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【 福島第一原発の現場を去る…なぜ彼らは汚名を着せられなければならない?! 】《前篇》

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所要時間 約 7分

東電、その言葉に込められる人々の敵意、軽蔑、そして怒り
去り続ける職員数の増加は、ただでさえ困難の伴う事故収束・廃炉作業を一層困難なものにする

AP通信 / ワシントンポスト 7月10日

事故収束01
不名誉、減らされる給与、そして放射線被ばくの危険性、これらすべてが3,000人の職員が2011年に巨大原子力発電所事故の現場から去って行った理由です。
そして今、もう一つの条件が加わろうとしています。
太陽光発電事業が持つ好印象、そして給与条件が恵まれていること。

東京電力の技術者たち、そして社員たちはかつて、終身雇用とそれに伴う企業への忠誠心を重んじるという日本の企業文化を象徴する存在のひとつでした。
しかし2011年3月に襲った津波は、東日本の沿岸部にあった福島第一原子力発電所を水没させ、3基の原子炉をメルトダウンさせてしまっただけでなく、東京電力で働く人々の心の中まで変えてしまいました。

東京電力はこれまで何度も沿岸部が巨大津波に襲われた事実が日本の歴史に刻まれていたにもかかわらず、福島第一原発についてはそのための備えを満足に行っていなかったこと、そして実際に事故が発生した後に繰り返した対応のまずさに、国内はおろか世界中から非難を受けました。

Jビレッジへのバス待ちの列
そして一般市民は原子力産業と東京電力に対し敵対的な感情を持つようになり、『東電』という言葉は不信感や嫌悪感を象徴する言葉になりました。

2010年、災害発生以前のこの年、東京電力を退職した人の数はわずか134人でした。
それが2011年には465人へと膨らみ、2012年には712人、そして2013年には488人が東京電力を去っていきました。
これらの人々のうち、40歳以下の人が7割を超えました。
そして今年、東京電力が初めて1,000人の希望退職者を募集したところ、1,151名が余剰人員削減枠に早期退職の希望を申し出たのです。

エクソダス(大脱出)、一連の退職により東京電力の職員数は約35,700人にまで減少し、これから数十年を要すると見られる福島第一原子力発電所においてメルトダウンした原子炉が再び過熱して危険な状況に陥らないようにしておくための各種の作業、そして溶け落ちた核燃料の取り出しなど、ただでさえ困難の伴う事故収束・廃炉作業が一層困難なものになることが懸念されています。

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職員を追い出してしまう要件は増え続けました。
福島第一原発で事故収束作業における不手際が連続して発生したことは、思い上がり、無責任な企業として東京電力のイメージを悪化させ、事故収束・廃炉作業のために必要な巨額の出費は職員の大幅な減俸につながりました。

2012年に東京電力を辞めた吉川彰浩氏が次のように語りました。
「例え自分が役に立つと解っていても、自ら進んで福島第一原発で働こうとする人間はいません。」
辞めた後、彼は「福島第一原発の作業員に正当な評価を」呼び掛けるキャンペーンを始めました。
そして福島第一原発で作業をすることにより着せられてしまう「巨大な社会的汚名」と、何とか戦おうとしています。

福島第一原発の現場で働く作業員の多くは、現地の住民であり、今回の事故の被害者でもあります。作業員の人びともまた立入禁止区域内にあった自宅を失ってしまい、個人として大きな困難を抱えているのです。
そして彼らには子供たちもおり、当然ながら放射線被ばくによる健康被害も心配されます。

そうした状況の中、作業員たちは福島第一原発で働いているという『不名誉な事実』を隠さなければならないのです。

街頭抗議
彼らはレストランに行けば締め出されるという目に遭います。
そして学校で子供たちがいじめられる事態を心配していますが、政府報告で実際に複数のいじめがあったことが報告された後は、その心配は一層のものになりました。

〈後篇に続く〉

http://www.washingtonpost.com/business/stigmatized-nuclear-workers-quit-japan-utility/2014/07/10/0c15ca32-07fe-11e4-9ae6-0519a2bd5dfa_story.html
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組織的に人々を誤った方向に向かわせることこそが、大量の人間を短時間で不幸の中に突き落とすことになるのかもしれません。
戦争然り、原発事故然り。

様々な問題の解決手段として、いずれも誤っています。

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【 原子力発電の60年 】《2》
世界で始まった原子力発電所の廃棄・廃炉作業

ニューヨーカー 5月29日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

原発06
今年6月、1954年に当時のソビエト連邦に世界初の一般用途向けの原子力発電所が建設されてちょうど60年が経ちました。

しかしスリーマイル島のメルトダウン事故、そしてチェルノブイリ、福島第一原子力発電所と続いた巨大事故の発生を受け、数カ国では原子力発電所の廃棄・廃炉作業が開始されました。
60年を経た今も原子力発電所は巨大な設備、そして複雑な構造を持ったままです。

ストレステストの結果を検証するため、原子炉内部に入る調査チーム。1992年、英国のケントにあるダンジネス原子力発電所。(写真上)

グラベリン原子力発電所の建設現場、1976年。(写真下・以下同じ)
原発07
インド、トロンベイ原子力発電所、1966年。
原発08
フランス、ノルマンディー地方にあるパレ原子力発電所の外を見回る憲兵、1988年。
原発09
フランスノサンノーランロランにあるサンローラン・デジュー原子力発電所、1999年。
原発10

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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