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【 福島第一原発、凍土策の実施に対し膨れ上がる疑念と疑問 】〈前篇〉

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所要時間 約 11分

破壊された4基の原子炉を囲い込むため、3,200億円をかけて行われる地中の凍結
果たして地下水の流れ込みを本当に回避することはできるのか
事故発生以来、無数のミス・トラブルを犯し続けた東京電力が、凍土壁対策に限っては完全に実行できる、そう都合よく考えることはできない

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 7月13日

凍土壁02
光明がどんどん遠のき、無数の危険が次々に発生するという、21世紀に入り最も恐ろしい現実を作りだした福島第一原子力発電所。
その場所にあって、このまま放置すればさらなる大きな脅威となる問題に今、現場にいる技術者たちが解決を目指し、次回との戦いに挑んでいます。
数万トンに昇る高濃度の放射能汚染水の問題です。

すべてが計画通り進めば、来年3月には破壊された原子炉4基の敷地をぐるりと取り囲む氷の壁が地中に完成します。
これにより、溶け落ちた核燃料を冷却し続けるために使われ、原子炉建屋の地下に溜まっている高濃度の汚染水と、福島第一原発の敷地の西側から流れ込んでくる地下水が交じり合う事を防ぐことが出来るようになります。

現在は一日あたり最高で400トンに上る地下水が原子炉建屋の基礎部分に流れ込むため、これをポンプでくみ上げ、いったん貯蔵した上で浄化する作業が続けられています。
しかし福島第一原発の現場では、その貯蔵の限界にじりじりと近づく事態となっています。
この汚染水の問題を解決しない限り、東京電力は福島第一原発の廃炉作業に本格的に着手することはできません。

2014年6月、東京電力と鹿島建設(株)から派遣された作業員名が、原子炉を取り囲んで設定された四角形の線に沿って、1,550本のパイプを地下33メートルの深さに垂直に挿入する作業に着手しました。
このパイプに-30度になる冷却剤がセットされていくことになります。

01 Spiegel
パイプに挿入された冷却剤が周囲の地中を凍結させることにより、水の透過を許さない凍土壁が地中に出現することになるのです。
「私たちは約一カ月間の作業で100本以上のパイプをセットしました。作業はほぼ予定通りに進んでいると言って良いと思います。」
福島第一原発で凍土壁建設作業の責任者を務める、鹿島側の浅村忠文氏がこう語りました。
4号機原子炉建屋は爆発事故を起こした3基の原子炉のうちのひとつですが、今回その周囲にパイプを埋め込む作業では、労働者は雨、高い湿度、そして高い放射線量とも戦いながら、スケジュール通り作業を進めた点を、浅村氏は強調しました。

しかし、メルトダウンを引き起こした3基を含む4基の原子炉を完全に隔離するのは、多額の費用を要する上に危険がつきまとう作業です。
そして今回3,200億円を費やして行われる凍土壁建設の技術は、これ程の規模で用いられたことはありません。
「私は、凍土壁が最良の解決手段であるとは確信していません。」
米国原子力規制委員会のもと委員長で、現在東京電力の特別相談役を務めるデール・クライン氏が共同通信のインタビューに対し、こう返答しました。
「私が心配するのは、この対策を実施したことにより、予想外の結果が生じてしまう事です。 凍土壁に行く手を阻まれた水はどこに向かうのでしょうか。
向かった先で起きうる事態は?
私は、事前にもっと実証実験をするべきだと思うし、分析も不足していると考えています。」

汚染水06
東京電力側の資料によれば、建造された延べ1,500メートルにわたる凍土壁は2020年まで使用が続けられることになります。
地中の凍結を続けるために使われる電気量は一般家庭13,000世帯分になります。

これから8ヵ月以上、東京電力と鹿島の合計360名の職員が一日4時間勤務のローテーションを組み、暑さによる疲労と戦いながら凍土壁の建設に取り組むことになります。
この作業に取り組む人々は多重防護服とフルフェイスの防護マスクを着用し、その上にタングステンで裏張りされたゴム製のカバーを身に着けて作業をしなければなりません。

福島第一原発で3基の原子炉がメルトダウンした事故発生から3年間、東京電力は無数のミス・トラブルを犯し続けてきました。
その東京電力が凍土壁対策に限っては完全無欠にやり遂げる、そう都合よく考えることなどできるはずがありません。

〈後篇に続く〉

http://www.theguardian.com/environment/2014/jul/13/doubts-giant-ice-wall-fukushima-nuclear-reactors
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福島第一原発の事故報道を見ていると、金銭感覚がおかしくなります。
その廃炉のために必要な金額は40~100兆円…
被災者の方々への補償は数兆円を費やしても追いつかない…
凍土策には3,200億円…
事故収束・廃炉作業作業全体のために必要な金額から見るとね思わず
「その程度か…」
と思ってしまいそうです。
しかしこの金額を教育や福祉の現場から見たら、どうなのでしょうか?

今、全国で莫大な金額を投じて原発再稼働のための整備事業が進められています。
しかし福島第一原発の事故を経験した私たちは、次のような疑問を持たざるを得ません。
「莫大な金を費やして、もっと莫大な費用を要することになる原発事故の原因を作っているのではないか?」

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【 あのとき、戦場にいた人々の記憶 】〈5〉
湖も地面も、そして空すらも、すべてが燃え上がり、そこに祖国の兵士の死体が散乱していた

ニューヨーカー 6月5日(記事本文は再掲)
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

ww2-9
2010年、初めての個展を開催するためにロシアを訪れていたカメラマンのサーシャ・マスロフは、後に連作となる『戦争経験者』の最初の一枚になる写真を撮影しました。
ソビエト赤軍の航空整備士ピョートル・ドミトリヴィッチ・コシュキンの肖像写真でした。
こうして彼の4年越しの連作がスタートしました。
彼はこの間、写真撮影とインタビューを繰り返しました。
題材になったのは兵士だけではなく、医師、技術者、パルチザン、地下抵抗運動の参加者、そして捕虜。
そしてホロコーストの生存者と一般市民は、戦争のはざまで最も苦しんだ人々でした。

マスロフは私にこう語りました。
「人々はそれぞれの場において、戦争という衝撃的な出来事を、自分自身の膚で感じたのです。」

マスロフはウクライナ出身の30歳のカメラマンで、5年前ニューヨークに移り住みました。
『戦争経験者』という大作に取り組むことになった理由について彼は、生と死のぎりぎりの境を体験した世代の記録をしっかりと残したいという思いがあったと語りました。
そして彼は国籍の違いによって、『戦争』の体験が著しく異なることも記録に留めようとしています。
「この連作の中で、最も興味深かったのは地理的要因による運命の違いでした。」
どの国の出身であるかによって、人々を視覚的にはっきりと分けてしまう事が可能です。
私が撮影したすべての人が第二次世界大戦という、かつてない規模の巨大な事件の当事者でした。宇宙で起きたビッグバンのように、彼らは世界中至る所でこの巨大な事件の渦中に巻き込まれたのです。居間、寝室、そして台所でさえ、戦争と無関係ではありませんでした。

「あなたは、視覚的に人々がどこの出身であるかについて比較することができて、彼らの
マスロフにはここまで18カ国を旅し、写真集を完成・出版する前にさらにインド、オーストラリア、南アフリカ、そしてギリシャを周る予定です。

『戦争経験者』の写真を撮影していて、何が一番印象に残ったかマスロフに質問してみました。
「ある人々は大きな寛容を示しました。そして別の人々の中には尽きることのない憎しみが消えることなく残っています。その対比の極端なことには驚かざるを得ません。」

▽ドルチニコーヴァ・リディヤ(クリヴィー・リフ、ウクライナ)
「ドイツ軍が、防御線を突破してなだれ込んできました。塹壕近くの湖の岸辺にはウクライナ人兵士の死体が散乱していました。湖も地面も、そして空すらも、すべてが燃え上がり、そこに祖国の兵士の死体が散乱していました。
ウクライナ人兵士の死体が散乱している中をドイツ軍兵士が進軍してきました、そしてドイツ軍の戦車、次にはオートバイに乗った兵士たちが続きました。その終わりがどこなのか、私は結局見ることが出来ませんでした。その時私たちがなぜ殺されなかったのか、その理由など私たちは知りようもありませんでした。」(写真上)

▽ ジャン・ジャック・オデュク(ルマン、フランス)
「私はフランスを占領していたドイツ軍の飛行場に置かれていた飛行機が、木製の偽物であることに気がつきました。その下面は塗装すらされていませんでした。そこで私はイギリス側にその事実を暗号で伝えたのです。すると英国空軍の爆撃機がやって来て、その場所に木でできた偽物の爆弾を投下して行ったのです。『すべてはお見通しだぞ』そう言っているかのようでした。イギリスはドイツ側に、レジスタンスのスパイの目が至る所からお前たちを監視している、そのように疑心暗鬼にさせ、完全な支配など不可能だという事を思い知らせようとしたのです。」
ww2-10
http://www.newyorker.com/online/blogs/photobooth/2014/06/faces-of-the-second-world-war.html#slide_ss_0=1

 

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