りの外交的提案をを受けています。
一方日本政府は、米国政府がキム・ジョンウン政権と友好関係を構築してしまったら、逆に日本の外交的立場は惨めなものになってしまう可能性があると懸念しています。

 

しかしトランプは何十年もの間、アメリカに取って喉に刺さった小骨のような存在であり、これまでの歴代のアメリカの政権が手にすることができなかった北朝鮮問題に対する外交的勝利を望んでいます。
そのためトランプは日本が北朝鮮に対し抱えている数々の問題の存在が無視して、交渉を一気にまとめようとするかもしれないという懸念もあります。
アメリカ・北朝鮮の合意がまとまれば、トランプの政治家としての評価が飛躍的に高まる可能性があります。

 

テンプル大学日本校の国際関係学部のジェームズ・ブラウン準教授は、ドイチェ・ヴェレの取材に次のように答えました。
「対米関係においても対北朝鮮においても、日本にとってすべてが極めてまずい展開となりつつあることは明らかです。安倍首相はできるだけ早くトランプに会って事態の転換を図らなければならない状況に置かれています。」


「ほんの数週間前まで安倍首相はトランプ大統領の扱い方を知っている人物として「トランプの囁き手」と表現されていました。」
「しかし今回日本はトランプに完全にスルーされました。トランプがキム・ジョンウンとの会談に同意した瞬間に、アメリカはそれまでの最大限の経済制裁を続けるという政策から完全な方向転換をしてしまったからです。」

 

ブラウン準教授はキム・ジョンウンとの会談に同意したことで、トランプはすでに最大限の経済制裁を行う政策からの撤退を宣言したのに等しいとつけ加えました。
ただしジョン・ボルトンを北朝鮮問題の当事者の一人に指名したことにより、トランプはいつでも最大限の経済制裁の実施に舵を戻すことができるようにしている可能性があります。

※ジョン・ボルトン
トランプ大統領がジョン・ボルトンを国家安全保障問題担当顧問に任命したことはたちまち世界中に伝わり、北朝鮮やイランに対する軍事侵攻を主張するタカ派の代表的人物が大統領の耳目として採用されたことに、同盟国は一斉に警戒感を露わにしています。
ドイツ政府、イスラエル政府、韓国政府、そして日本政府はこれまでトランプの予測不可能な政策論理が必ずしも具体策として実行されないことに安心してきましたが、ボルトンの任命を受け一斉に対応に追われることになりました。
同じくタカ派のマイク・ポンペオの国務長官に続きボルトンが顧問に任命されたことで、歴代政権同様の外交路線に乗せようとしてきたジム・マティス国防長官は周囲をタカ派に取り囲まれたことにより、孤立する可能性が出てきました。(2018年3月2日付ワシントンポスト The Return of John bolton より)

 

▽ トランプに泣きつく安倍首相

 

北朝鮮に拉致された被害者とその家族に対し安倍首相の立場を演出するというアメリカ側の配慮についても、トランプが優先度を下げる可能性が高くなりました。
「北朝鮮による拉致は首相に返り咲く前の安倍氏の政治的名声を作るための材料でもあったという点で、日本にとって大きな問題であると同時に、安倍首相にとっては個人的な問題でもあるのです。」
ブラウン準教授がこう語りました。
「他の国々の見解は次のようなものです。拉致された人々とその家族には同情するが、核兵器を搭載した北朝鮮の弾道ミサイルが何百万人という米国市民の安全を脅かしているという脅威を解消する方を優先せざるを得ない…」

最終的に安倍首相にとって現在の最大の懸念は、北朝鮮、韓国、米国、中国という4極体制が形作られつつあり、日本だけが脱落する構図が見えてきたことです。
日本の安全保障上の懸念や拉致された市民の運命が、議論の際に傍においわられてしまうことは避けたいと考えています。

明治大学国際研究所の奥村準教授は、日安倍首相の懸念には十分な根拠があるとドイチェ・ヴェレの取材に答えました。

「安倍首相はワシントンを訪問し、たとえ米朝会談が成功裏終わったとしても、その段階ではまだ北朝鮮は核弾頭を装備したミサイルを廃棄したわけではないのだという現実をトランプに再認識させ、強い圧力をかけたいと考えています。」
奥村教授はこう語り、安倍首相は金正恩が保有する中距離ミサイルはグアムやアラスカを射程圏内に収め、韓国と日本に駐留している米軍を攻撃できる能力を有している点を強調するべきだと語りました。

「さらに安倍首相は、もし金総書記が大量破壊兵器の保有を継続することが可能になれば、核兵器の拡散の危険性が増大する点も強調することになるでしょう。」と語り、そうなれば中東地域のアメリカの権益が脅かされることになるとつけ加えました。

 

しかし中国が突如として再び北朝鮮の支持者としての立場を鮮明にすれば、トランプは金総書記を脅かすだけの能力をもはや失ってしまい、北朝鮮から提示されるいかなる提案も「今後の会談で」のまざるを得ない状況に追い込まれる可能性があることを、奥村教授が指摘しました。
それでもなおトランプは会談の成果を強調するだろうし、そうなってしまえば日本は完全に孤立してしまうだろうと奥村教授は見ています。
「安倍政権は北朝鮮に直接的な影響力を持ったことは一度もなく、米国を通じてしか圧力をかけることができません。私自身としては一方では、このタイミングで安倍首相がワシントンに行くのは馬鹿げていると考えることもできるでしょう。」
奥村教授がこう語りました。


「安倍首相はトランプに泣きついているようにも見えます。しかし結局はトランプは何があっても自分がやりたいようにやるでしょう。」
「米朝協議は日本を一層に不利な立場に置き、気がつけば日本だけが北朝鮮に対し厳しい経済制裁を科している国として『取り残される』可能性が高くなっています。」
とつけ加えました。

 

しかし、北朝鮮が国際社会の一員として再び信頼を取り戻すことができるかどうか、あるいは日本が心配した通りの結果が待っているのか、それはその時になってみなければわかりません。

 

http://www.dw.com/en/after-kim-xi-meeting-abe-eager-to-advance-japans-interests/a-4318170

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安倍政権については、

軽佻浮薄

阿諛追従

貪官汚吏

秩序紊乱

などなど、一国の政府は「そうあるべきでない」という四字熟語がたくさん浮かんできます。

そのことに気がついていないのは『安倍政権を支持』する『40パーセント』の日本の世論調査の回答者のみなさんだけでしょう。

しかし習近平にもトランプにも、そして金正恩にすらそのあたりを見透かされてしまっている安倍政権に、歴史の転換点になりうる場で『役』を与えようとは国際社会の誰も思わなかったのでしょう。

 

幸い、まだ多くの人々が安倍政権について

悪逆無道

と言うほどの有様を見てはいません。

 

しかし戦前戦中、平和主義や基本的人権を口にしただけで一般市民が特高警察に連行され、拷問を加えられてなぶり殺しにされた悪逆無道の時代は一朝一夕に出現したわけではありません。

第一次世界大戦後しばらくして『大陸進出(侵略)』が続いた日本では、大政翼賛会が出現し、治安維持法が制定され、徐々に市民の権利が奪われていき、気がつけば民主主義などかけらも残っていませんでした。

その挙句、多くの一般市民がアジア大陸や中国大陸や旧満州国内、そして南太平洋諸島など日本から遠く離れた場所で、疫病、飢餓、そして集団自殺などによって残酷な死を強いられることになりました。

いわゆる満州引揚者で戦争末期に侵攻してきたソ連軍によって夫と子供を殺された妻の大叔母は、当時のことを決して口にしようとせず、尋ねられても黙り込んだまま首を振るだけだったそうです。

日本国内には米軍のB29戦略爆撃機の大群が連日連夜現れて、子供だろうが女性だろうが無差別殺戮を繰り返し、最後には核爆弾を2回も投下され、いたるところで無残な死が大量生産されました。

 

軽佻浮薄/阿諛追従/貪官汚吏/秩序紊乱……そうした政治の先には、悪逆無道の体制が待ち受けているかもしれない……

それは私たち日本人の祖先が大量の血と涙を流して得た歴史の教訓なのです。

 

 

 

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